第14回 地域ボランティアの活動に目覚めたAさんの生きがい
自分のためにやれることは……
何か人のため、もっというと自分のためのやれることはないかと考えました。
そんな折、市役所の広報誌で、ボランティア募集の記事を見たのです。それは通学路に立って、小学生を交通事故から守るいわゆる「緑のおばさん」の仕事でした。早起きと体力に自信のあったAさんは、早速応募し、研修を受け、次の月から活動を始めることになりました。
毎日子どもたちの様子を見ていると、さまざまなことに気づきます。不登校気味で毎日親に付き添われ、いやいや登校してくる子や、親が朝早く家を出てしまうため、誰もいない学校に早々と登校する子、かと思うと、いつも仲良しの友だちと登校する子、一人黙々とやってくる子……。
地域ボランティアでいじめに遭遇
そんなある日、Aさんは息を飲む光景に遭遇しました。道の片隅で子どもたちが騒いでいるのです。よく見ると、5〜6人ほどの男の子たちが1人の男の子を押したり蹴ったり、汚い言葉を浴びせているのです。いじめている様子が明らかにわかりました。
Aさんは躊躇することなく、「ちょっとあんたたち、何してるの!」と大声で呼びかけると、「やべえ」と言って、男の子たちは走り去りました。標的にされていた男の子は洋服に土ほこりがついていて足にけがをしていました。ハンカチと絆創膏を渡すと、男の子は「おばさん、ありがとう」と言って立ち去って行きました。
Aさんは躊躇することなく、「ちょっとあんたたち、何してるの!」と大声で呼びかけると、「やべえ」と言って、男の子たちは走り去りました。標的にされていた男の子は洋服に土ほこりがついていて足にけがをしていました。ハンカチと絆創膏を渡すと、男の子は「おばさん、ありがとう」と言って立ち去って行きました。
ボランティア活動に生きがいを感じて
その後、その男の子の担任の先生から連絡がありました。「Aさんのおかげで大事に至らずにすみました。あの子は転入生で、最近、標的になっていたようです」とのことでした。
その男の子の両親からも、「子どもを守っていただいて、ありがとうございます」と感謝されました。それから3週間ほど経ったある日、突然、後ろから声をかけてきた子がいました。「おばさん、これあげる」見ると、この前の男の子でした。
木工で作った箸置きでした。「いいの、これもらって」「うん、じゃあね」そう言って男の子は走り去りました。Aさんは、そのときの男の子の表情や姿が忘れられません。
「こんなこともあるんだ。ボランティアはまだまだ続けられる」と思ったのでした。
次回は9月8日(火)、更新予定です。
その男の子の両親からも、「子どもを守っていただいて、ありがとうございます」と感謝されました。それから3週間ほど経ったある日、突然、後ろから声をかけてきた子がいました。「おばさん、これあげる」見ると、この前の男の子でした。
木工で作った箸置きでした。「いいの、これもらって」「うん、じゃあね」そう言って男の子は走り去りました。Aさんは、そのときの男の子の表情や姿が忘れられません。
「こんなこともあるんだ。ボランティアはまだまだ続けられる」と思ったのでした。
次回は9月8日(火)、更新予定です。
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