Vol.104 老後生活費の調達のポイントはここ(7)〜生命保険の種類
川村匡由(社会福祉学者・行政書士有資格者)
明けましておめでとうございます。年頭にあたり、みなさんはこの1年をどのように過ごされるのでしょうか。
さて、今年も昨年に引き続き、もう少し「老後生活費の調達のポイントはここ」についてお話しましょう。
さて、今年も昨年に引き続き、もう少し「老後生活費の調達のポイントはここ」についてお話しましょう。
生命保険で増やすには
老後の生活費を上手に調達するには、これまでお話しした公的年金や企業年金、個人年金、国民年金基金、付加年金だけではありません。なぜなら、みなさんもご存知の生命保険で増やすこともできるからです。
実は、わが国は世界でも冠たる“保険王国”で、国内に本社や本部を置く、かんぽ生命保険(旧簡易保険)や全国農業協同組合(JA農協)、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)などの共済も含めると46社もあります。しかも、これらの会社などが販売している保険商品は何と全体で何百何千にも上っています。
そこでというわけか、ある調査結果によると、全世帯の89.6%が何らかの生命保険に加入しています。そのことは、全国の主要都市の商業地には必ずといっていいほど、立派な生命保険会社のビルが林立しており、新聞やテレビ、インターネットでは、有名な俳優やタレントをモデルに使って宣伝していることからもわかります。
また、各地に設けられた保険代理店では、若い女性がお揃いのユニフォームで、訪れた客にカラフルなチラシや冊子を見せ、愛嬌(あいきょう)を振りまいて加入を促していることも、すでにご経験のあるところでしょう。最近は、このような店頭販売に加え、通信販売も行っており、国内、海外の保険会社が入り混じって契約の獲得に熾烈(しれつ)な競争を展開しています。
その背景には、金融ビッグバンがあるわけですが、今後、ますます少子高齢化が進むのではないかといわれているにもかかわらず、景気は民主党政権に交代してもすぐにはよくならないなか、これから定年退職し、老後を迎えることになるシニアにとって、現在の高齢者や団塊世代の人たちよりも厳しい老後が待ち受けていることはだれの目にも明らかです。加えて、「100年に1度の世界同時不況」、あるいは「デフレスパイラル」ともいわれています。
このような折、もしそのような無計画な加入の生命保険があったら、また、「これから生命保険に加入しよう」などと考えているとすれば、将来の老後の生活費の調達を考えるうえで決して望ましいことではありません。
ところが、肝心の消費者である国民はというと、多くは、「生命保険は、家族が万一死亡した場合、残された家族の生活保障」、ということぐらいしか認識していないように思われます。
実は、わが国は世界でも冠たる“保険王国”で、国内に本社や本部を置く、かんぽ生命保険(旧簡易保険)や全国農業協同組合(JA農協)、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)などの共済も含めると46社もあります。しかも、これらの会社などが販売している保険商品は何と全体で何百何千にも上っています。
そこでというわけか、ある調査結果によると、全世帯の89.6%が何らかの生命保険に加入しています。そのことは、全国の主要都市の商業地には必ずといっていいほど、立派な生命保険会社のビルが林立しており、新聞やテレビ、インターネットでは、有名な俳優やタレントをモデルに使って宣伝していることからもわかります。
また、各地に設けられた保険代理店では、若い女性がお揃いのユニフォームで、訪れた客にカラフルなチラシや冊子を見せ、愛嬌(あいきょう)を振りまいて加入を促していることも、すでにご経験のあるところでしょう。最近は、このような店頭販売に加え、通信販売も行っており、国内、海外の保険会社が入り混じって契約の獲得に熾烈(しれつ)な競争を展開しています。
その背景には、金融ビッグバンがあるわけですが、今後、ますます少子高齢化が進むのではないかといわれているにもかかわらず、景気は民主党政権に交代してもすぐにはよくならないなか、これから定年退職し、老後を迎えることになるシニアにとって、現在の高齢者や団塊世代の人たちよりも厳しい老後が待ち受けていることはだれの目にも明らかです。加えて、「100年に1度の世界同時不況」、あるいは「デフレスパイラル」ともいわれています。
このような折、もしそのような無計画な加入の生命保険があったら、また、「これから生命保険に加入しよう」などと考えているとすれば、将来の老後の生活費の調達を考えるうえで決して望ましいことではありません。
ところが、肝心の消費者である国民はというと、多くは、「生命保険は、家族が万一死亡した場合、残された家族の生活保障」、ということぐらいしか認識していないように思われます。
注目したい生死混合保険
しかし、生命保険はこのような死亡保険だけでなく、家族が長生きした場合の生活費をあらかじめ調達する生存保険、さらに、この二つの保険をいいとこ取りした生死混合保険というものもあります。
では、これらの保険はどのように違うのでしょうか。
まず、死亡保険は、一家の大黒柱を失ったのちの家族(遺族)の生活保障であるのに対し、生存保険は、一家の大黒柱を含めた家族の老後の生活保障です。このため、死亡保険は、自分が万一のときの家族(遺族)の生活費の調達にはぴったりですが、一家の大黒柱である自分が長生きする場合の老後の生活費の調達、という点では意味がありません。この点、生存保険は、家族はもとより、一家の大黒柱である自分も長生きする場合の老後の生活費という点では大きなインパクトとなります。
しかし、もっと有利なものは生死混合保険です。なぜなら、この死亡保険と生存保険の両方のよいところを併せ持った、家族(遺族)および家族の生活保障の保険だからです。そこで、仮に公的年金や企業年金、個人年金、国民年金基金、付加年金だけでは老後の生活費が心もとない人にとっては、生死混合保険は格好の秘策というわけです。
ただし、何にでもいえるように、それぞれのメリットとデメリットはつきものです。
たとえば、保険料は、死亡保険には割安な掛け捨てもありますが、生存保険は掛け捨てがないため、その分、割高となります。理由は、生存保険は死亡保険と異なり、貯蓄的な目的を持っているからです(表)。
では、これらの保険はどのように違うのでしょうか。
まず、死亡保険は、一家の大黒柱を失ったのちの家族(遺族)の生活保障であるのに対し、生存保険は、一家の大黒柱を含めた家族の老後の生活保障です。このため、死亡保険は、自分が万一のときの家族(遺族)の生活費の調達にはぴったりですが、一家の大黒柱である自分が長生きする場合の老後の生活費の調達、という点では意味がありません。この点、生存保険は、家族はもとより、一家の大黒柱である自分も長生きする場合の老後の生活費という点では大きなインパクトとなります。
しかし、もっと有利なものは生死混合保険です。なぜなら、この死亡保険と生存保険の両方のよいところを併せ持った、家族(遺族)および家族の生活保障の保険だからです。そこで、仮に公的年金や企業年金、個人年金、国民年金基金、付加年金だけでは老後の生活費が心もとない人にとっては、生死混合保険は格好の秘策というわけです。
ただし、何にでもいえるように、それぞれのメリットとデメリットはつきものです。
たとえば、保険料は、死亡保険には割安な掛け捨てもありますが、生存保険は掛け捨てがないため、その分、割高となります。理由は、生存保険は死亡保険と異なり、貯蓄的な目的を持っているからです(表)。
(2009年1月13日)