Vol.44 老親の介護(下)
川村匡由(社会福祉学者)
介護の実態
また、仮に「要支援」といっても、それはそれで、介護保険給付や介護予防などのサービスは軽くなるものの、いずれにせよ、費用負担は全体の1割だけで問題が全面的に解決できるわけではなく、不足する部分は地域によって全額負担しなければならないからです。
まして中山間地域や離島では、その多くは国民年金しか受給できない自営業が多いため、生活保護を受けている世帯も少なくありません。
それだけではありません。費用負担が不可能なため、せっかく要介護として認定されても介護保険を利用できないケースもあるからです。仮に費用負担が可能であっても、財政が脆弱なうえ、利用者も少ないほか、利用したいサービスの基盤整備が十分整っていないため、家族や地域社会の住民の支援がなければ、対応が困難なのが実態だからです。
しかも、高齢者が一番望む在宅での介護は、義理の老親と同居、あるいは近所に住んでいる長男の嫁など、女性に負担を強いているのが一般的です。このため、共働きしている女性の場合、仕事を辞めて介護に当っています。
しかし、その嫁も介護の負担に限界に達すると、いよいよその夫、すなわち、老親の実子である長男が会社勤めを断念し、介護に当たったりするわけです。その結果、収入の道は途絶え、健康を患ったりして病院通いをし、思い悩んだ挙げ句、親子無理心中を図ったり、介護を受けている老親よりも子どもの方が先立つなど、という悲劇が社会問題として報道されたりしているわけです。
「介護地獄」とはまさにこのことをいうのですが、世界有数の「経済大国」にあるまじき実態といわざるを得ません。
老親の介護の対応策
では、このような悲劇を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか。
まずは、要介護状態に陥ったようなときは、市町村に対して要介護認定を申請し、居宅(在宅)サービス、あるいは老人ホームにおける入所サービスを受けるべく、要介護度に応じた支給限度額を参考に、ケアマネジャー(介護支援専門員)にケアプラン(介護サービス計画)を作成してもらい、希望する介護を受けることです。もちろん、そうはいっても、介護保険制度だけですべての問題が解決する、とは言い切れません。
そこで、地域の社会福祉協議会や自治会、町内会、ボランティア団体、NPOなどが、どの程度の費用負担であれば介護サービスを利用できるのか、ケアマネジャーに照会したり、自ら関係先の情報を収集したりして、老親が住み慣れた地域で在宅介護が可能なのかどうかを調べましょう。多くの関係先には、ケアマネジャーはもとより、社会福祉士やホームヘルパー(訪問介護員)、介護福祉士、保健師が配置されているため、気軽に相談できるはずです。
また、家族で介護する場合に備え、あらかじめホームヘルパーの資格を取ったり、地域の老人ホームなどで実施している家庭介護者教室に参加したりするなどして介護の技術を習得しておき、老親の介護の際、その技術やノウハウを生かしましょう。このほか、介護そのものや介護保険の費用について、別居している兄弟や姉妹などと家族会議を開き、その負担を分け合ったりして“親子共倒れ”を防ぎましょう。
まずは、要介護状態に陥ったようなときは、市町村に対して要介護認定を申請し、居宅(在宅)サービス、あるいは老人ホームにおける入所サービスを受けるべく、要介護度に応じた支給限度額を参考に、ケアマネジャー(介護支援専門員)にケアプラン(介護サービス計画)を作成してもらい、希望する介護を受けることです。もちろん、そうはいっても、介護保険制度だけですべての問題が解決する、とは言い切れません。
そこで、地域の社会福祉協議会や自治会、町内会、ボランティア団体、NPOなどが、どの程度の費用負担であれば介護サービスを利用できるのか、ケアマネジャーに照会したり、自ら関係先の情報を収集したりして、老親が住み慣れた地域で在宅介護が可能なのかどうかを調べましょう。多くの関係先には、ケアマネジャーはもとより、社会福祉士やホームヘルパー(訪問介護員)、介護福祉士、保健師が配置されているため、気軽に相談できるはずです。
また、家族で介護する場合に備え、あらかじめホームヘルパーの資格を取ったり、地域の老人ホームなどで実施している家庭介護者教室に参加したりするなどして介護の技術を習得しておき、老親の介護の際、その技術やノウハウを生かしましょう。このほか、介護そのものや介護保険の費用について、別居している兄弟や姉妹などと家族会議を開き、その負担を分け合ったりして“親子共倒れ”を防ぎましょう。
(2008年10月3日)