Vol.40 遺言の仕方―その(4) 遺言の仕方(下)
加藤淳也(弁護士)
相続人以外に財産を与える場合
遺言を書く理由としては、どの財産をだれに相続させるかを指定するため、という場合が多いでしょう。
しかし、遺言の内容はこれに限らず、いろいろなことを書くことができます。その中には知っておいた方がいいこともありますので、いくつか紹介しておきます。
遺言によって相続人以外に財産を与えることもできます。遺言によって財産を贈与することを「遺贈」といい、遺贈によって財産を取得する人を「受遺者」といいます。
遺贈には負担や条件を付けることもできます。
たとえば、「○○をAに与える代わりに、AはBの面倒をみること」などです。このような場合、Aは遺言によって○○を取得する代わりに、Bの面倒をみるという法律上の義務が生じます。このような遺贈を「負担付き遺贈」といいます。
遺言執行者の指定もできる
また、遺言では「遺言執行者」を指定することもできます。
「遺言執行者」とは、遺言の内容を実現する人のことです。相続の法律に詳しい人を遺言執行者にすることにより、遺言の実現をスムーズに行うことができます。
また、遺言執行者がいれば、不動産を遺贈する場合、相続人の同意を得ることなく、所有権の移転登記ができます。
預金を特定の者に相続させる場合でも、相続人全員の署名・捺印がなければ預金の払い戻しを受け付けない銀行が多いのですが、遺言執行者がいれば、遺言執行者による払い戻しが認められています。
また、遺言では、「認知」や、一定の者を相続人から排除する「推定相続人の排除」をすることもできますが、この場合に認知届出をしたり、推定相続人の排除を家庭裁判所に申し立てたりするのは遺言執行者しかできません。
遺言を書く際には、このような遺言執行者のことも念頭に置き、場合によっては遺言で遺言執行者の指定をすべきです。
なお、遺言執行者の指定は必ず遺言でしなければならず、事前の契約ではできません。
「遺言執行者」とは、遺言の内容を実現する人のことです。相続の法律に詳しい人を遺言執行者にすることにより、遺言の実現をスムーズに行うことができます。
また、遺言執行者がいれば、不動産を遺贈する場合、相続人の同意を得ることなく、所有権の移転登記ができます。
預金を特定の者に相続させる場合でも、相続人全員の署名・捺印がなければ預金の払い戻しを受け付けない銀行が多いのですが、遺言執行者がいれば、遺言執行者による払い戻しが認められています。
また、遺言では、「認知」や、一定の者を相続人から排除する「推定相続人の排除」をすることもできますが、この場合に認知届出をしたり、推定相続人の排除を家庭裁判所に申し立てたりするのは遺言執行者しかできません。
遺言を書く際には、このような遺言執行者のことも念頭に置き、場合によっては遺言で遺言執行者の指定をすべきです。
なお、遺言執行者の指定は必ず遺言でしなければならず、事前の契約ではできません。
遺言信託とは
最後に、「遺言信託」について触れておきます。
「遺言信託」という言葉は、2つの意味で用いられています。
1つは、信託銀行が提供する遺言の作成・執行に関するサービスのことをいいます。もう1つは、遺言によって信託を設定することをいいます。
たとえば、財産の一部を公益的な目的のために活用してほしい場合や、相続財産を管理運用能力にすぐれた者に委託し、その収益金を妻や子供に支給してもらう場合などに用いられます。
この意味での遺言信託をする場合、遺言書に(1)信託をする目的、(2)受託者(財産を信託する相手方)、(3)受益者(利益を受ける者)、(4)信託する財産、(5)信託報酬の額などを記載します。
「遺言信託」という言葉は、2つの意味で用いられています。
1つは、信託銀行が提供する遺言の作成・執行に関するサービスのことをいいます。もう1つは、遺言によって信託を設定することをいいます。
たとえば、財産の一部を公益的な目的のために活用してほしい場合や、相続財産を管理運用能力にすぐれた者に委託し、その収益金を妻や子供に支給してもらう場合などに用いられます。
この意味での遺言信託をする場合、遺言書に(1)信託をする目的、(2)受託者(財産を信託する相手方)、(3)受益者(利益を受ける者)、(4)信託する財産、(5)信託報酬の額などを記載します。
(2008年9月5日)