国家試験を突破して精神保健福祉士の資格を取得した合格者の皆さんに、合格までの道のりをご紹介いただきます。効果的な勉強法や忙しいなかでの時間のつくり方、実際に資格を手にして思うことなど、受験者が参考にしたい話が満載です。
第17回 里中高志(さとなか・たかし)さん
平成22年度試験合格
プロフィール
自ら選んで転向
私は、大学を卒業した後、編集プロダクションに入り、週刊誌の記者活動などをしていたのですが、30歳を迎える頃になって、自分の記者活動のテーマとして、精神医療の問題にかかわっていきたいと思うようになりました。精神疾患はきわめて今日的なテーマであり、また、自分にとっても他人事とは思えないところがありましたから。
そこで、雑誌でうつ病の企画をやったり、精神疾患を経験した人にインタビューをしたりしているうちに、紆余曲折を経て、実際に精神医療・精神保健の世界に飛び込んでみたいと思うようになりました。
私は、いったん出版業界から身を引いて、埼玉県の地域活動支援センターで非常勤職員として働き始めました。屋内外の作業を一緒にしたり、会計や記録などの事務を行ったり。当時はまだ精神保健福祉士の資格を持っていませんでしたが、資格の有無で業務が明確に仕切られることはなく、メンバーさん(当事者)とさまざまなかかわりをもちました。ただ、かかわるときのスタンスが職員というよりはメンバーと同じ目線になりすぎるところがあって、そのことで先輩から注意されることもありました。メンバーさんの優しさに癒されることもありましたね。
そこで、雑誌でうつ病の企画をやったり、精神疾患を経験した人にインタビューをしたりしているうちに、紆余曲折を経て、実際に精神医療・精神保健の世界に飛び込んでみたいと思うようになりました。
私は、いったん出版業界から身を引いて、埼玉県の地域活動支援センターで非常勤職員として働き始めました。屋内外の作業を一緒にしたり、会計や記録などの事務を行ったり。当時はまだ精神保健福祉士の資格を持っていませんでしたが、資格の有無で業務が明確に仕切られることはなく、メンバーさん(当事者)とさまざまなかかわりをもちました。ただ、かかわるときのスタンスが職員というよりはメンバーと同じ目線になりすぎるところがあって、そのことで先輩から注意されることもありました。メンバーさんの優しさに癒されることもありましたね。
昼は現場で、夜は学校で
そして、2010年。地域活動支援センターの仕事を続けながら、福祉の専門学校の精神保健福祉士養成科夜間コースに通い始めました。週4日ほどは9時から17時過ぎまで地域活動支援センターで働いて、夜は18時20分から21時30分まで、休憩をはさんで2限の授業が毎日。土曜日も2週に1回は授業があり、タイトなスケジュールでした。特にハードだったのは実習で、9時から17時まで実習先で実習をした後、夜はいつも通り授業。そして、家に帰ると2ページ分の実習記録を書かなければなりません。大きな声では言えませんが、授業中に実習日誌を書いたこともありましたっけ。
二束の草鞋で得たもの多し
ハードな毎日でしたが、実際に現場で働きながら学校で学ぶという生活は、勉強の上でもプラスになったと思います。特に専門科目の授業では、授業に出てくる用語や事柄が仕事のなかで直接耳にしていたりして、皮膚感覚で接している分、吸収しやすいこともよくありました。
また、センターの所長さんが私の資格取得に理解があったので、試験に関するアドバイスもいただきましたし、実習期間中は仕事も休ませてくれました。私の時の実習は2週間が2回でした。それだけ休ませてくれる勤務先はなかなかないかもしれませんが、精神保健の現場なら資格取得を応援してくれるところも多いと思いますので、本気で精神保健福祉士を目指す方は、現場で働いてみるといいのではないかと思います。非常勤なら資格がなくても働けるところはあるはずです。
