第23回 老いらくの恋――その歓びと葛藤
共通の話題で親しい関係に…
Sさん(63歳・女性)は、60歳の定年退職を迎えてから3年になります。1年ほど前から近くの大学のコミュニティスクールで英会話を学んでいます。
そこで気が合ったYさん(48歳・男性)と雑談するようになり、知り得たばかりの英会話を試しているうちにずいぶん親しい関係にもなりました。
休日には映画や美術館にも一緒にでかけ、お互いにプライベートの情報も交換し合っています。Sさんは2年前に夫を病気で亡くし、一人暮らしです。二人の子どもたちは結婚し、子どもも生まれました。
そこで気が合ったYさん(48歳・男性)と雑談するようになり、知り得たばかりの英会話を試しているうちにずいぶん親しい関係にもなりました。
休日には映画や美術館にも一緒にでかけ、お互いにプライベートの情報も交換し合っています。Sさんは2年前に夫を病気で亡くし、一人暮らしです。二人の子どもたちは結婚し、子どもも生まれました。
許されざる関係に思い悩む毎日
一方、Yさんは自営業の2代目社長です。妻子もいるのですが、奥さんとはうまくいっておらず、Sさんに時々そのことで愚痴をこぼします。同情的な態度で話を聞いていると、Sさんにこみ上げてくるものがありました。
そのとき、急にYさんがSさんを抱きしめてきたのです。それ以来、二人はキスをするような深い関係になってしまいました。当初、Sさんにはさまざまな意味で抵抗感があったといいます。でも、Yさんは「二人だけの秘密にしておきたい」と言い、優しい言葉といたわりの態度で接してきました。
そうなると、Sさんの理性のブレーキも叶わなくなります。ある日、SさんはYさんを自分の家に招き入れ、肉体的にも深い関係をもってしまいました。しかし、それはSさんにとって、今までに味わったことのない感覚だったといいます。
そのとき、急にYさんがSさんを抱きしめてきたのです。それ以来、二人はキスをするような深い関係になってしまいました。当初、Sさんにはさまざまな意味で抵抗感があったといいます。でも、Yさんは「二人だけの秘密にしておきたい」と言い、優しい言葉といたわりの態度で接してきました。
そうなると、Sさんの理性のブレーキも叶わなくなります。ある日、SさんはYさんを自分の家に招き入れ、肉体的にも深い関係をもってしまいました。しかし、それはSさんにとって、今までに味わったことのない感覚だったといいます。
この歳でセックスに歓びを感じられるなんて
Sさんは照れくさそうに笑みを浮かべながら、「あれって、「オーガスム」って言うんですか? 女性はオーガスムを感じると、本当に男性から愛されていると思えるのですね。この年齢になって、私はセックスの歓びを初めて知りました。相手の歓ぶ反応を見て自分も興奮する。セックスは歓びを共有する最高の姿なんですね。いいセックスをすると、人生には意味があると思えるようになります。でも……」
老いらくの恋は不潔なのでしょうか
「彼とは年齢が一回りも離れているんです。子どもたちに知られたら「不倫」と言われるのでしょうか。亡くなった夫にも申し訳ない。彼の奥さんが知ったらどうなるのでしょう。それに彼が他の女性と親しげに話をしていると、激しい嫉妬心に襲われます。そんな自分が嫌でたまりません。老いらくの恋は不潔でしょうか。でも、彼と次に会える日が待ち遠しくてたまらない自分がいるんです。こんなこと、誰にも相談できません。武藤先生(カウンセラー)ならどうします!」
そう言われて、カウンセラーはSさんの情欲を称え、複雑な葛藤や情念に共感しながらも、「本音は心の奥に秘めて生きていく方法もあるのですよ。問題が起きたときは、自分の心と正直に向き合いましょう」と返すしかありませんでした。
次回は最終回で、2010年3月2日(火)、更新予定です。
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武藤清栄先生が所長を務める東京メンタルヘルスアカデミーのホームページは、こちらからご覧になれます。
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