国家試験を突破して精神保健福祉士の資格を取得した合格者の皆さんに、合格までの道のりをご紹介いただきます。効果的な勉強法や忙しいなかでの時間のつくり方、実際に資格を手にして思うことなど、受験者が参考にしたい話が満載です。
第16回 小堀慎也(こぼり・しんや)さん
平成23年度試験合格
プロフィール
受験の動機
自分が精神保健福祉士になるなんて、大学に入るまでは全然考えていませんでした。家から通える範囲で、ハンドボールがソコソコ強い大学に入るというのが、志望動機でしたから。体を動かすのが好きだったので、将来はスポーツインストラクターになるのもいいかなくらいの感覚です。大学に入って、精神障害に関する科目を取ったのは、単純に必修だったからです。体育の教師を目指す場合もPSWを目指す場合も、1〜2年のときは科目が重なりますので。
ところが、授業を受けてみると、これが興味深かった。教師になるための授業は受けていてあまり身が入らなかったのに比べると、まったく違っていました。特に興味をかきたてられたのが、先生のPSWとしての経験談でした。それまで個人的にもっていた精神病に対するイメージというのは、映画やドラマの影響もあって、あまりよいものではなかった。でも、先生の話からは、精神疾患を患ってはいても自分たちとなんら変わらない人物像が浮かび上がってきて、また精神保健福祉士としての仕事の中身のほうにも惹かれるものがありました。
大学2年になると、スポーツは大好きだけど、自分の場合、人に教えるというのは必ずしも向いていないと思うようにもなり、しだいに精神保健福祉士を志す気持ちが大きくなっていきました。それで、3年のゼミ選択のときに、精神保健福祉士の養成に力を入れている先生に相談して、進路をかためました。
ところが、授業を受けてみると、これが興味深かった。教師になるための授業は受けていてあまり身が入らなかったのに比べると、まったく違っていました。特に興味をかきたてられたのが、先生のPSWとしての経験談でした。それまで個人的にもっていた精神病に対するイメージというのは、映画やドラマの影響もあって、あまりよいものではなかった。でも、先生の話からは、精神疾患を患ってはいても自分たちとなんら変わらない人物像が浮かび上がってきて、また精神保健福祉士としての仕事の中身のほうにも惹かれるものがありました。
大学2年になると、スポーツは大好きだけど、自分の場合、人に教えるというのは必ずしも向いていないと思うようにもなり、しだいに精神保健福祉士を志す気持ちが大きくなっていきました。それで、3年のゼミ選択のときに、精神保健福祉士の養成に力を入れている先生に相談して、進路をかためました。
自作の「受験ノート」を丸暗記
うちの大学は、精神保健福祉士の受験対策をコースとしては設けておらず、また受験する学生そのものが少ないので心細さはありました。最終的に受験したのは、ゼミ内で3名、ゼミ外を含めて5名でした。
受験勉強のやり始めとしては、大学3年の夏くらいに中央法規さんの暗記ブック(『精神保健福祉士受験暗記ブック』)を購入して、電車の中とかで少しずつ覚えていくようにしたのがスタートです。ただ、その流れでこつこつと受験勉強ということにはならず、本格的に取り組み始めたのは、4年生の夏からでした。はじめは、周りから、「過去問を解いてわかんないところを勉強すればいいよ」と言われて、そうしようとしたのですが、やってみたら全部わかんなかったんです。学校の授業はまじめに受けて、もちろん楽しくもあったのですが、授業としてしか受けていなかったようで、問題を解くという角度からの備えがまったくできていなかったんです。
これでは話にならないと思い、取り組んだのが「受験ノートづくり」です。中央法規さんのワークブック(『精神保健福祉士国家試験受験ワークブック』)を使って、過去問に出てきた内容や太字表記になっている箇所を重点に、すべてノートに書き出していくということをしました。重要な語句は赤ペンにして、自分が使いやすいようにまとめなおしました。それからそれを“丸暗記”しようと。
ですから、勉強の初期は、勉強というより書き写しです。年表などは、おぼえにくそうと感じたら自分なりに作り変えたり、重要項目のまとめ方も、これがこうなってこうだからと物語を勝手よく作ったりしながら、自分仕様のノートを作っていきました。はじめに専門科目に取り組んで、分量はB5のノートで2冊半。
共通科目も同じようにやろうと思いましたが、すでに10月になっていて、しかも共通科目のほうが量も多いので、時間がないと思い、こちらはやり方を変えました。まず、ゼミ室にあった問題集を解いてみて、答え合わせをした後に問題の正答内容を書き出す。間違っている選択肢は、誤りの箇所に×印を付けて、どこが間違っているかがわかるようにして書き出す。知識が不十分ななかで問題を解いているので、解答が合っていてもたまたま合っていた可能性もあります。だから、解答は合っていても間違っていても、ノートに要点をまとめなおす。そのようにして、出合った問題をベースにノートを作っていきました。
