ケアサービスを提供するうえで、鍵となる“記録”。その役割を再確認し、実践に活かすにはどうしたらよいか、考えてみましょう。本連載では、施設における“記録”を取り上げていきます。
第16回 介護記録のコンプライアンス―法的枠組み―(1)
『計画書』の要件
求められる記録
前回から記録の枠組みに視点をあてて話をしています。
前回お示しした「資料」でお分かりになるように、その枠組みは、介護保険制度では法令で示されていましたが、非常に抽象的です。しかし、施設ケアにおいても在宅ケアにおいても、その求められる「記録」の基本はあまり変わりないようです。
そこで、今回から「求められる記録」として、「介護サービス計画書」「提供サービス記録」「事故関係記録」「研修記録」の4点に焦点を絞って、その記録の「要点」について話を進めていきたいと思います。
前回お示しした「資料」でお分かりになるように、その枠組みは、介護保険制度では法令で示されていましたが、非常に抽象的です。しかし、施設ケアにおいても在宅ケアにおいても、その求められる「記録」の基本はあまり変わりないようです。
そこで、今回から「求められる記録」として、「介護サービス計画書」「提供サービス記録」「事故関係記録」「研修記録」の4点に焦点を絞って、その記録の「要点」について話を進めていきたいと思います。
介護サービス計画書
まずは「介護サービス計画書」(以下「計画書」)からです。前回、記録については、居宅介護支援事業以外は、各運営基準に抽象的にしか規定がないとご説明しましたが、実は、計画書については一部具体例が存在します。
「施設サービス計画書」については、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号)という通知が存在し、その中で居宅介護支援事業において用いる「居宅サービス計画書」とともに、その「標準例」が示されています(ちなみに、この通知において「介護サービス計画書」とは「居宅サービス計画書」と「施設サービス計画書」の総称だと定義されています)。
しかし、「在宅サービス」の「計画書」については、ここまで丁寧な「標準例」はやはり存在していません。また、「施設サービス計画書」においても、これはあくまでも「標準例」であり、通知でも、その冒頭で「当該様式以外の様式等の仕様を拘束するものではない」と説明されています。
しかしながら、この「通知」の中から「計画書」として求められる「要件」を見いだすことは可能です。それをご説明致しましょう。
「施設サービス計画書」については、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号)という通知が存在し、その中で居宅介護支援事業において用いる「居宅サービス計画書」とともに、その「標準例」が示されています(ちなみに、この通知において「介護サービス計画書」とは「居宅サービス計画書」と「施設サービス計画書」の総称だと定義されています)。
しかし、「在宅サービス」の「計画書」については、ここまで丁寧な「標準例」はやはり存在していません。また、「施設サービス計画書」においても、これはあくまでも「標準例」であり、通知でも、その冒頭で「当該様式以外の様式等の仕様を拘束するものではない」と説明されています。
しかしながら、この「通知」の中から「計画書」として求められる「要件」を見いだすことは可能です。それをご説明致しましょう。
利用者、家族への説明責任
通知に「様式を作成するにあたっての前提」として、「利用者及びその家族への開示」と「サービス担当者会議への提出」が挙げられています。つまり、計画書に求められている「視点」が示されているのです。「計画書」は「策定者」のみが理解すれば足りる「記録」では決してなく、その視点は「家族や利用者」又は「チームケアの成員」に置かれること、言い換えれば、「説明責任(accountability)」があることが示されているのです。 「計画書」に求められる「要点」はこの一点に集約します。
もう少し、詳細に、具体的に、焦点をあてれば、この視点が「総合的な援助の方針」と「目標」(特に「長期目標」)に活かされているかが問題になります。
通知においても「抽象的な言葉ではなく誰にでも分かりやすい、具体的な内容を記載する」と規定されています。正にこの規定は、「説明責任(accountability)」を計画書に「要件」として求めている根拠と言えます。
また、上記のような理由から、第3回「記録の誤解」で、「介護記録には専門用語を用いるべき」と述べましたが、「計画書」は、これが唯一該当しない「例外」であるということもご理解ください。
もう少し、詳細に、具体的に、焦点をあてれば、この視点が「総合的な援助の方針」と「目標」(特に「長期目標」)に活かされているかが問題になります。
通知においても「抽象的な言葉ではなく誰にでも分かりやすい、具体的な内容を記載する」と規定されています。正にこの規定は、「説明責任(accountability)」を計画書に「要件」として求めている根拠と言えます。
また、上記のような理由から、第3回「記録の誤解」で、「介護記録には専門用語を用いるべき」と述べましたが、「計画書」は、これが唯一該当しない「例外」であるということもご理解ください。