Vol.30 老後の住まい(下)
川村匡由(社会福祉学者)
問題はそのサービスと費用負担
老後の住まいとして自宅か病院、それとも施設のいずれがベストかということですが、これにはそれぞれに一長一短があるため、いちがいにどうこうとは言い切れません。
具体的には、自宅は、一戸建てにしろ、マンションにしろ、仮に老朽化が激しくても、長年、住み慣れたマイホームであるため、状況によってはバリアフリーに改修したり、思い切って建て替えたりしても環境が変わらないため、家族や友人、知人との付き合いを続けられて抵抗感はほとんどありません。生活費も割安に済みます。
もっとも、要介護や要看護になった際、地域の保健・医療・福祉などのサービスが自宅に居ながらにして受けられ、かつ看取ってくれるかどうかが問題となります。
これに対し、病院は、要介護や要看護になっても医療サービスが24時間提供してくれるため、看取りの面でも安心です。もっとも、費用負担はかなりかかるうえ、どの病院の医師が腕がよくて良心的なのか見分けるのが問題となります。
一方、施設は、病院よりも家庭的な雰囲気のなかで介護を中心としたサービスを受けられ、しかも費用の大部分が介護保険で賄われるので助かります。もっとも、医師や看護師が常駐しているわけではないため、看取ってくれるかが問題となります。
財テクの併用住宅でも看取りを見きわめて
このようななか、近年、自宅にアパートやマンションなどの賃貸住宅を併設した併用住宅を建て、家賃収入を老後の生活資金とし、年金や預貯金をカバーしながら老後に備える団塊世代やシニアが増えており、自治体や住宅メーカーの相談会を訪れています。
確かに、このような併用住宅であれば、少ない自己資金でもバリアフリー、いえ、ユニバーサルデザインの住宅が建てられ、かつ家賃収入をローンの返済に充てられるほか、新築時の不動産取得税が賃貸住宅部分については1200万円控除もされます。
また、床面積に一定の制限があるものの、ケースによっては固定資産税も半分に減額される特例措置が延長されるなど、節税のメリットもあります。
ただし、そのためには、大学のキャンパスや商店街に近いなど、立地に恵まれていたり、地域の病院や施設と連携した保健・医療・福祉などのサービスが約束されたりしていることが前提となります。
したがって、単なる老後の生活資金のための財テクや節税対策だけでは考えもので、安心して最期を看取られる場所として大丈夫かどうか、見きわめることが一番の決め手というわけです。
確かに、このような併用住宅であれば、少ない自己資金でもバリアフリー、いえ、ユニバーサルデザインの住宅が建てられ、かつ家賃収入をローンの返済に充てられるほか、新築時の不動産取得税が賃貸住宅部分については1200万円控除もされます。
また、床面積に一定の制限があるものの、ケースによっては固定資産税も半分に減額される特例措置が延長されるなど、節税のメリットもあります。
ただし、そのためには、大学のキャンパスや商店街に近いなど、立地に恵まれていたり、地域の病院や施設と連携した保健・医療・福祉などのサービスが約束されたりしていることが前提となります。
したがって、単なる老後の生活資金のための財テクや節税対策だけでは考えもので、安心して最期を看取られる場所として大丈夫かどうか、見きわめることが一番の決め手というわけです。
(2008年6月23日)