こちらの分量はノート1冊半。共通科目のほうは、これはいいやと思った内容をズバズバ切っていきました。毎年出ている問題や知識として最低限押さえておかなくてはいけない内容だけ押さえて、それ以外が出たらそのときは運任せだと思い切りました。
専門科目は9月、共通科目は11月にノートを完成させ、そこからは書きまとめたものをひたすら暗記です。赤シートを乗っけて、書いてあることを丸暗記していきました。分量を1日何ページと決めておいて、調子がいい日はもう1、2ページがんばってと、地道におぼえるやり方です。一通り終えたら、また最初に戻って暗記する。2回目は少し楽になります。それを3回目、4回目とくり返す。数えてはいませんが、専門と共通、それぞれ10回以上はやったと思います。しだいに、あの内容はあそこのページの真ん中らへんだと、書いてある位置もわかるようになりました。頭の中でページをめくっていく感じでした。
この勉強法を受験の前日まで続けました。新しく出合った問題や知識はノートに付け加えていきました。すでに知識が身に付いてきているので、関連する事柄から覚えることができましたし、自分なりのリズムができて、後半は学習もスムーズでした。
受験勉強のやり始めとしては、大学3年の夏くらいに中央法規さんの暗記ブック(『精神保健福祉士受験暗記ブック』)を購入して、電車の中とかで少しずつ覚えていくようにしたのがスタートです。ただ、その流れでこつこつと受験勉強ということにはならず、本格的に取り組み始めたのは、4年生の夏からでした。はじめは、周りから、「過去問を解いてわかんないところを勉強すればいいよ」と言われて、そうしようとしたのですが、やってみたら全部わかんなかったんです。学校の授業はまじめに受けて、もちろん楽しくもあったのですが、授業としてしか受けていなかったようで、問題を解くという角度からの備えがまったくできていなかったんです。
これでは話にならないと思い、取り組んだのが「受験ノートづくり」です。中央法規さんのワークブック(『精神保健福祉士国家試験受験ワークブック』)を使って、過去問に出てきた内容や太字表記になっている箇所を重点に、すべてノートに書き出していくということをしました。重要な語句は赤ペンにして、自分が使いやすいようにまとめなおしました。それからそれを“丸暗記”しようと。
ですから、勉強の初期は、勉強というより書き写しです。年表などは、おぼえにくそうと感じたら自分なりに作り変えたり、重要項目のまとめ方も、これがこうなってこうだからと物語を勝手よく作ったりしながら、自分仕様のノートを作っていきました。はじめに専門科目に取り組んで、分量はB5のノートで2冊半。
共通科目も同じようにやろうと思いましたが、すでに10月になっていて、しかも共通科目のほうが量も多いので、時間がないと思い、こちらはやり方を変えました。まず、ゼミ室にあった問題集を解いてみて、答え合わせをした後に問題の正答内容を書き出す。間違っている選択肢は、誤りの箇所に×印を付けて、どこが間違っているかがわかるようにして書き出す。知識が不十分ななかで問題を解いているので、解答が合っていてもたまたま合っていた可能性もあります。だから、解答は合っていても間違っていても、ノートに要点をまとめなおす。そのようにして、出合った問題をベースにノートを作っていきました。
こちらの分量はノート1冊半。共通科目のほうは、これはいいやと思った内容をズバズバ切っていきました。毎年出ている問題や知識として最低限押さえておかなくてはいけない内容だけ押さえて、それ以外が出たらそのときは運任せだと思い切りました。
専門科目は9月、共通科目は11月にノートを完成させ、そこからは書きまとめたものをひたすら暗記です。赤シートを乗っけて、書いてあることを丸暗記していきました。分量を1日何ページと決めておいて、調子がいい日はもう1、2ページがんばってと、地道におぼえるやり方です。一通り終えたら、また最初に戻って暗記する。2回目は少し楽になります。それを3回目、4回目とくり返す。数えてはいませんが、専門と共通、それぞれ10回以上はやったと思います。しだいに、あの内容はあそこのページの真ん中らへんだと、書いてある位置もわかるようになりました。頭の中でページをめくっていく感じでした。
この勉強法を受験の前日まで続けました。新しく出合った問題や知識はノートに付け加えていきました。すでに知識が身に付いてきているので、関連する事柄から覚えることができましたし、自分なりのリズムができて、後半は学習もスムーズでした。
夏過ぎから1日4〜5時間を目安に
いわゆる受験対策としての勉強を始めたのは、先ほどお伝えしたように大学4年の夏休みからです。場所は大学のゼミ室で、同じく受験を控えたゼミ仲間と勉強しました。といっても、資格の種類は教員免許や消防士の資格で、勉強する内容は別々です。お互い中身にはふれず、勉強する場を共有するというものでした。
時間は早いときで午前9時、遅いときは11時くらいに思い思いに集まり、各々勉強に取り組む。2時間くらい勉強した後、昼ごはんをみんなで食べて、休憩がてら学内にある専用のジムで軽く汗を流し、再び勉強に戻る。夕方までやって自然解散です。日によって、その後ラーメンを食べに行ったり、ノリが合ったときは飲みに行ったりしました。一日の勉強時間は、平均して4〜5時間。仲間のなかでは自分の精神保健福祉士受験がいちばん後ろの時期でしたが、ひと足早い周りのペースに自然に乗っていました。
