ケアサービスを提供するうえで、鍵となる“記録”。その役割を再確認し、実践に活かすにはどうしたらよいか、考えてみましょう。本連載では、施設における“記録”を取り上げていきます。
第17回 介護記録のコンプライアンス―法的枠組み―(2)
『提供サービス記録』(1)
今回は、求められる記録の2つ目、「提供サービス記録」について考えてみましょう。
前回、「介護サービス計画書」の要点は、説明責任にあると説明しましたが、「提供サービス記録」にも要点はあるのでしょうか?
前回、「介護サービス計画書」の要点は、説明責任にあると説明しましたが、「提供サービス記録」にも要点はあるのでしょうか?
「提供サービス記録」とは
まず、もう一度、各サービスの運営基準(第15回の資料)を確認してみてください。どのサービスの基準にも「計画書」の次あたりに「提供した具体的なサービスの内容等の記録」を整備する必要が示されています。これが「提供サービス記録」を示すものであり、「日々の業務の証」の記録でもあります。
これ自体は、どんな施設や事業所にもあるのですが、その中身は、求められている要点をクリアしていないものが多いのです。では、ここで克服すべき、満たすべき要件とは何なのでしょうか?
これ自体は、どんな施設や事業所にもあるのですが、その中身は、求められている要点をクリアしていないものが多いのです。では、ここで克服すべき、満たすべき要件とは何なのでしょうか?
行為の目的・背景・効果を残す
それは、規定の中に存在する、ある一言に尽きます。つまり、「具体的な」という文言が、ここで求められる要件そのものなのです。「具体的」というのは、行為のみを「記録」として羅列することを求めているのではなく、どのようなサービスをどんな目的で行い、どういう結果が発生したのかを記録することを求めています。
単に「入浴」や「食事」などのメニュー(行為)をリストでチェックしただけのものは、ここで求められる要件を満たしていないことになります。さらに、チェックだけで残された記録は、リスクマネジメントの視点からも、非常に大きな問題があります(このことについては「リスクマネジメント」についてお話しする際に詳しく説明します)。
それでは、チェックではなく、文章で行為を羅列すればOKかといえば、それも要件克服とはいえません。文章で「入浴した」「食事を全量食べた」とだけ記録してあっても、これが「ケア」としてのサービス内容なのかどうかがわかりません。さらに、これでは「記録を残す」本来の目的を見失ってしまいます(詳しくは、第2回「記録を残す」をもう一度読み返してみてください)。
「記録」に求められているのは、サービス提供者が行った内容のみではなく、行為に関わるプロの介護者としての「気づき」を残していくことだといえます。次回に、この「気づき」の「提供サービス記録」への残し方と、それを活かした書式をご紹介したいと思います。
単に「入浴」や「食事」などのメニュー(行為)をリストでチェックしただけのものは、ここで求められる要件を満たしていないことになります。さらに、チェックだけで残された記録は、リスクマネジメントの視点からも、非常に大きな問題があります(このことについては「リスクマネジメント」についてお話しする際に詳しく説明します)。
それでは、チェックではなく、文章で行為を羅列すればOKかといえば、それも要件克服とはいえません。文章で「入浴した」「食事を全量食べた」とだけ記録してあっても、これが「ケア」としてのサービス内容なのかどうかがわかりません。さらに、これでは「記録を残す」本来の目的を見失ってしまいます(詳しくは、第2回「記録を残す」をもう一度読み返してみてください)。
「記録」に求められているのは、サービス提供者が行った内容のみではなく、行為に関わるプロの介護者としての「気づき」を残していくことだといえます。次回に、この「気づき」の「提供サービス記録」への残し方と、それを活かした書式をご紹介したいと思います。