Vol.86 年金の損得はここがポイント(17)〜離婚と年金(1)〜
川村匡由(社会福祉学者・行政書士有資格者)
女性の一生は年金の一生
女性にとって、年金は夫よりも大事かも知れません――。などというと、いぶかる男性もいるかも知れません。もちろん、もし、いたら、それは大変結構なことで、その幸せをいつまでもと願いたいです。
しかし、人口1000人当たりで、離婚が年平均2.3人前後という昨今、離婚も珍しくはなくなりました。その原因も性格の不一致や異性関係、暴力などさまざまで、中高年の夫婦にもそのような原因で離婚がクローズアップされつつあるといいますから、話は穏やかではありません。
そこで、今回は離婚と年金との関係をお話しましょう。
結論を先にいいますと、女性にとって、離婚は年金との関係では男性以上に深刻な問題となります。なぜなら、女性の一生はまさに「年金の一生」だからです(表)。
それというのも、1986(昭和61)年4月に基礎年金が導入され、だれもが生涯、最低「1人1年金」の体系になるよう、専業主婦も国民年金に強制加入し、基礎年金を受けることになったものの、基本的には夫が一家の生計を維持し、妻はその被扶養家族として生涯を送る、というライフスタイルがいまだに設計されているからです。
しかし、人口1000人当たりで、離婚が年平均2.3人前後という昨今、離婚も珍しくはなくなりました。その原因も性格の不一致や異性関係、暴力などさまざまで、中高年の夫婦にもそのような原因で離婚がクローズアップされつつあるといいますから、話は穏やかではありません。
そこで、今回は離婚と年金との関係をお話しましょう。
結論を先にいいますと、女性にとって、離婚は年金との関係では男性以上に深刻な問題となります。なぜなら、女性の一生はまさに「年金の一生」だからです(表)。
それというのも、1986(昭和61)年4月に基礎年金が導入され、だれもが生涯、最低「1人1年金」の体系になるよう、専業主婦も国民年金に強制加入し、基礎年金を受けることになったものの、基本的には夫が一家の生計を維持し、妻はその被扶養家族として生涯を送る、というライフスタイルがいまだに設計されているからです。
表 女性と年金の関係
ライフイベント | 必要な種別変更手続き | 手続き先 | |
会社員と結婚して退職し、専業主婦となったとき | 第2号被保険者 →第3号被保険者 |
配偶者の勤務する会社 | |
自営業や農業を営んでいた夫が就職して、自身はその夫に扶養される身となったとき | 第1号被保険者 →第3号被保険者 |
配偶者の勤務する会社 | |
自分を扶養していた会社員の夫が、会社を辞めたとき | 第3号被保険者 →第1号被保険者 |
市町村の国民年金窓口 | |
無職であった夫が、再就職したとき | 第1号被保険者 →第3号被保険者 |
配偶者の勤務する会社 | |
子育てを終えて自身が再就職を果たし、夫の被扶養家族から外れたとき | 第3号被保険者 →第2号被保険者 |
妻自身の勤め先の会社が代行 | |
自分を扶養していた会社員の夫と離婚したとき | ・パートに出た ・無職のまま |
第3号被保険者 →第1号被保険者 |
市町村の国民年金窓口 |
・離婚直後に就職した | 第3号被保険者 →第2号被保険者 |
本人の勤め先の会社が代行 |
出典:社会保険庁ホームページを一部改変
サラリーマンの妻の場合
たとえば、ごく一般的なサラリーマンの妻(専業主婦)である女性の一生を年金との関係で整理してみましょう。
まず学生時代は、国民年金の第1号被保険者として国民年金に加入しますが、学校を卒業して就職すると第2号被保険者となり、国民年金のほか、厚生年金か共済年金に加入することになります。しかし、結婚して退職すると第3号被保険者に変わり、厚生年金か共済年金の加入から外れ、夫の年金の“笠の下”に置かれ、国民年金の加入だけとなります。
そして、出産後、子育てを終えて再就職しますと再び第2号被保険者となり、国民年金のほか、厚生年金か共済年金に加入することになります。その後、親の介護で退職しますと、再度、第3号被保険者となり、国民年金のみの加入となります。
それだけではありません。夫が定年退職し、もし自分が60歳未満なら第1号保険者として60歳になるまで国民年金に編入し、保険料を払っていかなければなりません。そこへ、離婚でもしたら、60歳になるまで第1号被保険者として国民年金に加入し、毎月、保険料を払っていかなければなりません。もちろん、勤めに出れば、厚生年金か共済年金に二重加入しなくてはなりません。前回、お話した健康保険の保険料も払わなくてはならなくなります。
次回も、「離婚と年金」についてお話ししましょう。8月28日(金)に更新の予定です。
まず学生時代は、国民年金の第1号被保険者として国民年金に加入しますが、学校を卒業して就職すると第2号被保険者となり、国民年金のほか、厚生年金か共済年金に加入することになります。しかし、結婚して退職すると第3号被保険者に変わり、厚生年金か共済年金の加入から外れ、夫の年金の“笠の下”に置かれ、国民年金の加入だけとなります。
そして、出産後、子育てを終えて再就職しますと再び第2号被保険者となり、国民年金のほか、厚生年金か共済年金に加入することになります。その後、親の介護で退職しますと、再度、第3号被保険者となり、国民年金のみの加入となります。
それだけではありません。夫が定年退職し、もし自分が60歳未満なら第1号保険者として60歳になるまで国民年金に編入し、保険料を払っていかなければなりません。そこへ、離婚でもしたら、60歳になるまで第1号被保険者として国民年金に加入し、毎月、保険料を払っていかなければなりません。もちろん、勤めに出れば、厚生年金か共済年金に二重加入しなくてはなりません。前回、お話した健康保険の保険料も払わなくてはならなくなります。
次回も、「離婚と年金」についてお話ししましょう。8月28日(金)に更新の予定です。
(2009年8月21日)