Vol.97 老後生活費の調達のポイントはここ(1)〜老後の生活費の上手な調達法(下)
川村匡由(社会福祉学者・行政書士有資格者)
私的年金で公的年金の不足を補う
そこで、気になるのは、「では公的年金だけで老後の生活費の全額を賄えるのかどうか」ということですが、Vol.4の「公的年金と私的年金」でお話ししたように、平均的なサラリーマン世帯(夫婦の老齢基礎年金と夫の老齢厚生年金)の場合、月額約23.4万円です。
このため、よほどの退職金や預貯金、アパートの家賃など副業(サイドビジネス)の収入がある人ならともかく、ごく平均的なサラリーマンであれば、残念ながら私的年金でカバーせざるを得ないのが実態です。
この私的年金には、会社員が入ることができる企業年金と、だれもが入ることができる個人年金の2つがあります。
このため、よほどの退職金や預貯金、アパートの家賃など副業(サイドビジネス)の収入がある人ならともかく、ごく平均的なサラリーマンであれば、残念ながら私的年金でカバーせざるを得ないのが実態です。
この私的年金には、会社員が入ることができる企業年金と、だれもが入ることができる個人年金の2つがあります。
会社員や公務員は企業年金、職域年金に注目する
このうち、会社員の場合、厚生年金基金、または税制適格年金(適格退職年金)、もしくは確定給付企業年金や確定拠出年金(日本版401K)のいずれかの企業年金と公的年金、すなわち、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせ、老後の生活費を全額、補えるように設計しましょう。
具体的には、勤務先に、上記した企業年金のいずれを導入しており、何歳からいくら支給されるのか、確認します。また、その際、退職金の支給額と企業年金の掛金の一部、あるいは全部が退職金の“前借り”という形で支払われていて、減額されているのかどうかも聞きましょう。
なお、会社によっては、近年の不景気で企業年金の導入を取り止めているところも少なくありません。また、税制適格年金(適格退職年金)は2012(平成24)年3月までに廃止され、確定拠出年金などに移行される予定ですので、注意して下さい。
一方、公務員の場合、企業年金はありませんが、代わりに共済年金(退職共済年金)の中に職域年金(職域年金相当部分)が加算されているため、その金額もシミュレーションしましょう(下図を参照)。
なお、この職域年金(職域年金相当部分)は、同じサラリーマンであるにもかかわらず、公務員の共済年金だけに付加された特殊なもので、実質的な企業年金に当たるほか、会社員の厚生年金との一元化の必要上、自公連立政権時代でも廃止すべきとの議論がされていました。その後、民主党政権に変わりましたが、この成り行きには十分注目して下さい。
具体的には、勤務先に、上記した企業年金のいずれを導入しており、何歳からいくら支給されるのか、確認します。また、その際、退職金の支給額と企業年金の掛金の一部、あるいは全部が退職金の“前借り”という形で支払われていて、減額されているのかどうかも聞きましょう。
なお、会社によっては、近年の不景気で企業年金の導入を取り止めているところも少なくありません。また、税制適格年金(適格退職年金)は2012(平成24)年3月までに廃止され、確定拠出年金などに移行される予定ですので、注意して下さい。
一方、公務員の場合、企業年金はありませんが、代わりに共済年金(退職共済年金)の中に職域年金(職域年金相当部分)が加算されているため、その金額もシミュレーションしましょう(下図を参照)。
なお、この職域年金(職域年金相当部分)は、同じサラリーマンであるにもかかわらず、公務員の共済年金だけに付加された特殊なもので、実質的な企業年金に当たるほか、会社員の厚生年金との一元化の必要上、自公連立政権時代でも廃止すべきとの議論がされていました。その後、民主党政権に変わりましたが、この成り行きには十分注目して下さい。