Vol.102 老後生活費の調達のポイントはここ(5)〜年金のベストな受け取り方
川村匡由(社会福祉学者・行政書士有資格者)
個人年金の3つのポイント
会社員や公務員、自営・自由業を問わず、公的年金や企業年金、あるいは国民年金基金などを加えても老後の生活費を満たせなければ、個人年金に加入してその不足分を補うことになりますが、実はこの個人年金は加入の方法や保険料の掛け方、また、年金の受け取り方はまちまちです。
そこで、今回は、どのような個人年金に加入すれば得なのか、お話ししましょう。
まず、以前にご紹介した次の図をもう一度よく見て下さい。ご覧のように、たとえば生命保険の個人年金、すなわち、個人年金保険をみても明らかなように、その加入の方法や保険料の掛け方、また、年金の受け取り方にはさまざまなものがあることがおわかりでしょう。
図 個人年金保険
そこで、今回は、どのような個人年金に加入すれば得なのか、お話ししましょう。
まず、以前にご紹介した次の図をもう一度よく見て下さい。ご覧のように、たとえば生命保険の個人年金、すなわち、個人年金保険をみても明らかなように、その加入の方法や保険料の掛け方、また、年金の受け取り方にはさまざまなものがあることがおわかりでしょう。
図 個人年金保険
逓増型・保証期間付きの終身年金にする
しかし、ポイントは大きく分けて次の3つとなりますので、そんなに難しく考える必要はありません。
まず第一は、個人年金の受給は逓増型にすることです。なぜなら、定額型は、長生きしても年金額は基本的に変わらないため、将来、物価が上昇すれば貨幣価値が下がって“目減り”してしまうのに対し、逓増型は、物価の上昇によって貨幣価値が下がってしまっても年金額が増額されるため、“目減り”を少しでも補うことが可能だからです。すなわち、個人年金は公的年金などのように物価の上昇に伴う増額の改定などがないため、要注意です。
第二は、個人年金の受取期間は終身年金にすることです。なぜなら、個人年金は、被保険者、すなわち、加入者の生死に関係なく、契約時に定めた一定期間、年金を受け取る確定年金、加入者が生存している限り、年金が受け取れる有期年金、それに、加入者が死亡するまで生涯にわたって年金が受け取れる終身年金に分かれています。 このため、公的年金や厚生年金基金などの企業年金のように、加入者が死亡するまで生涯にわたって受け取ることができる終身年金にしなければ、年金本来の老後の生活費の保障とはならないからです。
最後に第三は、個人年金の受け取りは保証期間付きにすることです。なぜなら、個人年金は、公的年金のように被保険者、すなわち、加入者が年金を受け取っている間に万一、死亡した場合、遺族年金が支給されるようにはなっていないからです。
以上のことは、他の金融機関の個人年金についても同様なことがいえますが、いずれにしても、このように逓増型で保証期間付きの終身年金にした場合、その分、財源となる保険料の支払額も定額型で保証期間なしの確定年金や有期年金よりも割高にはなります。しかし、長い老後の生活費を50代から備えておくにはこれしかないでしょう。
なお、同じ逓増型で保証期間付きの終身年金でも、夫婦のいずれが先立っても残された人が死別した配偶者と同額の年金を生涯にわたって受け取る夫婦年金にすればベストでしょう。
また、以上のお話は、50代から個人年金に加入し、公的年金や企業年金、あるいは国民年金基金などを加えても老後の生活費を調達できない場合の方策を述べました。しかし、所詮は民間金融機関による保険料の運用のため、公的年金よりもリスクが高いうえ、「100年に一度の経済危機」という先の見えない折、現金が一番と考えるなら、50代で個人年金に加入し、毎月、保険料を積み立てていくことは見送り、60歳前後の定年退職時、退職金の一部を個人年金の保険料として1000万円程度一括払いし、希望する年齢になってから個人年金を受け取ることも一考でしょう。
まず第一は、個人年金の受給は逓増型にすることです。なぜなら、定額型は、長生きしても年金額は基本的に変わらないため、将来、物価が上昇すれば貨幣価値が下がって“目減り”してしまうのに対し、逓増型は、物価の上昇によって貨幣価値が下がってしまっても年金額が増額されるため、“目減り”を少しでも補うことが可能だからです。すなわち、個人年金は公的年金などのように物価の上昇に伴う増額の改定などがないため、要注意です。
第二は、個人年金の受取期間は終身年金にすることです。なぜなら、個人年金は、被保険者、すなわち、加入者の生死に関係なく、契約時に定めた一定期間、年金を受け取る確定年金、加入者が生存している限り、年金が受け取れる有期年金、それに、加入者が死亡するまで生涯にわたって年金が受け取れる終身年金に分かれています。 このため、公的年金や厚生年金基金などの企業年金のように、加入者が死亡するまで生涯にわたって受け取ることができる終身年金にしなければ、年金本来の老後の生活費の保障とはならないからです。
最後に第三は、個人年金の受け取りは保証期間付きにすることです。なぜなら、個人年金は、公的年金のように被保険者、すなわち、加入者が年金を受け取っている間に万一、死亡した場合、遺族年金が支給されるようにはなっていないからです。
以上のことは、他の金融機関の個人年金についても同様なことがいえますが、いずれにしても、このように逓増型で保証期間付きの終身年金にした場合、その分、財源となる保険料の支払額も定額型で保証期間なしの確定年金や有期年金よりも割高にはなります。しかし、長い老後の生活費を50代から備えておくにはこれしかないでしょう。
なお、同じ逓増型で保証期間付きの終身年金でも、夫婦のいずれが先立っても残された人が死別した配偶者と同額の年金を生涯にわたって受け取る夫婦年金にすればベストでしょう。
また、以上のお話は、50代から個人年金に加入し、公的年金や企業年金、あるいは国民年金基金などを加えても老後の生活費を調達できない場合の方策を述べました。しかし、所詮は民間金融機関による保険料の運用のため、公的年金よりもリスクが高いうえ、「100年に一度の経済危機」という先の見えない折、現金が一番と考えるなら、50代で個人年金に加入し、毎月、保険料を積み立てていくことは見送り、60歳前後の定年退職時、退職金の一部を個人年金の保険料として1000万円程度一括払いし、希望する年齢になってから個人年金を受け取ることも一考でしょう。
次回も「老後の生活費のポイントはここ」についてお話ししましょう。12月25日に更新の予定です。
(2009年12月18日)