ケアサービスを提供するうえで、鍵となる“記録”。その役割を再確認し、実践に活かすにはどうしたらよいか、考えてみましょう。本連載では、施設における“記録”を取り上げていきます。
第22回 介護記録におけるリスクマネジメント(1)
『ルールの明文化』
これまでも、折に触れて言及してきましたが、「記録」を残す際に、様々な方法を用い、効率化、省力化を図ることは非常に重要です。
皆様の現場でも、“現場から生み出された工夫”を最大限に活用し、できる範囲内で効率化、省力化の様々な試みをされているかと思います。そして、その方法は、千差万別、多種多様で、一概にどの方法が最も優れているとは判断できません。
しかしながら、その工夫を組織の「知」として活用するためには、個々人が自分勝手に判断して用いるのではなく、「記録」を、一定のルール、それも慣習ではなく、明文規定とし、組織内で共有しなければ効果がないということは理解されているでしょうか?
皆様の現場でも、“現場から生み出された工夫”を最大限に活用し、できる範囲内で効率化、省力化の様々な試みをされているかと思います。そして、その方法は、千差万別、多種多様で、一概にどの方法が最も優れているとは判断できません。
しかしながら、その工夫を組織の「知」として活用するためには、個々人が自分勝手に判断して用いるのではなく、「記録」を、一定のルール、それも慣習ではなく、明文規定とし、組織内で共有しなければ効果がないということは理解されているでしょうか?
略語の活用
効率化、省力化の試みの最たる例が、略語の使用です。
第3回「記録の誤解」で、「専門用語は、記録に積極的に用いるべきだが、業界のみで通用する略語の使用には注意が必要だ」とご説明しました。しかし、これは「略語は記録に一切使えない」と完全否定しているわけではありません。
確かに、無分別な略語の乱用は、組織内で「共有」できないばかりか、第三者から開示を求められた際に、十分な「説明責任(accountability)」を果たすこともできません。
しかし、この略語も、組織内で一定のルールを明文化し、それに基づいて活用すれば、業務の省力化、短縮化に貢献する武器になりうるのです。
ルール化の方法も、さほど難しいことではありません。
例えば、自分達が頻繁に用いる略語を再度確認し、「解釈対照表」を作成し、それを「介護記録作成時における略語一覧」といったマニュアルにし、全従事者に周知徹底させるのです。
ルールを「明文化」したら、従事者は全員、記録を残す際に、このルールに従わなければなりません。
もちろん、記録は日本語で記載するものですから、略語を用いず、丁寧に、正確に、正式名称を明記することは可能ですが、そうしてしまっては、何のために「明文化」までしてルールを作ったのかわからなくなります。
ですので、組織の一員である以上、明文化されたルールには従う必要があります。
ルール化の際に大切なのは、「明文化」と「周知徹底」です。
組織内でルールとして定めたら、それが形として残っているか?従事者全員に情報が行き渡っているか?が大事なポイントになるのです。
一度あなたの組織内で検討してみてください。
第3回「記録の誤解」で、「専門用語は、記録に積極的に用いるべきだが、業界のみで通用する略語の使用には注意が必要だ」とご説明しました。しかし、これは「略語は記録に一切使えない」と完全否定しているわけではありません。
確かに、無分別な略語の乱用は、組織内で「共有」できないばかりか、第三者から開示を求められた際に、十分な「説明責任(accountability)」を果たすこともできません。
しかし、この略語も、組織内で一定のルールを明文化し、それに基づいて活用すれば、業務の省力化、短縮化に貢献する武器になりうるのです。
ルール化の方法も、さほど難しいことではありません。
例えば、自分達が頻繁に用いる略語を再度確認し、「解釈対照表」を作成し、それを「介護記録作成時における略語一覧」といったマニュアルにし、全従事者に周知徹底させるのです。
ルールを「明文化」したら、従事者は全員、記録を残す際に、このルールに従わなければなりません。
もちろん、記録は日本語で記載するものですから、略語を用いず、丁寧に、正確に、正式名称を明記することは可能ですが、そうしてしまっては、何のために「明文化」までしてルールを作ったのかわからなくなります。
ですので、組織の一員である以上、明文化されたルールには従う必要があります。
ルール化の際に大切なのは、「明文化」と「周知徹底」です。
組織内でルールとして定めたら、それが形として残っているか?従事者全員に情報が行き渡っているか?が大事なポイントになるのです。
一度あなたの組織内で検討してみてください。
注意点
また、ルール化する際に一つだけ気をつけていただきたいのは、ルール(明文化)が万能ではないということです。
ルール化すれば何でもかんでも「略語」として使えるかというと、それは違います。あくまでも「常識の範囲内」。
例えば、少し前に流行った「KY」のような略語は使えないということです。
また、明文化されたマニュアルは、第三者から開示を求められた場合、記録に添えて請求者に開示しなければなりません。
略語の説明も「説明責任」を果たす上で不可欠だということを忘れないでください。
ルール化すれば何でもかんでも「略語」として使えるかというと、それは違います。あくまでも「常識の範囲内」。
例えば、少し前に流行った「KY」のような略語は使えないということです。
また、明文化されたマニュアルは、第三者から開示を求められた場合、記録に添えて請求者に開示しなければなりません。
略語の説明も「説明責任」を果たす上で不可欠だということを忘れないでください。