Vol.64 定年と退職金(上)
川村匡由(社会福祉学者)
定年は何歳かをまず調べる
かと思えば、59歳未満で早期退職制度を設け、60歳で退職する際に支給する退職金を何割か上積みするところもあります。なかには、関連会社に再就職を斡旋しているところもあります。
公務員の世界では、以前から問題になっている官僚の天下りのほか、最近、問題となっている「渡り」もその1つですが、民間企業でも幹部の場合、同じようなことがないわけではありません。
ともあれ、50代ともなれば、自分の勤務先では何歳が定年なのか、また、早期退職制度があるのか、あれば退職金の上積みや関連会社への再就職の斡旋はしてくれるのかどうか、チェックしましょう。
その際、大事なことは、定年後の生活は夫婦だけなのか、それとも子ども夫婦と同居で、経済的な援助を受けられるのか、退職金や預貯金、年金などで生活していけるのか、シミュレーションをすることです。
正規と早期の退職金の比較を
次に大事なことは、60歳で退職した場合と、59歳未満で早期退職した場合で退職金がどれくらい違うのか。また、とくに後者の場合、再就職が可能なのか、それとも文字どおり、早々に社会の第一線から退くのか、あるいはそれまでのキャリアを生かして何かを起業するのか、判断します。
もちろん、前者の場合でも再就職が可能か、それともこの際、リタイアして旅行やゴルフを楽しむなどしてのんびりするか、ボランティアなどで社会参加するのか、判断します。ともあれ、いずれの場合でも自分や家族にとってどちらが経済的に安心で有利、しかも生きがいを持てるのか、判断をします。
そこで、理想をいえば、60歳まで勤務を続けて正規の退職金をもらい、以後、再雇用もかなえばこれに越したことはありませんが、庶民には、そんなに“うまい話”はありません。現実は、60歳で退職して正規の社員として再就職するのはなかなか難しいからです。そればかりか、急激な経営の悪化で突如、解雇通告を受けたり、ワークシェアリングにされたりするなど、いつ、何が起きるかわからない状況になっています。
「みんな私たち(経営陣)が悪いんであって、社員は悪くありませんから! どうか社員に応援をしてやって下さい…」
1999年6月に会社が倒産し、男泣きをしながら社員をかばったあの山一證券の野澤正平社長の記者会見の様子は、今なお多くの国民の脳裏に焼きついているかと思いますが、かつて「四大証券」の1つに数えられていたあの山一證券マンも、解雇された社員のうち、同業他社などの金融機関に正規社員をして再就職できたのは35歳未満の中堅だけです。あとの中高年は、証券マンなど金融機関とまったく関係のない業種に再就職をしたり、そのまま派遣社員などの憂き目に遭ったりしています。
いずれにしても、定年を何歳で迎えるのかは、その後の老後の生活に大きな影響を与えるため、家族とよく相談して考えましょう。
もちろん、前者の場合でも再就職が可能か、それともこの際、リタイアして旅行やゴルフを楽しむなどしてのんびりするか、ボランティアなどで社会参加するのか、判断します。ともあれ、いずれの場合でも自分や家族にとってどちらが経済的に安心で有利、しかも生きがいを持てるのか、判断をします。
そこで、理想をいえば、60歳まで勤務を続けて正規の退職金をもらい、以後、再雇用もかなえばこれに越したことはありませんが、庶民には、そんなに“うまい話”はありません。現実は、60歳で退職して正規の社員として再就職するのはなかなか難しいからです。そればかりか、急激な経営の悪化で突如、解雇通告を受けたり、ワークシェアリングにされたりするなど、いつ、何が起きるかわからない状況になっています。
「みんな私たち(経営陣)が悪いんであって、社員は悪くありませんから! どうか社員に応援をしてやって下さい…」
1999年6月に会社が倒産し、男泣きをしながら社員をかばったあの山一證券の野澤正平社長の記者会見の様子は、今なお多くの国民の脳裏に焼きついているかと思いますが、かつて「四大証券」の1つに数えられていたあの山一證券マンも、解雇された社員のうち、同業他社などの金融機関に正規社員をして再就職できたのは35歳未満の中堅だけです。あとの中高年は、証券マンなど金融機関とまったく関係のない業種に再就職をしたり、そのまま派遣社員などの憂き目に遭ったりしています。
いずれにしても、定年を何歳で迎えるのかは、その後の老後の生活に大きな影響を与えるため、家族とよく相談して考えましょう。
(2009年3月6日)