Vol.23 海外移住の方法
川村匡由(社会福祉学者)
まずは目的をはっきりさせよう
かくいう筆者も実は十数年前まで、そんな夢を持っていました。当時、海外にはすでに調査や旅行などで、ニューヨークやモスクワなど一部を除けば、世界の主要都市はひととおり出かけており、そのたびに日本の物価の高さや国土の狭さ、人間の多さにへきえきし、かなうことなら海外に移住するか、せめて長期滞在して異文化の理解に努め、見聞を広められたらと思うようになりました。そこで、一時はオーストラリアのゴールドコーストやオーストリアのウィーンなどを真剣に考えたものでした。
しかし、異国の地に長期滞在、まして移住ともなればそれなりの決意も必要とわかったほか、確かに日本は物価が世界一高いなど問題もあるが、国民は礼儀正しくて、きれい好きで、かつ料理はおいしいし、四季折々の変化にも富んでいるよさを改めて知らされました。
そこで、骨を埋めるならやはり日本ということで、その後は、海外に別荘などを持って住むよりも、好きなときに、行きたい国や地域に自由に周遊する方がリスクも少ないということで、“国内あきらめ組”になりました。
ともあれ、このようなささやかな筆者の経験から、その是非はともかく、海外移住についてお話ししますと、まず、なぜ海外移住をしたいのか、その目的をはっきりさせることでしょう。異文化の理解のためなのか、語学力をつけたいのか、物価が安いので悠々自適の老後を送りたいのか、現役時代、海外で駐在生活をしていてなじみがあるからなのか、友人や知人がすでに実行していて楽しそうだからか…。
次に国や地域を考えよう
さて、その目的はまさに「十人十色」ですから、他人がとやかくいう筋合いのものではありませんが、いずれにせよ、その目的がはっきりしたら、次に、永住する国や地域を考えましょう。
その場合、まず第一に、筆者のように、今まで調査や旅行、駐在員などとして出かけたり、短期的に滞在したりした経験があるところなのか、まったく未知数なところなのか、検討しましょう。
そのうえで、使用している言葉や文化、生活習慣、物価、治安、日本からのアクセス、対日感情などについて検討しましょう。それというのも、今までの日本におけるライフスタイルと異なると、最初は観光気分でも、徐々に生活が長引くと物価が安いとか、言葉は何とか通じても現地の人たちと交流できず、いつまでたっても「外国人扱い」されてしまい、いざというとき、だれも助けてくれないことになってしまうからです。
また、健康なうちはいいですが、いずれは加齢によって病気がちになったり、介護が必要になったりするわけですので、そのとき、日本語が通じて、かつ日本の文化や生活習慣を理解できる医師や看護師、ソーシャルワーカー、ホームヘルパーなどが24時間にわたって対応してくれるのかどうか、セキュリティやリスクマネジメントを確認しておくことが大切です。
そこで、これらの問題を比較的クリアできるのが日本人や日系人の多いハワイということになるようですが、ご存知のように、ハワイ、それもワイキキビーチのあるマウイ島は世界的なリゾート地で、日本人も多く、しかも物価が高いので永住の地として検討に値するのかどうかは、人によって判断が分かれるところでしょう。
その場合、まず第一に、筆者のように、今まで調査や旅行、駐在員などとして出かけたり、短期的に滞在したりした経験があるところなのか、まったく未知数なところなのか、検討しましょう。
そのうえで、使用している言葉や文化、生活習慣、物価、治安、日本からのアクセス、対日感情などについて検討しましょう。それというのも、今までの日本におけるライフスタイルと異なると、最初は観光気分でも、徐々に生活が長引くと物価が安いとか、言葉は何とか通じても現地の人たちと交流できず、いつまでたっても「外国人扱い」されてしまい、いざというとき、だれも助けてくれないことになってしまうからです。
また、健康なうちはいいですが、いずれは加齢によって病気がちになったり、介護が必要になったりするわけですので、そのとき、日本語が通じて、かつ日本の文化や生活習慣を理解できる医師や看護師、ソーシャルワーカー、ホームヘルパーなどが24時間にわたって対応してくれるのかどうか、セキュリティやリスクマネジメントを確認しておくことが大切です。
そこで、これらの問題を比較的クリアできるのが日本人や日系人の多いハワイということになるようですが、ご存知のように、ハワイ、それもワイキキビーチのあるマウイ島は世界的なリゾート地で、日本人も多く、しかも物価が高いので永住の地として検討に値するのかどうかは、人によって判断が分かれるところでしょう。
そして、ロングステイで下見を
いずれにしても、自分の骨を祖国・日本でなく、海外に埋めることになるため、決断する前に、必ず従来のような駆け足の“いいとこ取り”、あるいは“物見遊山”的な海外旅行でなく、数週間から1か月ほどロングステイをして、地元のスーパーに出かけて買い物をしたり、マンションや公園など、下町で庶民の生活ぶりを見聞したりして下見をしましょう。
それも、四季を変えて何度も出かけ、言葉や文化、生活習慣、物価、治安、日本からのアクセス、対日感情などをチェックすることはもとより、事前にインターネットなどですでに現地で永住している日本人がいないか、また、外務省や現地の大使館、領事館、日本の旅行代理店、航空会社、ホテル、レストランなど関係方面から情報を入手し、永住権を得るうえで必要な年数や要件なども研究することが大切です。
そして、最後に、自分の現在の年齢や健康状態、家族への提案や相談、生活費をはじき出し、「GOサイン」を打てるかどうか、最終的な判断をしましょう。
なお、このような永住ではなく、元気なうちだけ長期滞在し、病気がちになったり、介護が必要になったりしたら日本に帰国し、最期を迎えるという選択肢もあります。要は、異国の地で世話になるため、自分勝手な判断で行動しては相手国に迷惑をかけるだけでなく、外交問題にも発展しかねない、ということも心得ておきたいものです。
それも、四季を変えて何度も出かけ、言葉や文化、生活習慣、物価、治安、日本からのアクセス、対日感情などをチェックすることはもとより、事前にインターネットなどですでに現地で永住している日本人がいないか、また、外務省や現地の大使館、領事館、日本の旅行代理店、航空会社、ホテル、レストランなど関係方面から情報を入手し、永住権を得るうえで必要な年数や要件なども研究することが大切です。
そして、最後に、自分の現在の年齢や健康状態、家族への提案や相談、生活費をはじき出し、「GOサイン」を打てるかどうか、最終的な判断をしましょう。
なお、このような永住ではなく、元気なうちだけ長期滞在し、病気がちになったり、介護が必要になったりしたら日本に帰国し、最期を迎えるという選択肢もあります。要は、異国の地で世話になるため、自分勝手な判断で行動しては相手国に迷惑をかけるだけでなく、外交問題にも発展しかねない、ということも心得ておきたいものです。
(2008年3月10日)