Vol.60 北海道移住(上)
川村匡由(社会福祉学者)
北の大地へのあこがれか
「いくら土地が安いからといって、よりにもよって北海道とは…」と、いぶかる向きもありかもしれませんが、おおらかな土地柄で、しかも安くて新鮮で、ボリュームたっぷりの魚介類……。何よりも開拓精神が豊かで人見知りもせず、すぐにでもできる人間関係が北海道の魅力ではないでしょうか。
「Boys be ambitious(少年よ、大志を抱け)!」――北海道の開拓史にその名を残すウイリアム・S・クラーク(1826−1886)博士は、札幌農学校(現北海道大学)の初代教頭を終え、アメリカに帰国する際、見送りにきた学生たちに対し、その将来を北の大地で送っては、と助言したものです。
確かに、そんな北海道の開拓精神やおおらかさに魅了され、東京など本土の都会っ子が北大や札幌医科大学、帯広畜産大学などに進学し、卒業後、そのまま札幌や帯広などでサラリーマン生活を送ったり、医療や畜産業などに生涯を捧げる人たちも少なくありません。
また、最近では本土の会社を辞めて北海道に移住し、ペンションやそば店、喫茶店、レストランを開業したり、IT関連のベンチャービジネスを起業したりした脱サラのシニアや定年退職者、若者がいます。自治体や商工会も過疎化を食い止めて地域活性化をと、割安の菜園付きの建売住宅や貸別荘などを用意し、懸命の売り込みをしています。
もう一つの北海道
ただし、このような北海道に対する評価はごく一面を見ているだけにすぎません。
なるほど、土地は安いし、魚介類が豊富なため、物価も本土に比べれば安いです。道都の札幌には「青年都市・札幌」を象徴するかのようなテレビ塔がすっくと伸びており、大通公園の周辺にはモダンなビルや歴史的な建造物が林立し、たたずまいは東京などと変わりません。
ヨーロッパのフアッションも東京の銀座と変わらないほど、いち早く輸入されるといわれており、快適なシティライフが堪能できます。旭川や函館、小樽などもすっかり都市化されています。
しかし、最大のネックは冬が長く、厳しい気候のため、インフラが整備されている札幌や旭川、函館、小樽などに人口が集中しているものの、他の多くの市町村では自然を相手にした農・漁業や畜産業で生計を立てており、常に経済のグローバル化と向かい合った経済生活を余儀なくされています。もちろん、長い冬は冬で、室内は暖房を効かせ、暖かくして生活しており、屋外ではスキーやスケート、雪まつりなど、季節に応じた生活の知恵を出して生活してはいます。
その一方で、北海道出身の家族や親戚(せき)、友人・知人のなかには「本土は暖かくて生活がラク。もう北海道に戻りたいとは思わない」という人も少なくありません。
要は、沖縄にせよ、北海道にせよ、また、その他の地域にせよ、一人ひとりが自分や自分たちのシニアライフをどのように考え、実行したいと考えているのか、ということではないでしょうか。
なるほど、土地は安いし、魚介類が豊富なため、物価も本土に比べれば安いです。道都の札幌には「青年都市・札幌」を象徴するかのようなテレビ塔がすっくと伸びており、大通公園の周辺にはモダンなビルや歴史的な建造物が林立し、たたずまいは東京などと変わりません。
ヨーロッパのフアッションも東京の銀座と変わらないほど、いち早く輸入されるといわれており、快適なシティライフが堪能できます。旭川や函館、小樽などもすっかり都市化されています。
しかし、最大のネックは冬が長く、厳しい気候のため、インフラが整備されている札幌や旭川、函館、小樽などに人口が集中しているものの、他の多くの市町村では自然を相手にした農・漁業や畜産業で生計を立てており、常に経済のグローバル化と向かい合った経済生活を余儀なくされています。もちろん、長い冬は冬で、室内は暖房を効かせ、暖かくして生活しており、屋外ではスキーやスケート、雪まつりなど、季節に応じた生活の知恵を出して生活してはいます。
その一方で、北海道出身の家族や親戚(せき)、友人・知人のなかには「本土は暖かくて生活がラク。もう北海道に戻りたいとは思わない」という人も少なくありません。
要は、沖縄にせよ、北海道にせよ、また、その他の地域にせよ、一人ひとりが自分や自分たちのシニアライフをどのように考え、実行したいと考えているのか、ということではないでしょうか。
(2009年2月6日)