第2回 団塊世代の妻、Mさんの自己決定
家のことには興味のなかった夫
Mさん(女性)は昭和23年生まれの団塊世代。2年ほど前に希望退職した1つ年上の夫との関係に悩んでカウンセリングにやって来た。
夫は会社人間だったため、在職中は幸か不幸かすれ違いの生活が多く、もめ事もなかった。玄関の棚の上に花を生けても気づかず、Mさんの髪型が変わってもなんの反応もないタイプであった。
夫は会社人間だったため、在職中は幸か不幸かすれ違いの生活が多く、もめ事もなかった。玄関の棚の上に花を生けても気づかず、Mさんの髪型が変わってもなんの反応もないタイプであった。
退職して激変した夫にうんざり……
テレビを見ていてつまらなくなると、無理やり買い物に連れ出そうとしたり、お昼は簡単なものですませたいと思っても、「そんなものじゃ栄養失調になる!」と世話を焼く。
“今さら何よ”そのたびにMさんはうんざりして、いつも昔の夫を追想してしまうという。
夫には自分の気持ちは言えない
Mさんの誕生日はいつも忘れ、子どもたちが「どこかに連れてって」と頼んでも、「混んでるだけだ」と言って取り合わない。仕方なくMさんが子どもを連れ出すと、なぜか夫もついて来る。そんな夫に愛想をつかしたMさんは、いつの間にか自分の気持ちを伝えなくなったという。
夫が毎日家にいるようになってから、Mさんは何かムシャクシャしてしまう。ちょうどその頃、Mさんはカルチャーセンターで素敵な男性と友達になった。その男性から、「今度みんなで旅行にでも行きませんか」と誘われている。でも、嫉妬深い夫がいる限り、そんなことは到底できないと思ってしまう。するとイライラして物に当たったり、そういう自分を責めて、落ち込んでしまうという。
巷では「自分探しの旅」とか「生き方探し」とは言うが、この歳になって自分の本音に気づいていいものか。でも夫との生活がうっとうしく、葛藤する毎日が続くという。
夫が毎日家にいるようになってから、Mさんは何かムシャクシャしてしまう。ちょうどその頃、Mさんはカルチャーセンターで素敵な男性と友達になった。その男性から、「今度みんなで旅行にでも行きませんか」と誘われている。でも、嫉妬深い夫がいる限り、そんなことは到底できないと思ってしまう。するとイライラして物に当たったり、そういう自分を責めて、落ち込んでしまうという。
巷では「自分探しの旅」とか「生き方探し」とは言うが、この歳になって自分の本音に気づいていいものか。でも夫との生活がうっとうしく、葛藤する毎日が続くという。
残された人生は自分に素直に
空回りし、自己決定できないMさんにカウンセラーは究極の質問をした。「1年後はご主人と一緒に生活していると思いますか?」
Mさんは「うーん」としばらく考え込んではいたが、「1年後は一人で生活しているような気がします。残された人生は自分に正直に生きたいんです。それに、夫のせいばかりにするのも嫌になりました」ときっぱり答えた。
これも夫の定年にまつわる自己決定の姿である。
Mさんは「うーん」としばらく考え込んではいたが、「1年後は一人で生活しているような気がします。残された人生は自分に正直に生きたいんです。それに、夫のせいばかりにするのも嫌になりました」ときっぱり答えた。
これも夫の定年にまつわる自己決定の姿である。
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