Vol.89 年金の損得はここがポイント(20)〜60歳前に転社・転職・退職した人の場合
川村匡由(社会福祉学者・行政書士有資格者)
60歳前のリストラや転社・転職、脱サラの場合
一方、60歳になる前に他の会社や官公庁に転社・転職した人は、国民年金の被保険者資格は第2号被保険者のままで、引き続き60歳で定年退職するまで国民年金と厚生年金、あるいは国民年金と共済年金に加入し、毎月、給料から保険料を天引きの形で払っていくことに変わりはありません。また、会社員の場合は老齢基礎年金と老齢厚生年金、公務員の場合は老齢基礎年金と退職共済年金)を原則として65歳から支給されることに変わりはありません。
これに対し、60歳になる前に脱サラした人は、国民年金の第2号被保険者から第1号被保険者に種別変更され、厚生年金、あるいは共済年金を脱退し、以後、60歳になるまで国民年金だけに加入し、毎月、保険料を納めていくことになります。もっとも、その後、経営が軌道に乗って会社組織にした場合、国民年金の第1号被保険者から第2号被保険者に種別変更され、従来の国民年金のほか、厚生年金に二重加入することになります。
そして、会社員のとき、厚生年金に加入した分は老齢厚生年金、公務員のとき、共済年金に加入した分は退職共済年金がそれぞれ老齢基礎年金に上乗せされ、いずれも原則として65歳から支給されることになります。
なお、その際、専業主婦(年収130万円以下)の妻の場合、国民年金の第1号被保険者から第3号被保険者に種別変更され、以後、自分で国民年金の保険料を払っていく必要はなくなります。
また、夫が60歳で定年退職し、自分がまだ60歳未満という専業主婦(年収130万円以下)の妻は、国民年金の被保険者資格が第3号被保険者から第1号被保険者に変わるため、夫とともに、年金手帳を最寄りの社会保険事務所に持参して必要な手続きをとり、以後、60歳になるまで国民年金の保険料を毎月払っていくことになります。
なお、今回の話も“損得”というよりも、年金と雇用保険との関係をめぐる制度上のことですが、あらかじめよく知っておけば助かる話でしょう。
次回も、「年金の損得はここがポイント」についてお話ししましょう。9月18日(金)に更新の予定です。
(2009年9月11日)