Vol.103 老後生活費の調達のポイントはここ(6)
川村匡由(社会福祉学者・行政書士有資格者)
会社員なら財形年金(貯蓄)をまず検討しよう
ところで、会社員なら、同じ個人年金でも財形年金(貯蓄)をまず検討したいものです。なぜなら、次の表のように、財形年金(貯蓄)は、財形住宅(貯蓄)とともに会社員だけに認められている税制優遇の制度だからです。
表 老後の蓄えに利子非課税が使える「年金財形」
表 老後の蓄えに利子非課税が使える「年金財形」
具体的には、貯蓄の残高が財形住宅(貯蓄)と合わせ、550万円までなら利子などに税金はかかりません。もっとも、保険などの財形住宅(貯蓄)場合、払込額の385万円までは非課税となります。
ただし、勤務先が導入している民間金融機関の財形年金(貯蓄)しか加入できません。また、加入できる年齢や積立期間、受取期間なども限られているため、希望者はそれぞれの勤務先に照会したうえ、加入を検討することになります。もっとも、積立期間中、毎月の給料や賞与(ボーナス)から天引きされるため、知らず知らずのうちに計画的に加入し続けることができるため、契約当初さえ、将来の老後の生活費の調達法として考えることができる、という意味では理想的といえるでしょう。
ちなみに知人のAさんは会社員ですが、今年50歳になったのを機に、勤務先を通じて財形年金(貯蓄)に加入しただけでなく、一般の個人年金にもほぼ同時に加入し、60歳で定年退職後、再就職などせず、公的年金、企業年金、財形年金(貯蓄)、それに一般の個人年金と合わせ、毎月40万円を確保し、「定年後は、これまで一度もできなかった世界遺産めぐりを毎年1〜2回、妻と楽しみたい」と、悠々自適の老後に今から胸をふくらませています。
Aさんは子どもが一人のうえ、住宅ローンもないので万々歳のようで、まったく、うらやましい限りです。我ら庶民も、Aさんにあやかれるものなら、あやかりたいものですが、まだ50代という現役真っ盛りの年代は、住宅やマイカーのローン、子どもの教育費、生命保険の保険料などというように何かと出費が重なるだけに、“保険漬け”になって毎日がひもじい思いをするようなことだけは避けたいものです。
以上、今年は財テクを中心にお話ししてきましたが、新年も引き続き「老後の生活費のポイントはここ」についてお話ししましょう。1月8日に更新する予定です。
(2009年12月25日)