ケアサービスを提供するうえで、鍵となる“記録”。その役割を再確認し、実践に活かすにはどうしたらよいか、考えてみましょう。本連載では、施設における“記録”を取り上げていきます。
第12回 他者に伝える(5)
情報共有の“Key Word”『ツール(道具)の活用(1)』
文字だけでは伝えきれない・効率が良くない…
他者に「情報」を伝え、それを共有するには、何某かの“媒体”が必要です。ふだん私たちは、日常生活の中で“言葉”を“媒体”として用いています。しかし「介護記録」は、ある一定の期間(介護保険法上は、その完結の日から2年)残しておかなければなりません。それを考えると、形として残らない「会話」などの“言葉”は「介護記録」の情報伝達の“媒体”としては使えないことになります。
そのため、「介護記録」においては、伝達や共有の“媒体”として、“文字”を使うことになります。しかしながら、「介護記録」において、伝達や共有を行う手段は、“文字”のみなのでしょうか。他に何か効率よく、確実に伝達や共有を実践するための便利なツール(道具)はないのでしょうか?
そのため、「介護記録」においては、伝達や共有の“媒体”として、“文字”を使うことになります。しかしながら、「介護記録」において、伝達や共有を行う手段は、“文字”のみなのでしょうか。他に何か効率よく、確実に伝達や共有を実践するための便利なツール(道具)はないのでしょうか?
図やイラストを活用する
利用者の身体状況に関する情報、例えば、麻痺・拘縮、褥瘡や皮膚疾患等の状況を他者に正確に“文字”だけで伝えようとすると、かなりの“技術”と“知識”を必要とします。それ故、現場経験が浅い新人や非常勤の従事者等には至難の業です。もちろん、時間を費やして“文字”のみで伝えることができるように訓練を行うことが大切ですが、現場ではその余裕はなかなかありません。
その際に“媒体”として効力を発揮するのが、「人体図(人型)」です(図1参照)。特に皮膚疾患の状況等その疾患の部位や範囲などは、“文字”で表現するよりも、“図”の中に示した方が他者に伝わりやすいし、受け手の経験や知識に左右されずに共有が可能です。また、このツール(道具)は、「虐待」の情報伝達・共有においても効力を発揮する(している)ものだと言えます。
共通の基準を活用する
さらに、介護者の要介護の状況、ADL状況等にも便利なツール(道具)が存在します。サービス提供者側の要介護者の状態を判断する基準として、「要介護度」がありますが、これは「介護記録」において、共有という「共通認識」を導き出すツール(道具)としては、あまり使えないのは、既に皆さんが現場でお分かりになっていると思います。
例えば、同じ「要介護2」という状態であっても、「1」に近い「2」と、「3」に近い「2」とではその状態は全く異なるし、それに認知症が介在すると支援の方法もさらに異なってきます。これでは、共有を図ることは困難です。
このような問題点をある程度解消してくれるツール(道具)が、「日常生活自立度判定基準」です。もし、情報の伝達・共有の“媒体”として採用されていなければ、より一層の効率化、共有化のためにも、活用をおすすめいたします。このツールの詳細な内容は、以下の資料を参考にしてください。もしくは、介護支援専門員さんにお尋ねください。
例えば、同じ「要介護2」という状態であっても、「1」に近い「2」と、「3」に近い「2」とではその状態は全く異なるし、それに認知症が介在すると支援の方法もさらに異なってきます。これでは、共有を図ることは困難です。
このような問題点をある程度解消してくれるツール(道具)が、「日常生活自立度判定基準」です。もし、情報の伝達・共有の“媒体”として採用されていなければ、より一層の効率化、共有化のためにも、活用をおすすめいたします。このツールの詳細な内容は、以下の資料を参考にしてください。もしくは、介護支援専門員さんにお尋ねください。