Vol.66 厚生年金と企業年金(上)
川村匡由(社会福祉学者)
厚生年金は国民年金とセットで
しかし、この厚生年金は、国民年金から老齢基礎年金を受給できることが要件となっていますので、国民年金とセットで考えましょう。
なぜなら、公的年金は下図のように「2階建ての体系」になっており、原則として20〜60歳未満のすべての国民は国民年金に加入し、この間、毎月、国民年金の保険料を納めていくことになっています(一定の要件を満たせば保険料納付の免除もある)。そして、65歳になって国民年金から老齢基礎年金を受給する資格があってはじめて、厚生年金より老齢厚生年金を受けられることになっているからです。
2階建ての体系
厚生年金 | 会社員が加入→老齢厚生年金 |
国民年金 | 20〜60歳未満の全国民が加入→老齢基礎年金 |
出典:筆者作成
ただし、その前提である老齢基礎年金を受給するためには、国民年金に最低25年(国民年金が制度化された1961(昭和36)年4月から、基礎年金が制度化された1986(昭和61)年3月までに加入していた厚生年金などの公的年金の加入期間も含む)加入し、国民年金の保険料を納めていることが必要です。もっとも、会社員の場合、国民年金の保険料は毎月、給料から天引きされて納める厚生年金の保険料を通じて納付する形をとっているため、自営業・自由業の人たちのように国民年金の保険料を自主納付する必要はありません。
ところで、これらの受給年齢はいずれも原則として65歳からですが、基礎年金が制度化された1986(昭和61)年3月までの旧制度の場合、60歳から老齢年金(定額部分+報酬比例部分)が受給できたため、老齢厚生年金の場合、生年月日に応じ、60〜64歳の間、特別支給の老齢厚生年金(定額部分+報酬比例部分)として、同額の年金が支給されます。
ただし、下表のように、受給開始年齢はそれぞれの生年月日によって違いますので、自分の場合はどうようになるのか、チェックしましょう。
男子 | 女子 |
受給開始 年齢 |
1941(昭和16)年4月2日〜1943(昭和18)年4月1日 | 1946(昭和21)年4月2日〜1948(昭和23)年4月1日 | 61歳 |
1943(昭和18)年4月2日〜1945(昭和20)年4月1日 | 1948(昭和23)年4月2日〜1950(昭和25)年4月1日 | 62歳 |
1945(昭和20)年4月2日〜1947(昭和22)年4月1日 | 1950(昭和25)年4月2日〜1952(昭和27)年4月1日 | 63歳 |
1947(昭和22)年4月2日〜1949(昭和24)年4月1日 | 1952(昭和27)年4月2日〜1954(昭和29)年4月1日 | 64歳 |
出典:筆者作成
特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢
そして、65歳になると、本来の老齢厚生年金(報酬比例部分)と老齢基礎年金を受給することになります。この場合、人によっては、60〜64歳に受給する特別支給の老齢厚生年金(定額部分+報酬比例部分)よりも、65歳から受給する老齢基礎年金と老齢厚生年金(報酬比例部分)の合計額の方が減額される場合もありますが、その差額は経過的加算され、経過的加算額として支給されるため、年金額は変わらないのでご安心下さい。
なお、以上は、共済年金(共済組合)に加入する公務員や私立学校の教職員の場合も同じことです。
なお、以上は、共済年金(共済組合)に加入する公務員や私立学校の教職員の場合も同じことです。
(2009年3月19日)