Vol.54 セミリタイア(下)
川村匡由(社会福祉学者)
要は、いかに充実した人生を送るか、にある
また、これからの老後にそれほど心配がなければ勇退し、次代を担うべき若い人たちに大いに活躍してもらう場を譲り、“人生の先輩”としてその助言や支援をしていくことも考えられます。なぜなら、ものには何でも潮時というものがあるため、「惜しまれているうちに辞めるのが花」という“美学”のようなものもあるからでしょう。
また、「晩節を汚したくない」、「老害をいつまでもさらしたくたい」という自負心や面子(めんつ)、意地あるいはこだわりなどが働いているのかも知れません。その意味でも、セミリタイアは早期の自主退職によるものといえるでしょう。
そこで、人はハムレットのように悩むのです。「定年まで勤め上げるべきか、あるいは潔く早期リタイアすべきか、それともセミリタイアすべきか…」
そんな悩みなのかどうか、プロのスポーツ選手で、年齢からくる衰えや意欲のなさで全盛期のプレーは望むべくもなく、周囲から「もう引退しては…」との声が聞かれるにもかかわらず、現役に固執しているケースがみられます。もちろん、「自分はまだまだ現役で…」と、頑張る姿は後輩の励みにもなります。
それはそれで、本人や関係者がよければ、あるいはさまざまな事情でそれが許されなければやむを得ないですし、また、その方がよいかもしれません。「中年の星」などといわれるのはそこにあります。
しかし、その一方で、まだまだ全盛期を思わせるようなプレーを時折披露しており、むしろこれからが円熟さを増しそうであるにもかかわらず、体力の限界や意欲の減退を悟り、ある日、突然、引退宣言をして去るような人もいないわけではありません。
ポイントは健康、経済、心(生きがい)、交流、家族?
そこで、ポイントになるのは、本欄でも再三お話しているように、「5K」、すなわち、健康、経済、心(生きがい)、交流、家族の5つのキーワードではないでしょうか。
なぜなら、この「5K」が揃えば、これからは仕事を優先するよりも仕事以外で人生をより充実させ、限られた命を燃焼させ、悔いのないものにすることができるのではないか、と思うからです。
しかし、それには若いうちから「5K」について心がけ、人一倍、いえ、数倍も努力する必要があると思います。
また、それに見合うよう、人生80年、いえ90年時代に応じた計画的な生活設計を立て、コツコツとその目標の達成に向け、努力することでしょう。その意味で、本欄がみなさんのお役に立てれば幸いです。
なぜなら、この「5K」が揃えば、これからは仕事を優先するよりも仕事以外で人生をより充実させ、限られた命を燃焼させ、悔いのないものにすることができるのではないか、と思うからです。
しかし、それには若いうちから「5K」について心がけ、人一倍、いえ、数倍も努力する必要があると思います。
また、それに見合うよう、人生80年、いえ90年時代に応じた計画的な生活設計を立て、コツコツとその目標の達成に向け、努力することでしょう。その意味で、本欄がみなさんのお役に立てれば幸いです。
(2008年12月19日)