Vol.32 老人ホームの選び方(下)
川村匡由(社会福祉学者)
まずは公的なものか、私的なものかを考える
そこで、次に、これらの老人ホームのうち、公的なもの、私的なもののいずれを選べばいいのかを考えます。
具体的には、まず、それぞれの長所や短所を比較しましょう。
公的なものは入居金は不要で、介護保険制度に適用されるものであれば、施設サービスの利用料の全体の1割とホテルコスト(居住費や食費など)、それに日常生活費が別途かかるだけで、私的な有料老人ホームよりも割安です。たとえば特別養護老人ホームの場合、居住費などの負担の限度額は、ユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室、多床型によって異なります。
ただし、希望する地域にどれくらいあるのかというと、きわめて少ないのが現状です。このため、現在の入所者が死亡したり、何らかの事情で途中で退所しなければ入所は困難で、地域によっては2〜3年以上待たされているのが実態です。
なお、地域包括支援センターには社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャーの3人が配置されており、介護予防ケアプランや介護予防マネジメントなど、高齢者に対する総合的な相談への支援や権利擁護の相談の受付などを行っています。その大半は従来の在宅(老人)介護支援センターが衣替えしたものです。区市町村によっては、従来の直営型の在宅(老人)介護支援センターを整備したものもあります。
これに対し、私的な有料老人ホームは、都市部であればさまざまなタイプのものが出揃っているため、自由に選べますが、入居金が何千万円からゼロ、あるいは普通の賃貸マンションと同様、敷金と礼金、それに入居後、家賃や日常生活費、更新料を必要とするものなど、ピンからキリまであります。建物の構造や設備はマンションタイプのものがほとんどですが、なかにはコテージ型のものもあります。
入所・入居前に必ず体験入居など下見を
注意したいのは、公的、私的のいずれを問わず、事前に必ず体験入居や見学をして、入所者の生活ぶりや運営・経営状況を関係者から聞くことです。また、地域のケアマネジャーや区市町村、地域包括支援センター、さらには地元の関係者に評判を聞くといいでしょう。
とりわけ、入居金が高額な有料マンションの場合、希望する施設をいくつか選んだうえ、体験入居しましょう。そして、健康型、住宅型、介護付の長所や短所、介護保険料や介護保険のサービスの利用料と入居金、介護費用などとの負担の按分・調整、施設や経営母体の経営方針や経営規模、介護職員の体制の整備、提携病院の協力関係、全国有料老人ホーム協会への加盟の有無、経営状況の情報開示、万一、経営危機になった場合の対応、入居者基金制度の有無などについて入念にチェックし、後悔などしないように注意しましょう。
とりわけ、入居金が高額な有料マンションの場合、希望する施設をいくつか選んだうえ、体験入居しましょう。そして、健康型、住宅型、介護付の長所や短所、介護保険料や介護保険のサービスの利用料と入居金、介護費用などとの負担の按分・調整、施設や経営母体の経営方針や経営規模、介護職員の体制の整備、提携病院の協力関係、全国有料老人ホーム協会への加盟の有無、経営状況の情報開示、万一、経営危機になった場合の対応、入居者基金制度の有無などについて入念にチェックし、後悔などしないように注意しましょう。
(2008年7月7日)