Vol.84 年金の損得はここがポイント(15)〜130万円の壁〜
川村匡由(社会福祉学者・行政書士有資格者)
あなたは130万円以下派?
いうまでもなく、私たち国民には憲法によって「働く権利」が保障されていますが、その一方で、その収入に応じて税金を納める義務も課せられています。なぜなら、国民が安心して働き、その対価である給料やボーナス(賞与)などを得て、だれもが人権を尊重され、人間として最低限文化的な生活を営むことが実現される“契約社会”となっているからです。
しかし、できれば税金や社会保険料はなるべく払わず、生活を存分にエンジョイしたいというのも、偽らざる国民感情かも知れません。まして、アルバイトやパートタイマー、派遣社員などで働いている専業主婦にしてみれば、そのような気持ちはなおさらでしょうか。
そこで、健康保険や厚生年金の保険料は可能なら払わず、いつまでも夫の被扶養家族でいたいというわけか、アルバイトやパートタイマー、契約社員などで支給される給料やボーナス(賞与)を年間計130万円以下に抑えている人も少なくないようです。なぜなら、年収が130万円を超えてしまうと、健康保険や厚生年金では、以後、これらの被保険者の夫の被扶養家族として認められず、健康保険や厚生年金の保険料を払わなくてはならなくなるからです。
逆にいえば、年収が130万円以下なら、今後も、現在のアルバイトやパートタイマー、契約社員などで給料やボーナス(賞与)を引き続き手にできるし、健康保険や国民年金の保険料を払わなくても済むため、この130万円超という壁が、有能な人材をみすみす失う結果となっており、労働政策上、好ましいことではないのです。これが「130万円の壁」といわれるものです。
しかし、できれば税金や社会保険料はなるべく払わず、生活を存分にエンジョイしたいというのも、偽らざる国民感情かも知れません。まして、アルバイトやパートタイマー、派遣社員などで働いている専業主婦にしてみれば、そのような気持ちはなおさらでしょうか。
そこで、健康保険や厚生年金の保険料は可能なら払わず、いつまでも夫の被扶養家族でいたいというわけか、アルバイトやパートタイマー、契約社員などで支給される給料やボーナス(賞与)を年間計130万円以下に抑えている人も少なくないようです。なぜなら、年収が130万円を超えてしまうと、健康保険や厚生年金では、以後、これらの被保険者の夫の被扶養家族として認められず、健康保険や厚生年金の保険料を払わなくてはならなくなるからです。
逆にいえば、年収が130万円以下なら、今後も、現在のアルバイトやパートタイマー、契約社員などで給料やボーナス(賞与)を引き続き手にできるし、健康保険や国民年金の保険料を払わなくても済むため、この130万円超という壁が、有能な人材をみすみす失う結果となっており、労働政策上、好ましいことではないのです。これが「130万円の壁」といわれるものです。
それとも130万円超派?
確かに、現在の健康保険や厚生年金では、アルバイトやパートタイマー、契約社員などでの給料やボーナス(賞与)が年間で計130万円を超えてしまうと、もはや被扶養家族としては認められず、以後、健康保険や厚生年金の保険料を払わなくてはなりません(国民年金では第3号被保険者から第2号被保険者に切り替えられる)。このため、アルバイトやパートタイマー、契約社員などの専業主婦の多くは、勤め先に「年収が130万円以下になるよう、毎月の給料やボーナス(賞与)をうまく調整して…」などと申し出ているわけです。
また、勤務先のなかには、むしろ率先して本人にそのむねを告げ、給料やボーナス(賞与)を年間130万円以下にすべく、操作しているようです。
したがって、短期的に考えれば、少しでも支出を減らすには給料やボーナス(賞与)を年間計130万円以下にし、出費をできるだけ抑えることが賢明かも知れません。しかし、中長期的には、現在の不況がただちに回復するわけではないうえ、少子高齢社会はむしろこれからで、老後を考えれば、夫とは別に、自分で健康保険や厚生年金の保険料を払っていった方が、産休の場合は出産手当金、病気やけがをした場合は傷病手当金、また、年金は国民年金のほか、厚生年金も手にすることができるため、130万円超となるよう、頑張った方が働きがいも感じるのではないかと考えることもできます。
また、勤務先が率先して給料やボーナス(賞与)を年間130万円以下に操作したいのは、130万円超にしたら、従業員を健康保険や厚生年金に加入する正社員として雇うことが求められ、結果、これらの保険料の半分を勤務先が負担しなければならないため、余分なリスクは避けたいという思惑が働いていることも事実です。
また、勤務先のなかには、むしろ率先して本人にそのむねを告げ、給料やボーナス(賞与)を年間130万円以下にすべく、操作しているようです。
したがって、短期的に考えれば、少しでも支出を減らすには給料やボーナス(賞与)を年間計130万円以下にし、出費をできるだけ抑えることが賢明かも知れません。しかし、中長期的には、現在の不況がただちに回復するわけではないうえ、少子高齢社会はむしろこれからで、老後を考えれば、夫とは別に、自分で健康保険や厚生年金の保険料を払っていった方が、産休の場合は出産手当金、病気やけがをした場合は傷病手当金、また、年金は国民年金のほか、厚生年金も手にすることができるため、130万円超となるよう、頑張った方が働きがいも感じるのではないかと考えることもできます。
また、勤務先が率先して給料やボーナス(賞与)を年間130万円以下に操作したいのは、130万円超にしたら、従業員を健康保険や厚生年金に加入する正社員として雇うことが求められ、結果、これらの保険料の半分を勤務先が負担しなければならないため、余分なリスクは避けたいという思惑が働いていることも事実です。
表 判断の目安はここ
判断の目安 | 130万円以下派 (専業主婦タイプ) |
130万円超派 (兼業主婦タイプ) |
メリット | 日々の生活費の支出を少しでも抑えられる | 出産手当金や傷病手当金、厚生年金が支給される |
デメリット | 出産手当金や傷病手当金が出ず、年金は国民年金だけとなる | 日々の生活費の支出が多めになりがちとなる |
ポイント | せめて130万円ぎりぎりの給料とボーナス(賞与)になるよう、頑張る | 給料とボーナス(賞与)が計130万円超から150〜200万円に増えるよう、頑張る |
出典:筆者作成
なお、自営業・自由業の場合、妻は、夫とは別に国民健康保険や国民年金に加入したままで、年収が130万円を超えても変わりがないため、「130万円の壁」の話は関係ありません。
次回は「103万円の壁」についてお話ししましょう。8月14日(金)更新の予定です。
次回は「103万円の壁」についてお話ししましょう。8月14日(金)更新の予定です。
(2009年8月7日)