Vol.85 年金の損得はここがポイント(16)〜103万円の壁〜
川村匡由(社会福祉学者・行政書士有資格者)
所得税や住民税から逃れる(?)には
ところで、これとよく似たことで「103万円の壁」という話がありますので、ついでに、この「103万円の壁」について説明しましょう。
といっても年金ではなく、税金のことですが、前回お話したように、専業主婦がアルバイトやパートタイマー、派遣社員などとして勤め、給料やボーナス(賞与)などを受け取る際、103万円を超えた場合、配偶者控除を認められなくなり、税金、すなわち、所得税がかけられるということです。なぜなら、現在、給与所得控除の最低額は65万円、また、基礎控除は38万円となっているため、これらの合計金額である103万円を超えた場合、所得税がかけられるというわけです。
そこで、健康保険や厚生年金の保険料を払いたくないし、所得税も払いたくない場合、給料やボーナス(賞与)などを合わせて103万円以下にする必要があります。
また、所得にかけられる税金は何もこの所得税だけではなく、他にも住民税があります。そこで、この住民税も払いたくないという人は、給料やボーナス(賞与)などを合わせて年収100万円にすればいいでしょう。
ただし、この100万〜103万円の間での住民税は実は数千円程度の負担ですので、勤め先が従業員に出している家族手当も年収103万円をベースにしているところが多いようです。このため、「この際、節税も…」などといって過剰反応するのはいかがかとも思われます。
男女共同参画社会の実現という視点も
しかし、考えてみれば、毎日、健康で働くことができ、それも給料やボーナス(賞与)などを合わせて年収103万円超、いえ、そればかりか、今後の状況次第では同150万〜200万円などとさらに昇給し、ひいては正社員となり、定年まで勤め上げられるようになれば、万一のときの医療保障や老後の年金の不安もかなりなくなるはずです。
それだけではありません。夫から少なくとも経済的に独立し、健康保険や厚生年金の保険料はもとより、所得税も毎月払っていくことは、相も変わらず男女格差がなくならないなか、専業主婦が名実とも「兼業主婦」として社会に羽ばたき、「100年に一度の経済危機」といわれる日本経済の建て直しに一役買うことも可能でしょう。
また、男女共同参画社会の実現という意味でも、きわめて有意義なことだと思うのは筆者だけではないでしょう。
次回も「年金の損得はここがポイント」についてお話ししましょう。8月21日(金)の更新の予定です。
それだけではありません。夫から少なくとも経済的に独立し、健康保険や厚生年金の保険料はもとより、所得税も毎月払っていくことは、相も変わらず男女格差がなくならないなか、専業主婦が名実とも「兼業主婦」として社会に羽ばたき、「100年に一度の経済危機」といわれる日本経済の建て直しに一役買うことも可能でしょう。
また、男女共同参画社会の実現という意味でも、きわめて有意義なことだと思うのは筆者だけではないでしょう。
次回も「年金の損得はここがポイント」についてお話ししましょう。8月21日(金)の更新の予定です。
(2009年8月14日)