Vol.53 セミリタイア(上)
川村匡由(社会福祉学者)
リタイアは60歳定年制、早期退職などによるもの
そこで、この機会にリタイアとセミリタイアを整理してみましょう。
まずリタイアですが、これは文字どおり、社会の第一線から完全に引退することを意味します。
たとえば、わが国では60歳で定年という企業がまだまだ多いため、60歳で定年を迎えて退職するというのが、ごく一般的なパターンです。
ところが、1990年初頭のバブル崩壊後、経済の安定成長やその後の経済のグローバル化に伴う業界の再編・合理化のため、早期退職者を募る企業やサラリーマンのリストラ、ワークシェアリング、非正規雇用化が顕著となってきています。そればかりか、年末に入り、アメリカのサブプライム問題に端を発した世界的な“金融危機”に伴い、非正規雇用者の解雇通告もクローズアップされており、大きな社会問題となっています。
そこで、このような理由によって早期退職を強いられたり、リストラやワークシェアリング、非正規雇用化、解雇通告の憂き目にあった人たちは、従来の定年退職者にま交り、「定年前に解雇されたため、働かなければ生活が成り立たない」と、新聞やインターネットの求人欄に目をやったり、公共職業安定所(ハローワーク)を訪ね、失業保険(雇用保険の失業給付)を受けながら再就職をめざしたり、家族がパートタイマーに出たり、アルバイトに精出したりして生計を維持せざるを得ない、という傾向が強くなっています。
したがって、リタイアは60歳定年制、あるいは60歳前の、会社の都合による早期退職などを強いられた場合を意味するでしょう。
セミリタイアは早期の自主退職
これに対し、セミリタイアは、定年までまだ数年があるにもかかわらず、早々に自分から辞表を出して退職し、残りの人生をゴルフなどの趣味や特技で存分に楽しんでいたり、なお現役に止まっているものの、精神的にはさも退職しているかのように要職から退き、週末を田舎暮らし、リゾートライフを満喫している場合を意味するでしょう。
言い換えれば、セミリタイアは自分で進んで社会の第一線を退き、残りの人生を家族とともに趣味や特技などを通じて楽しんだり、充実させていたり、あるいは会社を辞めてはいないものの、今までの要職には就かず、後輩への助言や支援にあたっている場合を意味するでしょう。
それだけに、まさに「人生いろいろ」、悲喜こもごもです。
言い換えれば、セミリタイアは自分で進んで社会の第一線を退き、残りの人生を家族とともに趣味や特技などを通じて楽しんだり、充実させていたり、あるいは会社を辞めてはいないものの、今までの要職には就かず、後輩への助言や支援にあたっている場合を意味するでしょう。
それだけに、まさに「人生いろいろ」、悲喜こもごもです。
(2008年12月12日)