第9回 息子に自分の金をあてにされているCさん
息子の金の無心がストレスに
息子の会社が赤字なのを知っているCさんは、援助の手を差しのべたい気持ちはあるのですが、自分のこれからのことを考えると、どうしても2000万円だけは手元に残しておきたいと思ってしまいます。
息子がお金を無心してくるたびに、Cさんは不安や葛藤のストレスから、次第に精神的に消耗するようになり、精神科のクリニックにかかるようになりました。
本当の不安は自立できない息子
カウンセラーが話を聞くと、Cさんの最大の心の負担は、お金がなくなることはもちろん、息子が精神的に自立できないことでした。さらに、息子の自己愛に満ちた、偏った性格のことだと訴えるのです。
息子は衝動的で傷つきやすく、何か追い込まれると、すぐに暴言を吐いたり、キレたりして、物事を途中で投げ出してしまうタイプなので、「自分のことより息子のカウンセリングをしてほしい」と言います。
そこで息子さんにも来所してもらうことになったのです。
息子は衝動的で傷つきやすく、何か追い込まれると、すぐに暴言を吐いたり、キレたりして、物事を途中で投げ出してしまうタイプなので、「自分のことより息子のカウンセリングをしてほしい」と言います。
そこで息子さんにも来所してもらうことになったのです。
息子の安定がCさんの安定に
最初は、息子さんも抵抗を示していたのですが、話を聞くと、彼も将来のことが不安でたまらないと話し出しました。「今の状態では結婚もできないし、母の病気のことなども気になってしようがない」と言うのです。
じっくりと彼の話に耳を傾け、否定せずに共感的に理解すると、安心したのか、「こんな体験は初めてです」とポツリと言いました。「亡くなった父親が話を聞いてくれない人だったし、すぐに叩かれたりしたので、いつの頃からか、自分の気持ちや本音を言わないようになりました。でも今日は、言えてずいぶんすっきりしました」と語ったのです。
その後、息子さんは5回ほどカウンセリングにやってきたのですが、少しずつ気持ちも安定してきたのか、暴言も少なくなりました。また、会社の経営については、専門のコンサルタントにも相談するようになりました。そのためか、Cさんの精神状態も落ち着いてきたのです。
この事例でも理解できるように、配偶者の死や親子の問題は、家族全体に影響を及ぼします。世代間がお互いに精神的自立や、経済的自立ができていればいいのですが、このケースのようになかなか上手くいかない場合もあります。そういうときは、支え合う覚悟も必要なのですが、専門家に相談することも大切です。
じっくりと彼の話に耳を傾け、否定せずに共感的に理解すると、安心したのか、「こんな体験は初めてです」とポツリと言いました。「亡くなった父親が話を聞いてくれない人だったし、すぐに叩かれたりしたので、いつの頃からか、自分の気持ちや本音を言わないようになりました。でも今日は、言えてずいぶんすっきりしました」と語ったのです。
その後、息子さんは5回ほどカウンセリングにやってきたのですが、少しずつ気持ちも安定してきたのか、暴言も少なくなりました。また、会社の経営については、専門のコンサルタントにも相談するようになりました。そのためか、Cさんの精神状態も落ち着いてきたのです。
この事例でも理解できるように、配偶者の死や親子の問題は、家族全体に影響を及ぼします。世代間がお互いに精神的自立や、経済的自立ができていればいいのですが、このケースのようになかなか上手くいかない場合もあります。そういうときは、支え合う覚悟も必要なのですが、専門家に相談することも大切です。
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