ケアサービスを提供するうえで、鍵となる“記録”。その役割を再確認し、実践に活かすにはどうしたらよいか、考えてみましょう。本連載では、施設における“記録”を取り上げていきます。
第14回 他者に伝える(7)
情報共有の“Key Word”『時間管理』
第8回から6回にわたり「他者に伝える」というテーマで進めてきましたが、今回でこのテーマは最後となります。
施設におけるサービスの根幹とも言えるチームケア。このチームケアを進めるにあたり、チームの成員で情報を共有することが、「記録」を残すことの第一義だということは、十分お分かりいただけたと思います。しかし、チーム内で確実に、正確に情報の伝達・共有を行うためには、今までご紹介したような作成過程のテクニック以外に必要なものが一つあります。それが「時間管理」です。
施設におけるサービスの根幹とも言えるチームケア。このチームケアを進めるにあたり、チームの成員で情報を共有することが、「記録」を残すことの第一義だということは、十分お分かりいただけたと思います。しかし、チーム内で確実に、正確に情報の伝達・共有を行うためには、今までご紹介したような作成過程のテクニック以外に必要なものが一つあります。それが「時間管理」です。
「時間がない」は理由にならない
研修会などで、今までご紹介したようなテクニックの話をすると、時折、休み時間等に「ご説明いただいたことはよく分かりました。一部は私の施設でも指導・助言をして実践させています。でも、現場は人員が足りず、皆遅くまで残って仕事をしているのですが、『記録』を残す時間がありません。この現状ではどうしようもないです…」というご意見をお聞きすることがあります。
このようなご意見の現状や苦悩はよく分かりますが、これは「記録」を残せない理由には全くならないことをご理解ください。時間がないことを「記録」を残せない理由にしてはいけないのです。
特に、介護保険下のケアサービスは、契約による金銭の対価としてのサービスとして成り立っています。ここでいうケアサービスとは、現場で入浴や排泄の介助を行うことだけを指すのではなく、その根拠や内容を正確に確実に残すことまでを指しています。
つまり「記録」は、ケアサービス実践の一連の流れの終着点とされているということです。そうなれば、「時間がないから…」と言い「記録」を残さないのは、本質的に「ケアサービス」を行っていないと言っても過言ではないのです。
このようなご意見の現状や苦悩はよく分かりますが、これは「記録」を残せない理由には全くならないことをご理解ください。時間がないことを「記録」を残せない理由にしてはいけないのです。
特に、介護保険下のケアサービスは、契約による金銭の対価としてのサービスとして成り立っています。ここでいうケアサービスとは、現場で入浴や排泄の介助を行うことだけを指すのではなく、その根拠や内容を正確に確実に残すことまでを指しています。
つまり「記録」は、ケアサービス実践の一連の流れの終着点とされているということです。そうなれば、「時間がないから…」と言い「記録」を残さないのは、本質的に「ケアサービス」を行っていないと言っても過言ではないのです。
時間を創り出す
それでは、この時間の制限をどう解決するのか?その答えの一つは、業務改善による「時間管理」です。あなたの施設が、もし「記録」に関する時間の問題でお困りでしたら、一度根本的に業務の見直しを行ってみてください。意外と無駄な時間がありませんか?
ちょっとした時間を作り、強制的にでも「記録」の時間を確保しないと「記録」の時間は、他の時間に抹殺されてしまします。
さらに、新任者や現場に不慣れな従事者等は、特に現場責任者が意識して時間を設けて「記録」を残させないと、「記録」が残せないという悪い習慣が身に付いてしまい、取り返しのつかない状況になってしまう恐れが大きいのです。
業務改善や省力化等の見直しを行い、一日30分からでもいいので「記録」の時間を設けましょう。また、一日の記録はその日のうちに!というのも重要な鉄則です。溜めて書くということも正確な情報の共有を蝕む原因の一つになります。
時間を見つけ、その日の内に「記録」をつける習慣を身につけましょう。そのためにはちょっとした工夫も必要です。この工夫に関しては、拙著『“ケアが変わる”介護記録の書き方』のP72〜P77でご紹介していますので、興味がある方は参考にしてください。
ちょっとした時間を作り、強制的にでも「記録」の時間を確保しないと「記録」の時間は、他の時間に抹殺されてしまします。
さらに、新任者や現場に不慣れな従事者等は、特に現場責任者が意識して時間を設けて「記録」を残させないと、「記録」が残せないという悪い習慣が身に付いてしまい、取り返しのつかない状況になってしまう恐れが大きいのです。
業務改善や省力化等の見直しを行い、一日30分からでもいいので「記録」の時間を設けましょう。また、一日の記録はその日のうちに!というのも重要な鉄則です。溜めて書くということも正確な情報の共有を蝕む原因の一つになります。
時間を見つけ、その日の内に「記録」をつける習慣を身につけましょう。そのためにはちょっとした工夫も必要です。この工夫に関しては、拙著『“ケアが変わる”介護記録の書き方』のP72〜P77でご紹介していますので、興味がある方は参考にしてください。
情報の確認者をはっきりさせる
最後にもう一つ。「情報の共有」という点で、特に施設ケアにおいて見られる不備について、ご指摘しておきたいと思います。
よく情報の伝達・共有の手段として、「申し送り簿」のようなものが現場で用いられていますが、これに不備が見られるケースがあります。
それは、「誰がその情報を共有しているのか確認ができない」という点です。
「申し送り簿」の内容は、詳細に記載してあり問題がないのですが、第三者の視点で見ると、一体誰が情報を確認したのかが、全く見えないことがあります。現場の方に確認すると「各々が出勤したら、確認するようになっています。」と教えてくださるのですが、このような状態では、事故やトラブルが発生した場合に、せっかくの「申し送り簿」という情報共有の手段が無駄になってしまう恐れがあります。
確実、正確な共有を実践するためには、情報共有者の確認押印や署名のシステムが必要なのです。情報の確認者をはっきりさせるシステムの徹底がリスクマネジメントの徹底にもなりますので、明日からでも実践していただければと思います。
よく情報の伝達・共有の手段として、「申し送り簿」のようなものが現場で用いられていますが、これに不備が見られるケースがあります。
それは、「誰がその情報を共有しているのか確認ができない」という点です。
「申し送り簿」の内容は、詳細に記載してあり問題がないのですが、第三者の視点で見ると、一体誰が情報を確認したのかが、全く見えないことがあります。現場の方に確認すると「各々が出勤したら、確認するようになっています。」と教えてくださるのですが、このような状態では、事故やトラブルが発生した場合に、せっかくの「申し送り簿」という情報共有の手段が無駄になってしまう恐れがあります。
確実、正確な共有を実践するためには、情報共有者の確認押印や署名のシステムが必要なのです。情報の確認者をはっきりさせるシステムの徹底がリスクマネジメントの徹底にもなりますので、明日からでも実践していただければと思います。