Vol.70 年金の損得はここがポイント(1)〜自分の年金を確認する〜
川村匡由(社会福祉学者)
年金の“損得論”はいかがなものかと思いつつ…
最初に誤解のないようにお話をしますが、公的年金について、「こうしたら損をする」、あるいは逆に「どうしたら得をするのか」などと“損得論”をいうのは本意ではありません。なぜなら、公的年金は、医療保険や労働者災害補償保険(労災保険)、雇用保険、介護保険と同様、国が国民の生活保障のため、国民が納める税金と社会保険料を財源にして運営している社会保障制度の1つで、そのためにも私たち国民はその趣旨を理解し、国に協力して、だれでも困ったときは助け合うべく、社会的扶養のための制度だからです。
しかし、その一方で、長年、汗水たらして納めた税金はもとより、老後の生活資金のためなどとして支払ってきた保険料がきちんとデータ管理されていないばかりか、事もあろうに、その保険料を窓口の職員が着服したり、積み立てた保険料を資金に自分たちの天下り先の施設を各地につくり、赤字経営をしていても責任をとらず、先輩から後輩へと引き継ぎを繰り返したりしていることが明るみになっています。最近、「消えた年金」とか「宙に浮いた年金」、「渡り」などと新聞やテレビ、雑誌で報道されているのがそれです。
それだけではありません。このような施設の建設のたびに、業者から特定の政治家や官僚に金がばら撒かれていたり、官僚が天下っていたりして税金や保険料を食い物にしており、年金を老後の生活資金のアテにしている被保険者や受給権者も、「国民総意で社会的扶養という理念は結構だが、これでは話が違う」と、怒ってくるのも無理からぬ話です。このような国民の批判を受け、現在、社会保険庁の改革が進められているのはご存知のとおりです。
そこで、公的年金をめぐって“損得論”をいうのはいかがなものかと思いつつ、参考まで、いくつかお話ししましょう。
しかし、その一方で、長年、汗水たらして納めた税金はもとより、老後の生活資金のためなどとして支払ってきた保険料がきちんとデータ管理されていないばかりか、事もあろうに、その保険料を窓口の職員が着服したり、積み立てた保険料を資金に自分たちの天下り先の施設を各地につくり、赤字経営をしていても責任をとらず、先輩から後輩へと引き継ぎを繰り返したりしていることが明るみになっています。最近、「消えた年金」とか「宙に浮いた年金」、「渡り」などと新聞やテレビ、雑誌で報道されているのがそれです。
それだけではありません。このような施設の建設のたびに、業者から特定の政治家や官僚に金がばら撒かれていたり、官僚が天下っていたりして税金や保険料を食い物にしており、年金を老後の生活資金のアテにしている被保険者や受給権者も、「国民総意で社会的扶養という理念は結構だが、これでは話が違う」と、怒ってくるのも無理からぬ話です。このような国民の批判を受け、現在、社会保険庁の改革が進められているのはご存知のとおりです。
そこで、公的年金をめぐって“損得論”をいうのはいかがなものかと思いつつ、参考まで、いくつかお話ししましょう。
年金は請求する。転職者も基礎年金番号で確認
まず、損をしないことですが、年金は税金と違い、自分で請求しなければ1銭も支給されないため、ふだんから自分はどのような年金に加入しており、保険料はどのくらい納めているのか、また、納めてきたのか、すべての領収書を揃えておくとともに、どのような要件になったら、どのような年金をどのような手続きですれば何歳から受給できるのか、現役時代から整理しておくことが大切です。
「税金は黙っていてもすぐに納めろといってくるし、サラリーマンの場合、自営業・自由業と違い、毎月の給料から保険料を天引きされるうえ、必要経費もろくに認めてもらえず、不公平だ」と、いぶかる向きもあるかもしれませんが、社会保障制度の1つとしてそのようになっているため、やむを得ません。
そこで、そろそろ定年退職の時期や老後の生活設計も考え、自分は今までどのような年金に加入し、毎月いくらぐらい保険料を払ってきたのか、チェックしましょう。とりわけ、これまで転職を繰り返したり、脱サラしたり、転居したりした場合、当時の勤務先の名称や所在地、所管の社会保険事務所、自分のこれまでの住所地をメモしておくことが重要です。
また、女性は就職や結婚、出産、子育て、再就職、また、夫の転職や介護のための退職、死亡などにより、そのつど、被保険者資格の種別や受給する年金も異なる場合が一般的なため、注意が必要です。
「税金は黙っていてもすぐに納めろといってくるし、サラリーマンの場合、自営業・自由業と違い、毎月の給料から保険料を天引きされるうえ、必要経費もろくに認めてもらえず、不公平だ」と、いぶかる向きもあるかもしれませんが、社会保障制度の1つとしてそのようになっているため、やむを得ません。
そこで、そろそろ定年退職の時期や老後の生活設計も考え、自分は今までどのような年金に加入し、毎月いくらぐらい保険料を払ってきたのか、チェックしましょう。とりわけ、これまで転職を繰り返したり、脱サラしたり、転居したりした場合、当時の勤務先の名称や所在地、所管の社会保険事務所、自分のこれまでの住所地をメモしておくことが重要です。
また、女性は就職や結婚、出産、子育て、再就職、また、夫の転職や介護のための退職、死亡などにより、そのつど、被保険者資格の種別や受給する年金も異なる場合が一般的なため、注意が必要です。
職業によって加入する年金も変わる(例示)
ちなみに、国民1人ひとりに付けられているのが基礎年金番号です。これは、転職などで年金の届出を忘れてしまった人でも国がその人の年金の加入期間などのデータを管理し、受給要件を満たしたら、すみやかに本人に連絡できるよう、1997(平成9)年1月に導入された制度です。
そこで、自分の基礎年金番号はどのようになっているのか、また、複数の基礎年金番号になっていないのか、基礎年金番号の通知書、あるいは年金手帳で確認し、大切に保管しておきましょう。
そこで、自分の基礎年金番号はどのようになっているのか、また、複数の基礎年金番号になっていないのか、基礎年金番号の通知書、あるいは年金手帳で確認し、大切に保管しておきましょう。
(2009年4月17日)