第20回 孫からの“けあサポ”
仕事一筋だった夫の定年後の懸念
Oさんは、数年前に退職した元公務員の男性です。仕事一筋で、あまり趣味もなく、友人との付き合いも年賀状程度といった状態でした。
Oさんの妻は、退職したら「この人(Oさん)との関係はどうなってしまうのかしら」と、内心、不安にも感じていました。「ねえ、あなた何か趣味でも持ったら?」と提案するのですが、いつも聞いているやらいないやら……。家にいるときはもっぱらテレビばかり観ていて、タバコの本数だけが多くなっていました。
そんなOさんに妻も嫌気がさし、周囲にぼやいてばかりいました。
Oさんの妻は、退職したら「この人(Oさん)との関係はどうなってしまうのかしら」と、内心、不安にも感じていました。「ねえ、あなた何か趣味でも持ったら?」と提案するのですが、いつも聞いているやらいないやら……。家にいるときはもっぱらテレビばかり観ていて、タバコの本数だけが多くなっていました。
そんなOさんに妻も嫌気がさし、周囲にぼやいてばかりいました。
料理によって見違えた豹変
ところが、そんな心配は一切無用だったのです。
Oさんは退職と同時にタバコをすぱっと止め、料理に関心を持つようになったのです。テレビの料理番組を毎日欠かさず観たり、料理に関する本まで買ってきて読むようになったのです。そしてついに、三度の食事のほとんどをOさんが作るようになりました。
Oさんは退職と同時にタバコをすぱっと止め、料理に関心を持つようになったのです。テレビの料理番組を毎日欠かさず観たり、料理に関する本まで買ってきて読むようになったのです。そしてついに、三度の食事のほとんどをOさんが作るようになりました。
娘も孫も、その変貌には驚くばかり
「お父さんが、こんなに料理好きだとは知らなかったわ。いつ、どこで習ったの?」
「料理なんてもんは、いちいち学校で習わなくても、見よう見まね。やる気があれば、いくらでも覚えられる。昔、おふくろが料理しているところが好きだったからな」
といつになく自慢げに語ります。孫も、Oさんが台所で立ち動く姿をじっと見つめていて、「爺々は料理を作っているとき、すごく嬉しそう」と言います。
「そうか。実はな、爺々は小さな頃から本当はコックになりたかったんだ。でも、その頃は男が台所に入ると、「男の子はこっちに来ちゃダメ」って叱られてね。「これ、やらせて!」って言えなかったんだよ。
「へえ、でも爺々は料理しているときが一番カッコいい!」
「本当か。ハッハッハッハッ。卓也がそう言ってくれるなら、やりがいがある」
孫の言葉は力なり
今では、Oさんは地域での料理教室の講師を努めたり、妻の友人たちが来たときには、腕によりをかけて料理を作り、男をあげています。
「孫の言葉は力なり」
そのエネルギー継続の最大のサポートは、やはり、孫のほめ言葉だったと、今でもOさんは振り返ります。
次回は12月22日(火)、更新予定です。
「孫の言葉は力なり」
そのエネルギー継続の最大のサポートは、やはり、孫のほめ言葉だったと、今でもOさんは振り返ります。
次回は12月22日(火)、更新予定です。
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