ケアサービスを提供するうえで、鍵となる“記録”。その役割を再確認し、実践に活かすにはどうしたらよいか、考えてみましょう。本連載では、施設における“記録”を取り上げていきます。
第15回 記録の枠組み
新年あけましておめでとうございます。
新しい年を迎え、皆様も「新たな気持ち」で日々のケアに取り組んでおられると思います。そこで、この『暮らしの場における介護記録』も新たな気持ちでスタートということで、今回から新たなテーマに取り組んでいきたいと思います。
新しい年を迎え、皆様も「新たな気持ち」で日々のケアに取り組んでおられると思います。そこで、この『暮らしの場における介護記録』も新たな気持ちでスタートということで、今回から新たなテーマに取り組んでいきたいと思います。
記録として最低限残さなければいけないのは何?
介護記録として何を残していくのか、また、残していかなければならないのかは、前回まででご説明しました。しかし、何もかもを残しても時間の無駄ですし、実際ケアサービスの現場では、それは不可能です。そこで、介護従事者の「仕事の証」として、「記録」を機能させるためには、最低限どの程度の記述が必要なのか?ということが問題になります。
介護保険制度下のケアサービスは、介護保険法という一定の規則(ルール)の上に成り立っていますので、このあたりに、解答を見出せそうです。
介護保険制度下のケアサービスは、介護保険法という一定の規則(ルール)の上に成り立っていますので、このあたりに、解答を見出せそうです。
法ではどう定められている?
介護保険法は「記録」について、どう定めているのか、皆さんはご存じですか?
実は、介護保険法自体には、詳しく「記録としてこれを残せ」という規定はないのです。そのかわり、各サービスの「運営基準」に記録の規定があります。資料を御覧ください。介護保険制度下の施設サービス(一部在宅サービスもありますが)で「必要とされる記録」の規定条文の抜粋です。
見ていただくとわかるように、非常にシンプルで、抽象的です。居宅介護支援事業のように形式まで示してあれば、その形式に従えばよいのですが、記録の形式は示されていないのです。
つまり、この条文で示す条件に当てはまる「記録」が存在すれば、「記録」は「仕事の証」として成立するということなのです。
しかし、これだけを示されても現場は困惑してしまいます。そうならないために、形式は問わないとしても、「記録」が成立するためには、いくつかの「要件」があります。次回からこの「要件」について取り上げていきたいと思います。
実は、介護保険法自体には、詳しく「記録としてこれを残せ」という規定はないのです。そのかわり、各サービスの「運営基準」に記録の規定があります。資料を御覧ください。介護保険制度下の施設サービス(一部在宅サービスもありますが)で「必要とされる記録」の規定条文の抜粋です。
見ていただくとわかるように、非常にシンプルで、抽象的です。居宅介護支援事業のように形式まで示してあれば、その形式に従えばよいのですが、記録の形式は示されていないのです。
つまり、この条文で示す条件に当てはまる「記録」が存在すれば、「記録」は「仕事の証」として成立するということなのです。
しかし、これだけを示されても現場は困惑してしまいます。そうならないために、形式は問わないとしても、「記録」が成立するためには、いくつかの「要件」があります。次回からこの「要件」について取り上げていきたいと思います。
◆資料◆
介護老人福祉施設
●「指定介護老人福祉施設の人員、設備、及び運営に関する基準」第37条第2項
(1)施設サービス計画書
(2)提供した具体的なサービスの内容等の記録
(3)身体的拘束等の様態及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
(4)市町村への通知に関する記録
(5)苦情の内容等の記録
(6)事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
以上の記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない。
※介護療養型医療施設については、「指定介護療養型医療施設の人員、設備、及び運営に関する基準」第36条第2項にて同様に規定。
(1)施設サービス計画書
(2)提供した具体的なサービスの内容等の記録
(3)身体的拘束等の様態及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
(4)市町村への通知に関する記録
(5)苦情の内容等の記録
(6)事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
以上の記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない。
※介護療養型医療施設については、「指定介護療養型医療施設の人員、設備、及び運営に関する基準」第36条第2項にて同様に規定。
介護老人保健施設
●「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」第38条第2項
(1)施設サービス計画
(2)居宅において日常生活を営むことができるかどうかについての検討の内容等の記録
(3)提供した具体的なサービスの内容等の記録
(4)身体的拘束等の様態及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
(5)市町村への通知に関する記録
(6)苦情の内容等の記録
(7)事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
以上の記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない。
(1)施設サービス計画
(2)居宅において日常生活を営むことができるかどうかについての検討の内容等の記録
(3)提供した具体的なサービスの内容等の記録
(4)身体的拘束等の様態及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
(5)市町村への通知に関する記録
(6)苦情の内容等の記録
(7)事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
以上の記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない。
特定施設入居者生活介護事業
●「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第191条の3第2項
(1)介護(サービス)計画書
(2)提供した具体的なサービスの内容等の記録
(3)身体的拘束等の様態及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
(4)委託業務の実施状況定期確認の結果等の記録(他事業者業務委託の場合)
(5)市町村への通知に関する記録
(6)苦情の内容等の記録
(7)事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
(8)施行規則第64条第3号に規定する書類(有料老人ホーム及び適合高齢者専用賃貸住宅の場合)
以上の記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない。
(1)介護(サービス)計画書
(2)提供した具体的なサービスの内容等の記録
(3)身体的拘束等の様態及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
(4)委託業務の実施状況定期確認の結果等の記録(他事業者業務委託の場合)
(5)市町村への通知に関する記録
(6)苦情の内容等の記録
(7)事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
(8)施行規則第64条第3号に規定する書類(有料老人ホーム及び適合高齢者専用賃貸住宅の場合)
以上の記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない。
認知症対応型共同生活介護事業
●「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」第191条第2項
(1)介護(サービス)計画書
(2)提供した具体的なサービスの内容等の記録
(3)身体的拘束等の様態及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
(4)市町村への通知に関する記録
(5)苦情の内容等の記録
(6)事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
(7)運営推進会議での報告、評価、要望、助言等の記録
以上の記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない。
※小規模多機能型居宅介護事業(第87条第2項)においては、上記(1)〜(7)以外に「居宅サービス計画書」の整備が、規定されている。
(1)介護(サービス)計画書
(2)提供した具体的なサービスの内容等の記録
(3)身体的拘束等の様態及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
(4)市町村への通知に関する記録
(5)苦情の内容等の記録
(6)事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
(7)運営推進会議での報告、評価、要望、助言等の記録
以上の記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない。
※小規模多機能型居宅介護事業(第87条第2項)においては、上記(1)〜(7)以外に「居宅サービス計画書」の整備が、規定されている。