Vol.38 遺言の仕方―その(2) 遺言の種類(下)
加藤淳也(弁護士)
公正証書遺言のメリットとデメリット
「公正証書遺言」とは、公証人役場で作ってもらう遺言のことです。
公正証書遺言の最大のメリットは、公証人という法律の専門家が作成し、原本が公証人役場に保管されるため、遺言が無効になる危険性がほとんどないという点です。また、その他の遺言のように「検認」という手続もいりません。
デメリットは、公証人役場に行く手間と、公証人の手数料として若干の費用がかかる点です。もっとも、手数料といっても、遺言の目的の価値が500万円の場合で1万1000円、5000万〜1億円以下の場合で4万3000円程度ですから、後日の紛争、裁判を防ぐための費用と考えればそれほど高くはない、といえるかもしれません。
秘密証書遺言とは
「秘密証書遺言」というのは、遺言者が署名・捺印した遺言書を封印し、公証人がこれを証明する遺言です。
公証人にも遺言の内容を秘密にできる反面、専門家のチェックが入っていないので、無効になる可能性は残ります。公証人役場で作成するため、手間がかかるにもかかわらず、公正証書遺言のような安定性もないため、実際にはあまり使われていません。
公証人にも遺言の内容を秘密にできる反面、専門家のチェックが入っていないので、無効になる可能性は残ります。公証人役場で作成するため、手間がかかるにもかかわらず、公正証書遺言のような安定性もないため、実際にはあまり使われていません。
どの遺言がよいか
このように普通方式の遺言には下記の表のとおり、それぞれメリットとデメリットがあります。
多少の手間や費用をかけてもよいというのであれば、やはり安定性の面で公正証書遺言をおすすめします。これに対し、何度も書き直すような場合は、作成しやすい自筆証書遺言がいいかもしれません。
ただし、この場合は十分慎重に作成する必要があるでしょう。
多少の手間や費用をかけてもよいというのであれば、やはり安定性の面で公正証書遺言をおすすめします。これに対し、何度も書き直すような場合は、作成しやすい自筆証書遺言がいいかもしれません。
ただし、この場合は十分慎重に作成する必要があるでしょう。
メリット | デメリット | |
自筆証書遺言 | ・作成が容易にできる ・費用がかからない ・証人が不要 | ・無効になりやすい ・紛失や偽造・変造の危険がある ・「検認」が必要 |
公正証書遺言 | ・無効になりにくい ・紛失や偽造・変造の心配がない ・「検認」が不要 ・専門家が作成してくれる | ・費用がかかる ・証人2人が必要 ・手間がかかる ・内容を秘密にできない |
(2008年8月22日)