Vol.68 年金の掛け方と受け取り方(上)
川村匡由(社会福祉学者)
国民年金は自営業・自由業、専業主婦の年金
しかし、「2階部分」は厚生年金や共済年金(共済)となっているため、被用者(サラリーマン;第2号被保険者)、すなわち、会社員は厚生年金、公務員は共済年金(共済組合)、私立学校の教職員は私学共済に加入し、就職後、退職するまで、毎月の給料から保険料(共済年金や私学共済は掛け金)を納めなければなりません。
そこで、会社員は「1階部分」の国民年金と「2階部分」の厚生年金、公務員は「1階部分」の国民年金と「2階部分」の共済年金(共済組合)、私立学校の教職員は「1階部分」の国民年金と「2階部分」の私学共済に加入し、退職するまで、毎月、勤務先の天引きによって給料から保険料を納めます。
したがって、老後の生活資金としての公的年金は、国民年金からの老齢基礎年金と老齢厚生年金、あるいは退職厚生年金の2つを受給することになります。
被用者(サラリーマン)の年金
職業 | 加入 | 受給 |
会社員 |
厚生年金 国民年金 |
老齢厚生年金 老齢基礎年金 |
公務員 |
公務員共済年金 (共済組合) 国民年金 |
退職共済年金 老齢基礎年金 |
私立学校教職員 |
私学共済 国民年金 |
退職共済年金 老齢基礎年金 |
これに対し、自営業・自由業(第1号被保険者)の場合、確かに公的年金は一般的には「2階建て」になっているものの、当然のことながら被用者(サラリーマン)ではないため、「1階部分」の国民年金の加入は義務づけられるものの、「2階部分」の厚生年金や共済年金(共済組合)、私学共済の加入とはいずれも無関係です。
そこで、国民年金の加入手続きを個別に市町村で行い、20〜60歳未満まで、毎月、社会保険庁に保険料を納めることになります(実際は、社会保険庁から送られていく納付書にしたがい、近くの郵便局や銀行、コンビニエンスストア、クレジットカードで振り込む)。
一方、受給する年金ですが、この国民年金の加入期間、いい換えれば保険料の納付期間(免除期間も含む)が最低25年ある場合、国民年金から老齢基礎年金が原則として65歳から受給することになります。もっとも、その手続きは市町村ではなく、所轄する社会保険事務所です。
いずれにしても、このように自営業・自由業は「2階部分」の厚生年金や共済年金(共済組合)、私学共済とは無関係のため、老齢厚生年金、あるいは退職厚生年金は受給できません。この点、老後の生活資金としての公的年金は、会社員や公務員、私立学校の教職員と比べ、国民年金の老齢基礎年金しか受給できないため、不安です。もちろん、企業年金もありません。
なお、サラリーマンの夫に扶養されている専業主婦(第3号被保険者)は、夫が加入している厚生年金、または共済年金(共済)の制度全体で国民年金の保険料を負担することになっているため、自営業・自由業(第1号被保険者)のように保険料を個別に納める必要はありません。
ただし、専業主婦(第3号被保険者)も自営業・自由業(第1号被保険者)と同様、ともに加入するのは国民年金だけですので、受給する年金も国民年金からの老齢基礎年金だけです。
そこで、国民年金の加入手続きを個別に市町村で行い、20〜60歳未満まで、毎月、社会保険庁に保険料を納めることになります(実際は、社会保険庁から送られていく納付書にしたがい、近くの郵便局や銀行、コンビニエンスストア、クレジットカードで振り込む)。
一方、受給する年金ですが、この国民年金の加入期間、いい換えれば保険料の納付期間(免除期間も含む)が最低25年ある場合、国民年金から老齢基礎年金が原則として65歳から受給することになります。もっとも、その手続きは市町村ではなく、所轄する社会保険事務所です。
いずれにしても、このように自営業・自由業は「2階部分」の厚生年金や共済年金(共済組合)、私学共済とは無関係のため、老齢厚生年金、あるいは退職厚生年金は受給できません。この点、老後の生活資金としての公的年金は、会社員や公務員、私立学校の教職員と比べ、国民年金の老齢基礎年金しか受給できないため、不安です。もちろん、企業年金もありません。
なお、サラリーマンの夫に扶養されている専業主婦(第3号被保険者)は、夫が加入している厚生年金、または共済年金(共済)の制度全体で国民年金の保険料を負担することになっているため、自営業・自由業(第1号被保険者)のように保険料を個別に納める必要はありません。
ただし、専業主婦(第3号被保険者)も自営業・自由業(第1号被保険者)と同様、ともに加入するのは国民年金だけですので、受給する年金も国民年金からの老齢基礎年金だけです。
自営業・自由業と専業主婦の年金
職業 | 加入 | 受給 |
自営業・自由業 |
厚生年金 国民年金 |
老齢厚生年金 老齢基礎年金 |
専業主婦 |
公務員共済年金 (共済組合) 国民年金 |
退職厚生年金 老齢基礎年金 |
なお、共働き夫婦の場合、それぞれ加入する国民年金から老齢基礎年金と、会社員の場合は老齢厚生年金、公務員または私立学校の教職員の場合は退職共済年金の4つを受給することになります。
(2009年4月3日)