Vol.4 公的年金と私的年金
川村匡由(社会福祉学者)
公的年金の種類と加入
このうち、まず公的年金ですが、これにはだれでも入る国民年金のほか、会社員が入る厚生年金と公務員や私立学校教職員が入る共済年金があります。
このため、一口に公的年金といっても、人によって国民年金しか入らない人と、国民年金のほか、厚生年金、もしくは共済年金のいずれかへ二重に入る人に分かれます。
具体的には、国民年金は20歳から60歳になるまで、すべての人が入るのに対し、厚生年金は会社員、共済年金は公務員や私立学校の教職員しか入りません。そこで、このように国民年金のほか、別の公的年金に入る場合を指して「二階建て年金」といっています。
なお、自営業や専業主婦、学生は国民年金しか入りません。
私的年金の場合はこうなる
一方、私的年金には会社員が入る企業年金と、だれもが入る個人年金の二つがあります。
このうち、企業年金は、大企業が導入している厚生年金基金と、中小企業が導入している税制適格年金(適格退職年金)があります。しかし、バブルの崩壊以後、厚生年金基金は国の厚生年金の事業を代行している部分を返上したり、基金を解散し、確定給付企業年金や確定拠出年金(日本版401K)、また、税制適格年金(適格退職年金)も確定給付企業年金や確定拠出年金にそれぞれ移行しつつあるのが現状です。
もっとも、公務員や私立学校教職員の場合、共済年金のなかに職域年金部分という特殊な年金が会社員の企業年金に代わるものとして設定されています。
これに対し、個人年金は、生命保険会社や損害保険会社、銀行、農業協同組合など民間の金融機関をはじめ、日本郵政公社や消費生活協同組合などの公的な金融機関が金融商品として扱っているものです。これは貯蓄型と保険型に分かれ、会社員でも公務員でも、また、自営業や専業主婦を問わず、だれでも自由に入ることができます。
このうち、企業年金は、大企業が導入している厚生年金基金と、中小企業が導入している税制適格年金(適格退職年金)があります。しかし、バブルの崩壊以後、厚生年金基金は国の厚生年金の事業を代行している部分を返上したり、基金を解散し、確定給付企業年金や確定拠出年金(日本版401K)、また、税制適格年金(適格退職年金)も確定給付企業年金や確定拠出年金にそれぞれ移行しつつあるのが現状です。
もっとも、公務員や私立学校教職員の場合、共済年金のなかに職域年金部分という特殊な年金が会社員の企業年金に代わるものとして設定されています。
これに対し、個人年金は、生命保険会社や損害保険会社、銀行、農業協同組合など民間の金融機関をはじめ、日本郵政公社や消費生活協同組合などの公的な金融機関が金融商品として扱っているものです。これは貯蓄型と保険型に分かれ、会社員でも公務員でも、また、自営業や専業主婦を問わず、だれでも自由に入ることができます。
年金の種類と違い
公的年金や企業年金を中心にした老後設計
そこで、人生80年、いえ、人生100年時代における老後の生活資金の見通しを立てる際、最も大切なことは、自分はいずれの公的年金を何歳から、いくらぐらい受け取ることができるのか、まずチェックすることが大切です。それというのも、公的年金はだれもが現役時代に収入の中から保険料を支払い、老後などに備えるべく、互いに社会的な扶養に努める仕組みになっているからです。
そのうえで、なお不足するようであれば、会社員なら企業年金、公務員や私立学校教職員であれば共済年金の職域年金部分の受取額を確認することが大切です。しかし、現実は拝金主義がまかり通っているご時勢なのか、民間の金融機関の必要以上のコマーシャルのためなのか、はたまた、今後、ますます高齢化が進むため、公的年金への不安がつのるのか、公的年金の保険料を滞納したり、未納のまま個人年金をアテにして掛けている人たちが少なくありません。ちなみに会社員世帯の年金額は月額約23万円です。
しかし、私たちはそのようなことのないよう、公的年金や企業年金を中心にした老後の“安心設計”に努めたいものです。
そのうえで、なお不足するようであれば、会社員なら企業年金、公務員や私立学校教職員であれば共済年金の職域年金部分の受取額を確認することが大切です。しかし、現実は拝金主義がまかり通っているご時勢なのか、民間の金融機関の必要以上のコマーシャルのためなのか、はたまた、今後、ますます高齢化が進むため、公的年金への不安がつのるのか、公的年金の保険料を滞納したり、未納のまま個人年金をアテにして掛けている人たちが少なくありません。ちなみに会社員世帯の年金額は月額約23万円です。
しかし、私たちはそのようなことのないよう、公的年金や企業年金を中心にした老後の“安心設計”に努めたいものです。
(2007年5月31日)