通った学校のほうも同じ目標に向けて一体感があり、学生時代に戻ったようで(それも授業ごとに顔ぶれが変わる大学ではなく、常に同じクラスのメンバーと一緒なので、高校時代に近い感覚)充実した一年間でした。ただ、通学コースは金銭的に負担が大きかったのも事実で、状況によっては通信過程という選択もあり得たと思っています。要は学びたいという本人の気持ちが第一です。
試験が近くなると、中央法規の『社会福祉士精神保健福祉士受験ワークブック(共通科目編)』『精神保健福祉士受験ワークブック(専門科目編)』を通読し、記憶があいまいなところはマーカーで線を引いて勉強しました。また、同じく中央法規の『精神保健福祉士国家試験過去問解説+模擬問題』は、解説が詳しく、しっかりしているのでおすすめです。
また、センターの所長さんが私の資格取得に理解があったので、試験に関するアドバイスもいただきましたし、実習期間中は仕事も休ませてくれました。私の時の実習は2週間が2回でした。それだけ休ませてくれる勤務先はなかなかないかもしれませんが、精神保健の現場なら資格取得を応援してくれるところも多いと思いますので、本気で精神保健福祉士を目指す方は、現場で働いてみるといいのではないかと思います。非常勤なら資格がなくても働けるところはあるはずです。
通った学校のほうも同じ目標に向けて一体感があり、学生時代に戻ったようで(それも授業ごとに顔ぶれが変わる大学ではなく、常に同じクラスのメンバーと一緒なので、高校時代に近い感覚)充実した一年間でした。ただ、通学コースは金銭的に負担が大きかったのも事実で、状況によっては通信過程という選択もあり得たと思っています。要は学びたいという本人の気持ちが第一です。
試験が近くなると、中央法規の『社会福祉士精神保健福祉士受験ワークブック(共通科目編)』『精神保健福祉士受験ワークブック(専門科目編)』を通読し、記憶があいまいなところはマーカーで線を引いて勉強しました。また、同じく中央法規の『精神保健福祉士国家試験過去問解説+模擬問題』は、解説が詳しく、しっかりしているのでおすすめです。
「路上のソリスト」
精神保健福祉士を目指す皆さんに「路上のソリスト」という映画をおすすめします。路上生活を送る統合失調症患者にして、元名門音大生の名演奏家と、彼と出会った新聞記者の物語。新聞記者を演じるのは「アイアンマン」「アベンジャーズ」「シャーロック・ホームズ」などのロバート・ダウニー・Jrですが、この映画では抑制の効いた演技を見せています。この映画には、支援者が行う「支援」を、患者の側は本当に望んでいるのか? 支援者と支援を受ける側は真の友人になりうるのか? という、精神保健福祉士にとって本質的な問題が含まれており、考えさせられる内容になっています。
経験を活かして
さて、私は試験に合格し、学校を卒業した後、一時は精神科の医療機関に勤めたのですが、結局マスコミの世界に戻ってきてしまいました。今は、総合誌などの仕事と並行して、メンタルヘルスや精神保健関係の媒体にも記事を書いています。また、総合誌でも精神医療を題材にした企画を手がけています。資格を目指している時は、本当に福祉の世界で生きていこうと考えていたのですが、今はマスコミに主軸を置きつつ、精神医療や福祉の世界の事情を伝えていこうという気構えで奮闘しています。
一見回り道をしたようですが、資格取得のために勉強をしたり実際に福祉の世界で働いたりしたことで、自分の視野や考え方、ものの感じ方が広がったことは非常に大きく、実は自分にとって最も正しい道を歩んできたのかなという気もします。
皆さんも、自分の未来を信じて、合格へ向けて頑張ってください。
一見回り道をしたようですが、資格取得のために勉強をしたり実際に福祉の世界で働いたりしたことで、自分の視野や考え方、ものの感じ方が広がったことは非常に大きく、実は自分にとって最も正しい道を歩んできたのかなという気もします。
皆さんも、自分の未来を信じて、合格へ向けて頑張ってください。