第13回 不信感から人と会うのが億劫になったCさん
何にも興味がなくなり、人間関係にストレスを感じたら要注意
プチうつ状態になると外出することが面倒になったり、人と会うのが億劫になります。テレビのニュースや新聞に目をやるのも面倒になります。女性の場合には、化粧することさえ煩わしく感じられ、身支度した後でも、「何で毎日同じ洋服を着るのだろう」と考え、後悔したりもします。
世の中の出来事に関心がなくなり、人間関係にストレスを感じるようになったら要注意です。
世の中の出来事に関心がなくなり、人間関係にストレスを感じるようになったら要注意です。
内科の検査では異常が見つからない……
Cさんの異常を感じ取った家族は病院を勧めたのですが、内科でいくら検査をしても異常は見つかりませんでした。
そこでCさんの娘は、「気持ちの問題なんだから、気分転換したほうがいい」と、Cさんを無理やり外に連れ出し、梅見物に出ました。でもCさんは、「梅には色がない」と言うのです。Cさんの感覚を疑った娘は、精神科に同行しました。心理テストをやってみると、中度のうつ状態という結果が出ました。医師の話によると、更年期障害から女性ホルモンが異常に低下し、うつ状態が合併したという診断でした。
ホルモン療法や抗うつ剤などを投与して2か月ほど経ったところで、カウンセラーが面談すると、半年ほど前にCさんは自分のへそくりを200万円ほど友人に貸してしまったというのです。それも契約書なしで。
喪失体験や不信感もうつの大きな要因
その後、友人は何も言わずに引っ越してしまい、行方がわからなくなったというのです。信用していた友人に裏切られたといった喪失感や不信感も、うつ状態の大きな要因になっていたのでした。しかし、幸いなことに、Cさんの娘たちも夫もCさんを温かく見守り続け、決して非難したり責めたりはしませんでした。その結果、Cさんは、家族の愛情に支えられながら、自分の失敗体験を許すことができるようになりました。
半年後、うつ状態からも解放され、元気になることができたのですが、ラッキーなことに友人に貸したお金も返ってきたのでした。
次回は8月25日(火)、更新予定です。
半年後、うつ状態からも解放され、元気になることができたのですが、ラッキーなことに友人に貸したお金も返ってきたのでした。
次回は8月25日(火)、更新予定です。
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