Vol.63 預貯金と財テク(下)
川村匡由(社会福祉学者)
短期、中期、長期的な計画を立てる
そこで、定年後の人生設計、とくに経済設計は、どのような景気変動に見舞われても一寸の狂いもなく進み、老後に軟着陸できるようにしたいものです。
では、具体的にはどのように預貯金を心がけて日々を過ごせばいいのでしょうか。
そのためには、50代以降の家計について、短期、中期、長期それぞれの年代における経済設計を考え、計画として明らかにすることです。
具体的には、短期、すなわち、50〜64歳、中期、すなわち、65〜74歳、長期、すなわち、75歳以降というように期間を区切り、退職金の運用、年金の受け取り、介護・医療費の捻出というように、収入と支出、それに現在の預貯金高をはじき出し、いかに運用すればいいのか、家族と一緒にシミュレーションをします。
そうすれば、このままの経済設計で大丈夫なのか、つまり、新たな収入は考えなくてもよいのか、それとも新たな収入を考えないといけないのか、また、その一方で、支出を抑えるべきなのか、ゆるめても大丈夫なのか、検討します。
“他者依存”の見果てぬ夢は見ず
というと、たいていの人は、では預貯金をする場合、具体的にどのような金融商品が有利か、株は今、買いどきか、それとも売りどきか、などといった質問を投げかけると思われます。
しかし、筆者にいわせれば、そのようなミクロ的な損得論よりも、この先10年、20年、いえ、30年先の自分や家族の生活のありようを考えたメゾ的、さらにはマクロ的な視点を持って対応することが大切だと思っています。すなわち、金融情勢が変わるたびに一喜一憂するのではなく、人生80年、いや、90年時代を考えた戦略を打ち出し、定年・老後も不安がないよう、地道に努力することだと思います。
したがって、宝くじを買って当たったら何に使おうとかいった“他者依存”の見果てぬ夢は見ず、せいぜい買っても夢を買うだけで、ふだんから中長期的な経済生活のためのライフスタイルをイメージし、その実現に努力することが大切です。言い換えれば、そのようなお金と暇があるくらいなら、新聞やテレビ、雑誌の政治・経済欄や番組を読んだり、見たりして金融や経済の知識を収集し、常に一家の大黒柱として生活防衛に努めることでしょう。
「金は天下の回り物」とはいうものの、やはり「ローマは1日にしてならず」…です。
次回から、その辺の事情を「定年と退職金」を手始めに、ミクロ、メゾ、マクロ的な視点で順にくわしくお話していきましょう。
しかし、筆者にいわせれば、そのようなミクロ的な損得論よりも、この先10年、20年、いえ、30年先の自分や家族の生活のありようを考えたメゾ的、さらにはマクロ的な視点を持って対応することが大切だと思っています。すなわち、金融情勢が変わるたびに一喜一憂するのではなく、人生80年、いや、90年時代を考えた戦略を打ち出し、定年・老後も不安がないよう、地道に努力することだと思います。
したがって、宝くじを買って当たったら何に使おうとかいった“他者依存”の見果てぬ夢は見ず、せいぜい買っても夢を買うだけで、ふだんから中長期的な経済生活のためのライフスタイルをイメージし、その実現に努力することが大切です。言い換えれば、そのようなお金と暇があるくらいなら、新聞やテレビ、雑誌の政治・経済欄や番組を読んだり、見たりして金融や経済の知識を収集し、常に一家の大黒柱として生活防衛に努めることでしょう。
「金は天下の回り物」とはいうものの、やはり「ローマは1日にしてならず」…です。
次回から、その辺の事情を「定年と退職金」を手始めに、ミクロ、メゾ、マクロ的な視点で順にくわしくお話していきましょう。
(2009年2月27日)