Vol.42 自分史の意義とその出し方(下)
川村匡由(社会福祉学者)
自費出版と自分史
このうち、前者は、プロの作家や研究者が出版社の求めに応じて出す場合で、本の制作費や流通、広告などの経費は出版社がすべて負担し、印税は執筆者に支払われます。
これに対し、後者は、出版社の求めなどがなく、本の制作費や流通、広告などの経費はすべて個人が負担する場合です。このため、自分史はまさに自費出版ということになります。
しかし、だからといって、商業出版の本の方が自費出版の本よりもすぐれているとは言い切れません。なぜなら、商業出版は、より多くの読者に反響が見込まれる本であることに間違いはありませんが、それはあくまでも、より多くの人たちに売れることが前提となっているからです。
その点、自分史のような自費出版は当事者の自己ピーアール的な性格が強いため、販売政策上、商業出版には劣るかもしれませんが、企画や内容によってはまさるとも劣らぬものも少なくなく、時折、マスコミの話題となることもあるからです。
現に、夏目漱石の『こころ』や島崎藤村の『破戒』、谷崎潤一郎の『細雪』などは、もともとは自費出版として発表されたものといわれています。
自分史の出し方と注意
最後に、その出し方ですが、まずはその企画と内容、装丁、発行部数、発行の時期、流通や広告、印税の要否、予算などについて、希望する出版社に相談し、出版契約、執筆、入稿、編集、校正、製版、印刷、製本、発行、書店での陳列までの作業の流れの説明を受けるとともに、制作費の見積もりをしてもらいましょう。
その際、注意しなければならないことは、どこまでの作業が無料なのか、その後は有料なのか。また、その場合、いくらなのか。さらに、本のサイズや装丁、発行部数、発行の時期、流通や広告が予算に見合うものかどうかチェックし、トラブルを招かないようにすることです。
その結果、納得できれば出版契約を結び、あとは出版社の指導を受けながらパソコンの画面に向かって執筆したり、専用のソフトを入手してパソコンにインストールし、記事編集の画面を開いて執筆したりします。そして、晴れて出版の暁には国立国会図書館に納本し、国民の一人として出版文化活動に協力しましょう。
ちなみに原稿の入稿から発行までは、通常、3〜5か月ほどかかりますが、文章の出来具合などによって出版社の編集者や契約のライターの世話になると、制作費もその分、余計にかかります。このため、たとえば四六判のものを100〜200部出すだけでも100万円単位の負担は考えておきたいものです。
なお、万一、予算的に合わない場合、出版はあきらめ、インターネット上に自分のホームページやブログを開設し、不特定多数の人たちに対し、発信することも一考です。また、これらをコピーし、ファイリングしたものを配布してもいいでしょう。
いずれにしても、よほどの人でもない限り、自分史の一般紙への広告や一般書店での販売によって印税を得ることなどは考えず、まずは自分史を出し、関係者に対して感謝を込めて贈り、参考にしていただければよい、というような謙虚な気持ちで当たればいいのではないか、と思われます。
その際、注意しなければならないことは、どこまでの作業が無料なのか、その後は有料なのか。また、その場合、いくらなのか。さらに、本のサイズや装丁、発行部数、発行の時期、流通や広告が予算に見合うものかどうかチェックし、トラブルを招かないようにすることです。
その結果、納得できれば出版契約を結び、あとは出版社の指導を受けながらパソコンの画面に向かって執筆したり、専用のソフトを入手してパソコンにインストールし、記事編集の画面を開いて執筆したりします。そして、晴れて出版の暁には国立国会図書館に納本し、国民の一人として出版文化活動に協力しましょう。
ちなみに原稿の入稿から発行までは、通常、3〜5か月ほどかかりますが、文章の出来具合などによって出版社の編集者や契約のライターの世話になると、制作費もその分、余計にかかります。このため、たとえば四六判のものを100〜200部出すだけでも100万円単位の負担は考えておきたいものです。
なお、万一、予算的に合わない場合、出版はあきらめ、インターネット上に自分のホームページやブログを開設し、不特定多数の人たちに対し、発信することも一考です。また、これらをコピーし、ファイリングしたものを配布してもいいでしょう。
いずれにしても、よほどの人でもない限り、自分史の一般紙への広告や一般書店での販売によって印税を得ることなどは考えず、まずは自分史を出し、関係者に対して感謝を込めて贈り、参考にしていただければよい、というような謙虚な気持ちで当たればいいのではないか、と思われます。
(2008年9月19日)