Vol.22 リバースモーゲージの利用法
川村匡由(社会福祉学者)
リバースモーゲージとはこういう意味
ご存知のように、2000(平成12)年4月から介護保険制度が導入され、40歳以上の人は介護保険料を一生納めていかなければなりません。また、要介護認定を申請して「要介護」と認定され、ケアプランを作成してもらって介護サービスを受けるようになると、その費用の1割は自己負担となります。
このような介護保険時代を迎え、最近、上記のAさんのような悩みを抱える人たちも少なくないようです。
そこで、このような悩みを持つ人たちに向けて開発されたのがリバースモーゲージですが、このリバースモーゲージとは一体、どのようなものなのでしょうか。
まずリバースですが、これは「逆」という意味です。これに対し、モーゲージは「抵当」という意味です。すなわち、リバースモーゲージとは「逆抵当」ということですが、もう少し砕いて説明すると、自分の家や土地などの不動産を抵当に入れ、その見返りに何らかのサービスを受け、死亡後、その不動産を処分して清算するというものです。
リバースモーゲージの仕組み
具体的には、Aさんが今、リバースモーゲージとして自分の土地や家を担保に入れれば、自分が将来、介護サービスが必要になっても、現在住んでいる家やその土地を売らず、今までどおりに生活し続けられ、安心して在宅で介護を受けられます。このため、たとえば介護保険制度が適用され、介護サービスを受けるようになっても、また、介護保険外の上乗せ、あるいは横出しの介護サービスを受けても、これらの費用は全額、リバースモーゲージを扱っている契約先が負担するため、一銭の支出もなく、また、生涯にわたって生活形態を変えないままで済むというわけです。
そういいますと、「随分、虫のいい話ではないか」といわれそうですが、実はそのとおりで、Aさんが死亡したら、契約先は、Aさんの所有する家や土地を処分して換金し、Aさんが生前に負担すべき介護サービスの利用料など、元利を一括して清算することになります。このため、Aさんにとってみれば、死亡後、先祖代々の家や土地を手放すことにはなりますが、少なくとも生前は家や土地を手放さずに済むのです。
そういいますと、「随分、虫のいい話ではないか」といわれそうですが、実はそのとおりで、Aさんが死亡したら、契約先は、Aさんの所有する家や土地を処分して換金し、Aさんが生前に負担すべき介護サービスの利用料など、元利を一括して清算することになります。このため、Aさんにとってみれば、死亡後、先祖代々の家や土地を手放すことにはなりますが、少なくとも生前は家や土地を手放さずに済むのです。
リバースモーゲージの注意点
最後に、このリバースモーゲージを扱っている機関ですが、自治体やその提携先である福祉公社、社会福祉事業団、社会福祉協議会、信託銀行などの民間金融機関などさまざまです。
また、抵当に入れられる家や土地などの不動産も、その取り扱い機関によって時価5000万〜1億円に限定していたり、一般的に年々、資産価値が下がる一戸建てやマンションは対象外とするところもあるなど、まちまちです。それだけに、契約にあたっては慎重を要しますが、家族がいなかったり、いても音信が不通、あるいは遺産相続の対象となる他の不動産や動産を生前贈与などで話し合い済みなどといった場合、検討の余地があるかも知れません。
ちなみに、このリバースモーゲージを全国の自治体で最初に導入したのは武蔵野市で、その後、他の自治体にも普及しつつあります。このため、団塊の世代のなかには武蔵野市など関係自治体に移住して将来に備えようと、中古の家や土地を探し始める向きもあるそうですが、退職金などをはたいての決断が必要なため、老後の生活設計とも照らし合わせて行動することが大切でしょう。
また、抵当に入れられる家や土地などの不動産も、その取り扱い機関によって時価5000万〜1億円に限定していたり、一般的に年々、資産価値が下がる一戸建てやマンションは対象外とするところもあるなど、まちまちです。それだけに、契約にあたっては慎重を要しますが、家族がいなかったり、いても音信が不通、あるいは遺産相続の対象となる他の不動産や動産を生前贈与などで話し合い済みなどといった場合、検討の余地があるかも知れません。
ちなみに、このリバースモーゲージを全国の自治体で最初に導入したのは武蔵野市で、その後、他の自治体にも普及しつつあります。このため、団塊の世代のなかには武蔵野市など関係自治体に移住して将来に備えようと、中古の家や土地を探し始める向きもあるそうですが、退職金などをはたいての決断が必要なため、老後の生活設計とも照らし合わせて行動することが大切でしょう。
(2008年2月25日)