このスタイルが受験の直前まで続きました。週4日ペースで夕方から入れていた映画館のアルバイトの回数を減らすくらいの変化はありましたが、それ以外はいっしょです。受験前だからと栄養面を気遣ったり、睡眠を減らさないようにしたりなども特にしませんでした。風邪などはひきませんでしたし、いつもと違うことをしなかったのはプラスだったようです。
時間は早いときで午前9時、遅いときは11時くらいに思い思いに集まり、各々勉強に取り組む。2時間くらい勉強した後、昼ごはんをみんなで食べて、休憩がてら学内にある専用のジムで軽く汗を流し、再び勉強に戻る。夕方までやって自然解散です。日によって、その後ラーメンを食べに行ったり、ノリが合ったときは飲みに行ったりしました。一日の勉強時間は、平均して4〜5時間。仲間のなかでは自分の精神保健福祉士受験がいちばん後ろの時期でしたが、ひと足早い周りのペースに自然に乗っていました。
このスタイルが受験の直前まで続きました。週4日ペースで夕方から入れていた映画館のアルバイトの回数を減らすくらいの変化はありましたが、それ以外はいっしょです。受験前だからと栄養面を気遣ったり、睡眠を減らさないようにしたりなども特にしませんでした。風邪などはひきませんでしたし、いつもと違うことをしなかったのはプラスだったようです。
集中すべく「ヘッドホン」
ちなみに、勉強するときは常にヘッドホンを付けていました。音楽を聴きながら勉強するんです。音が気にならないということではなく、周りが騒がしいとうるさいなと思ってしまうくらいなんですが、ヘッドホンをすると、外部の音が遮断できて、自分の世界に入っている感覚になります。こうすると、集中も格段にしやすい。高校の試験勉強くらいから始めるようになって、途中からはこれがないと勉強できないくらいでした。流す音楽は、ロック系が好きなので激しい曲をがんがんと。メカニズムはよくわかりませんが、音楽がかかっていても聴いていない状態で、集中が妨げられることはありません。気づいたら、全曲終わって止まってたりなんてこともあります。周囲から話しかけられても聞こえませんし、メリットは大きいです。大学へ勉強に出かけてヘッドホンを忘れたときは、わざわざ買いに行ったりもしました。
正答8割で合格!?
試験の手応えは、なかった、といいますか、ダメだと思いました。専門科目はまあこんなものかなという出来でしたが、共通科目を受けて、ああオレ終わったと。ネットの解答速報も見たくなくて、でも自己採点しないと先生に報告できないしということで、試験が終わってから一週間くらい経って、酔っ払いながら勢いで採点しました。それで、ああ、やっぱりオレ“8割”いってねえって。そう、8割です。どこで勘違いしたのかわからないのですが、ずっと8割得点が合格ラインだと思っていたんです。
試験後はふっつりと大学に行かなくなってしまって、自己採点してからさらに一週間くらい経ってさすがに、今まで先生にお世話になっているのに、何も言わなかったら礼儀も何もないわと思って、電話をかけました。「○点だったんですよオレ、落ちちゃってすみません」と言ったら、「おまえ何言ってんだよ、それ受かってるよ」と。あのときは自分(涙で)やばかったです、ほんとに。考えてみれば、8割得点するというのはすごいことで、無意識のうちにそこを目標にしていたのがよかったようです。
試験後はふっつりと大学に行かなくなってしまって、自己採点してからさらに一週間くらい経ってさすがに、今まで先生にお世話になっているのに、何も言わなかったら礼儀も何もないわと思って、電話をかけました。「○点だったんですよオレ、落ちちゃってすみません」と言ったら、「おまえ何言ってんだよ、それ受かってるよ」と。あのときは自分(涙で)やばかったです、ほんとに。考えてみれば、8割得点するというのはすごいことで、無意識のうちにそこを目標にしていたのがよかったようです。
ストロングポイントを探す
今、私は病院の精神科デイケアに所属しながら各部署の先輩方の業務を見て、さまざまなことを学ばせていただいています。大学が運動系だったこともあり、リハビリテーションの一環としてのバレーボール、ソフトボールの教室などでは、組み立てを任せていただくこともあります。今はまだ、自分が自分自身の何をこの世界で活かせるかが見えていないので、日々の業務に打ち込むなかで、ここが強みだというストロングポイントを見つけたいと思っています。そこから、自分はこういうワーカーになろうという、目指す像をつくっていきたいと思います。
最後に一点、写真を紹介させていただきます。高校時代のハンドボール仲間に声をかけて立ち上げたクラブチーム「幕総クラブ」です。私は手前の右端、こういう場があるということが活力の源泉になっています。仲間と仕事を大事にして、突き進むのみです。
最後に一点、写真を紹介させていただきます。高校時代のハンドボール仲間に声をかけて立ち上げたクラブチーム「幕総クラブ」です。私は手前の右端、こういう場があるということが活力の源泉になっています。仲間と仕事を大事にして、突き進むのみです。