第15回 仕事と介護をめぐってのライフバランス
定年間近、突然の転勤命令……
車の部品メーカーに勤務するYさん(男性・57歳)は、あと3年で定年退職を迎えるというのに、いきなり人事部から北海道への転勤命令の打診を受けました。
しかし、Yさんはおいそれと応じることはできませんでした。なぜなら、83歳の病弱な母親がいて、その介護をしなくてはならなかったからです。
Yさんは結婚しており妻がいるのですが、妻は母親と折り合いが悪く、「お義母さんの面倒は見たくない」と言うのです。詳しく話を聞くと、妻は昔、Yさんの母親に嫌がらせを受けており、今でもそれを根にもっているということでした。
話を聞けば聞くほど、二人の反目は半端なものではなく、その修復は望めないと考えたカウンセラーは、カウンセリングの視点を変え、育児・介護休業法について言及することにしました。
しかし、Yさんはおいそれと応じることはできませんでした。なぜなら、83歳の病弱な母親がいて、その介護をしなくてはならなかったからです。
Yさんは結婚しており妻がいるのですが、妻は母親と折り合いが悪く、「お義母さんの面倒は見たくない」と言うのです。詳しく話を聞くと、妻は昔、Yさんの母親に嫌がらせを受けており、今でもそれを根にもっているということでした。
話を聞けば聞くほど、二人の反目は半端なものではなく、その修復は望めないと考えたカウンセラーは、カウンセリングの視点を変え、育児・介護休業法について言及することにしました。
労働者の権利としての育児・介護休業法
育児・介護休業法は、労働者が育児や介護と仕事が両立できるように、仕事を休んだり、勤務時間を短縮したり、深夜労働に制限を設けている法律です。
転勤に関しても、事業者は労働者の育児や介護の状況に配慮する必要があることが義務づけられています。
具体的には、事業者が転勤を命じるときは、(1)従業員の育児や介護状況を把握する、(2)労働者本人の意向に配慮する、(3)育児や介護の代替手段があるかを確認する、などを求めています。
転勤に関しても、事業者は労働者の育児や介護の状況に配慮する必要があることが義務づけられています。
具体的には、事業者が転勤を命じるときは、(1)従業員の育児や介護状況を把握する、(2)労働者本人の意向に配慮する、(3)育児や介護の代替手段があるかを確認する、などを求めています。
これからは家族の事情についても相談を受ける態勢が求められる
Yさんは、カウンセラーである精神保健福祉士から、上記のような、介護休業法にある事業者が転勤を命ずるときに求められている内容についてアドバイスを受けました。
そこで、人事部にもう一度かけ合ったところ、会社側もYさんの介護の状況や本人の意向を無視して転勤させるのは本意ではないとして、転勤を取り消してくれました。
今は、会社の人事部・総務部は、働く人たちの家族の事情についても日頃から相談を受ける態勢が必要になってきているのでしょう。
そこで、人事部にもう一度かけ合ったところ、会社側もYさんの介護の状況や本人の意向を無視して転勤させるのは本意ではないとして、転勤を取り消してくれました。
今は、会社の人事部・総務部は、働く人たちの家族の事情についても日頃から相談を受ける態勢が必要になってきているのでしょう。
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