Vol.72 年金の損得はここがポイント(3)〜繰上げ・繰下げ受給の選択〜
川村匡由(社会福祉学者)
総額は年齢などによって異なる
確かに、老齢基礎年金は希望すれば60〜64歳の「繰上げ受給」、逆に66〜70歳の「繰下げ受給」のいずれかを選ぶことが可能ですが、これに伴って年金額も生涯にわたって増減し、以後、変更できません。
しかし、裏を返せば、「繰下げ受給」の場合、その年齢まで年金が受給できず、この間、“無年金”となるため、ここはよく考えたいものです。それというのも、たとえば、60歳で「繰上げ受給」した場合、満額になる65歳からの本来の年金より減額されますが、受給そのものは65歳まで待ち、本来の年金額を受給する場合よりも5年、また、さらに70歳まで「繰下げ受給」をして増額した場合よりも10年、それぞれ早く年金を受給することになるからです。
また、65歳まで待って本来の年金額を受給する場合、60歳から「繰上げ受給」した場合と比べて5年間、さらに70歳まで「繰下げ受給」をした場合と比べて10年間、それぞれ“無年金”の状態が続くことになります。
そこで、問題は、65歳まで待って本来の年金額を受給した場合、およびさらに70歳まで「繰上げ受給」をした場合、すでに60歳から「繰上げ受給」をし、60〜65歳、および60〜70歳の年金総額を追いつき、追い越すのは何歳のときかということですが、これはその人の年金総額や「繰下げ受給」、「繰り上げ受給」の年齢によって異なるため、くわしくは社会保険事務所にご相談下さい。
いずれにしても、最終的には日ごろの健康管理で“勝負”は決まる、ということでしょうか。
(2009年5月1日)