第18回 ときには手を抜く認知症の介護もあり
激増する認知症患者、不足するマンパワー
認知症の患者は、推計で200万人と言われています。2015(平成26)年には高齢化がさらに進み、患者の数は250万人になるとも言われています。
それに対して、介護する側のマンパワーは少しずつ増えてはいるものの、まだ不足しているのが現状です。
それに対して、介護する側のマンパワーは少しずつ増えてはいるものの、まだ不足しているのが現状です。
認知症の母親を介護するMさん
Mさん(63歳・男性)は、妻に早く先立たれて、認知症になった母親(86歳)と二人で暮らしています。
母親はアルツハイマー型認知症で、Mさんのことや、比較的最近の出来事などはほとんど忘れてしまって、言葉もほとんど出てきません。かと思うと、急に怒り出し、身のまわりのものを投げつけてくるのです。
こういった症状は、特にこの夏が過ぎてからひどくなりました。
こうなると、Mさんも途方に暮れてしまい、心のなかでは「こんな母親なんか早く亡くなってくれればいい」と思ってしまいます。しかし、次の瞬間、そんなことを思う自分は情けないと考え、葛藤してしまうというのです。
こんな自分をどうやってコントロールし、冷静さを保つことができるのか思いあぐねて来談しました。
母親はアルツハイマー型認知症で、Mさんのことや、比較的最近の出来事などはほとんど忘れてしまって、言葉もほとんど出てきません。かと思うと、急に怒り出し、身のまわりのものを投げつけてくるのです。
こういった症状は、特にこの夏が過ぎてからひどくなりました。
こうなると、Mさんも途方に暮れてしまい、心のなかでは「こんな母親なんか早く亡くなってくれればいい」と思ってしまいます。しかし、次の瞬間、そんなことを思う自分は情けないと考え、葛藤してしまうというのです。
こんな自分をどうやってコントロールし、冷静さを保つことができるのか思いあぐねて来談しました。
支えてくれる存在のチカラ
カウンセラーは、Mさんの話をじっくり聴き、葛藤を共感的に理解した後、Mさんが住んでいる地域には主婦たちが結成した介護のボランティアグループがあることを知り、それを紹介しました。
孤軍奮闘のMさんをサポートしてくれたのは、Mさんの息子の同級生の母親二人でした。食事を作ってくれたり、Mさんが気晴らしに外出できるように、介護のフォローをしてくれたのです。
孤軍奮闘のMさんをサポートしてくれたのは、Mさんの息子の同級生の母親二人でした。食事を作ってくれたり、Mさんが気晴らしに外出できるように、介護のフォローをしてくれたのです。
肩の力を抜けるアドバイス
二人は、「一生懸命遊ばないといい介護はできないのよ。切羽詰まったり、将来のことを深刻に考え過ぎるのも良くないわ。今ここで自分が楽になることを考えるといいですよ」と話しかけてくれたのです。
Mさんは、その言葉を聞いて気持ちが楽になり、肩の力が少し抜けるのを感じました。
それ以来、Mさんは介護保険のサービスをもっと利用することを決め、介護施設に通ってリハビリを受けさせたり、ホームヘルプサービスも積極的に利用することにしたのです。
不思議なことに、それ以来、Mさんに生きがいややりがいがよみがえってきたのでした。
次回は11月10日(火)、更新予定です。
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武藤清栄先生が所長を務める東京メンタルヘルスアカデミーのホームページは、こちらからご覧になれます。
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