Vol.87 年金の損得はここがポイント(18)〜離婚と年金(2)〜
川村匡由(社会福祉学者・行政書士有資格者)
離婚した場合の年金
そこで、万一、離婚した場合ですが、60歳未満であれば、第1号被保険者として60歳になるまで国民年金の保険料を払い、65歳から老齢基礎年金を受けられるようにする必要があります。
ただし、そのためには国民年金への編入の手続きが必要です。この手続きをしないと保険料を滞納したとみなされ、原則として65歳から支給される老齢基礎年金を減額されたり、年金の受給権(25年以上)が得られなくなったりするおそれもあるため、要注意です。
なお、離婚した場合、下表のように、それまでの婚姻期間などをもとに年金が分割されますが、当事者間の合意、または裁判にもとづいて決められるため、ケースによっては微妙に異なる場合もあります。
ただし、そのためには国民年金への編入の手続きが必要です。この手続きをしないと保険料を滞納したとみなされ、原則として65歳から支給される老齢基礎年金を減額されたり、年金の受給権(25年以上)が得られなくなったりするおそれもあるため、要注意です。
なお、離婚した場合、下表のように、それまでの婚姻期間などをもとに年金が分割されますが、当事者間の合意、または裁判にもとづいて決められるため、ケースによっては微妙に異なる場合もあります。
表 離婚をした場合の年金額への影響としては…
●厚生年金は、保険料を納めるときは世帯単位ですが、受給時にはご主人と奥様でそれぞれ別個に個人単位で支給されるようになります。 ●ご主人にはご自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金、奥様にはご自身の老齢基礎年金(*)がそれぞれ支給されます。 *奥様が過去に厚生年金に加入していたことがあった場合、厚生年金も支給されます。 |
☆☆離婚時の厚生年金の分割制度(平成19年4月〜)☆☆ ●平成19年4月から、離婚に際し、当事者間の合意や裁判にもとづいて婚姻期間中の保険料納付記録を最大50%まで分割できる「年金分割」の仕組みが導入されました。分割によって保険料納付記録が増えたり、減ったりした分が将来の厚生年金受給額に反映されます。 ●ただし、妻が分割された年金を受け取れるのは、自分が厚生年金の支給開始年齢に達してからで、夫が年金を受け取り始めたときではありません。また、分割を行った元配偶者が死亡しても、自身の年金受給に影響しません。 ●分割できるのは平成19年4月1日以降に成立した離婚に限られますが、分割対象には平成19年3月以前の婚姻期間も含められます。 |
☆☆離婚時の第3号被保険者期間の厚生年金の分割制度(平成20年4月〜)☆☆ ●平成20年4月から、同年4月1日以降の第3号被保険者期間について、離婚の際、当事者の一方からの請求により、第2号被保険者の厚生年金の保険料納付記録を自動的に2分の1に分割することができるようになりました。分割によって保険料納付記録が増えたり、減ったりした分が将来の厚生年金受給額に反映されます。 ●ただし、妻が分割された年金を受け取れるのは、自分が厚生年金の支給開始年齢に達してからで、夫が年金を受け取り始めたときではありません。また、分割を行った元配偶者が死亡しても、自身の年金受給に影響しません。 ●なお、同年3月以前の第3号被保険者期間については、自動的に2分の1に分割とはならず、上記の「離婚時の厚生年金の分割制度」の解説のように、当事者間の合意、もしくは裁判による取り決めが必要となります。 |
出典:社会保険庁ホームページを一部修正
この点、自営業・自由業の妻は、夫の国民年金とは独立して設計されているため、このようなライフステージの変化があっても会社や官公庁に勤務するようにでもならない限り、基本的には60歳になるまで、第1号被保険者として国民年金にだけ加入し続けることになります。このため、サラリーマンの妻のように年金の被保険者の資格や支給される年金がいくつの制度にまたがるようなことはありません。もっとも、逆にいえば、生涯、国民年金だけですので、離婚しても、しなくても、老後の年金はそれだけ少ないことになります。
ともあれ、離婚ともなれば、復氏(旧姓の復活)、子どもの親権や養育、監護、また、それまで夫婦で築いてきたマイホームなどの財産の分与、慰謝料など、さまざまな事柄も清算しなければなりません。しかし、それでも…という場合ならやむを得ないかもしれませんが、それなりの覚悟が必要です。
次回も、「年金の損得はここがポイント」についてお話ししましょう。9月4日(金)に更新の予定です。
ともあれ、離婚ともなれば、復氏(旧姓の復活)、子どもの親権や養育、監護、また、それまで夫婦で築いてきたマイホームなどの財産の分与、慰謝料など、さまざまな事柄も清算しなければなりません。しかし、それでも…という場合ならやむを得ないかもしれませんが、それなりの覚悟が必要です。
次回も、「年金の損得はここがポイント」についてお話ししましょう。9月4日(金)に更新の予定です。
(2009年8月28日)