第17回 第二の人生に介護労働を選んだMさん
介護疲れがもたらすもの
介護疲れのストレスから、相手を虐待したり、無理心中を図ったりする家族もいます。被害者と加害者が同じ家族であるだけに、お互いが複雑な心情であることを垣間見ることができます。
先日も、過去に妻を刺し殺そうとした夫の殺人未遂事件の判決が山口地裁でありました。また、神戸地裁では息子が父親を殺そうとした事件の判決がありました。
いずれも介護疲れのストレスから来るものでした。しかし、前者の判例では、被害者は厳罰を希望しておらず、保護観察による指導監督・補導援護を望んでいます。また、後者の判例では、被害者である父親は息子の処罰を求めておらず、一日も早く家に帰ってくることを願っている旨の話をしています。
この2つの判例は、いずれも懲役3年・執行猶予4年(保護観察付き)の判決となりました。
先日も、過去に妻を刺し殺そうとした夫の殺人未遂事件の判決が山口地裁でありました。また、神戸地裁では息子が父親を殺そうとした事件の判決がありました。
いずれも介護疲れのストレスから来るものでした。しかし、前者の判例では、被害者は厳罰を希望しておらず、保護観察による指導監督・補導援護を望んでいます。また、後者の判例では、被害者である父親は息子の処罰を求めておらず、一日も早く家に帰ってくることを願っている旨の話をしています。
この2つの判例は、いずれも懲役3年・執行猶予4年(保護観察付き)の判決となりました。
男性介護者の苦難
Mさん(58歳・女性)は、会社を早期退職して、ホームヘルパーの資格を取りました。あるサービスの利用者宅に訪問ヘルパーとしてかかわることになったのですが、89歳の寝たきりの父親を61歳の息子さんが介護していました。
Mさんは、食事の世話や排泄など、日常生活の一部を手助けするための訪問しているのですが、その父親は肺気腫という病気のために特殊な人工呼吸器も使用しています。
隣のベッドで寝ている息子さんは、父親の苦しそうな息づかいや、咳込みにかなりナーバスになってしまうと言います。
Mさんは与えられた任務以外に、息子さんの辛さを理解し、グチもできるだけ聞くようにしています。
それは、男性の介護者は女性の介護者に比べて完璧を求めたり、頑張りすぎるということがあるからです。それでいて、自分の弱音を吐く人が周りにいないことが多いからです。
その結果、ストレスが鬱積し、ついつい手を上げてしまったり、首を絞めてしまいたくなるような衝動に駆られてしまうのです。Mさんは、ヘルパーになる前は対人関係の援助ができるやりがいのある仕事だと思っていたのですが、いざ現場に入ってみると、思いどおりにならないことが多々あります。そんなときはいつも、「自分も介護される日が来る」と自分に言い聞かせて、乗り越えています。
次回は10月27日(火)、更新予定です。
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武藤清栄先生が所長を務める東京メンタルヘルスアカデミーのホームページは、こちらからご覧になれます。
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