Vol.21 これがコミュニティビジネスだ
川村匡由(社会福祉学者)
コミュニティビジネスの定義や概念
それでも、ごく一般的にいわれている定義なり、概念なりを整理してみると、市民の有志が、在住している地域の問題や課題を解決するため、自主的、自発的に取り組み、かつ採算ベースに乗せるべく起業する事業ということができるでしょう。そこで、このコミュニティビジネスをズバリ「市民事業」といい、利用者にサービスの利用料を求めないボランティア活動と区別する傾向にあります。
ただし、同じボランティア活動でも、わが国特有の現象として、実費程度の利用料や交通費などの負担を必要とする有償な事業や活動を「有償ボランティア活動」、あるいは「住民参加型有償サービス」といっています。確かに、このような有償性のボランティア活動なり、住民参加型有償サービスは、いずれも採算性をそれほど重視したものとはいえないため、コミュニティビジネスとまではいいがたいように思われます。
コミュニティビジネスが注目されるわけ
それにしても、今、なぜコミュニティビジネスなのでしょうか。
わが国は戦後、長い間にわたり、右肩上がりの高度経済成長から石油危機やバブル崩壊によって景気が低迷してきたのに伴い、財源の確保が困難になっています。一方、少子高齢化は今後、さらに進み、老後の生きがいや健康の増進、介護対策の充実など、国民生活を重視した社会保障などに重点を置いた政策に転換すべきであるにもかかわらず、今なお新幹線や高速道路、空港などのいわゆる土建型公共事業を中心とした経済政策が優先されています。そのほか、「3割自治」といわれるように財源の多くは国に納められ、地方自治体はますます多様化する市民のニーズに十分応えられません。
このため、やむなく市民の有志が、在住する地域の問題や課題を解決すべく、立ち上がる手段・方法として、このコミュニティビジネスが注目されることになったのでしょう。これがいわゆる「あらたな公共」といわれるものです。
もちろん、国も、多額の借金を抱えながらも、このような国民の多様なニーズに対応しなければならないことは重々承知です。そこで、中曽根政権時代から、行財政改革の一環として民活導入、また、小泉政権では「三位一体の改革」や市町村合併などを通じ、歳出の削減や地方分権を図りつつ、特定非営利活動法人法、いわゆるNPO法人法を制定し、コミュニティビジネスに“市民権”を与え、広く国民に奨励することになったわけです。
そこへ、団塊の世代が2007年以降、大量に退職し、高齢者の介護や環境保全、まちづくり、地産地消などのボランティア活動、あるいは起業として取り組もうとしているコミュニティビジネスに期待を寄せる国や自治体が増え、さまざまな政策誘導のオンパレードとなっているわけです。
わが国は戦後、長い間にわたり、右肩上がりの高度経済成長から石油危機やバブル崩壊によって景気が低迷してきたのに伴い、財源の確保が困難になっています。一方、少子高齢化は今後、さらに進み、老後の生きがいや健康の増進、介護対策の充実など、国民生活を重視した社会保障などに重点を置いた政策に転換すべきであるにもかかわらず、今なお新幹線や高速道路、空港などのいわゆる土建型公共事業を中心とした経済政策が優先されています。そのほか、「3割自治」といわれるように財源の多くは国に納められ、地方自治体はますます多様化する市民のニーズに十分応えられません。
このため、やむなく市民の有志が、在住する地域の問題や課題を解決すべく、立ち上がる手段・方法として、このコミュニティビジネスが注目されることになったのでしょう。これがいわゆる「あらたな公共」といわれるものです。
もちろん、国も、多額の借金を抱えながらも、このような国民の多様なニーズに対応しなければならないことは重々承知です。そこで、中曽根政権時代から、行財政改革の一環として民活導入、また、小泉政権では「三位一体の改革」や市町村合併などを通じ、歳出の削減や地方分権を図りつつ、特定非営利活動法人法、いわゆるNPO法人法を制定し、コミュニティビジネスに“市民権”を与え、広く国民に奨励することになったわけです。
そこへ、団塊の世代が2007年以降、大量に退職し、高齢者の介護や環境保全、まちづくり、地産地消などのボランティア活動、あるいは起業として取り組もうとしているコミュニティビジネスに期待を寄せる国や自治体が増え、さまざまな政策誘導のオンパレードとなっているわけです。
コミュニティビジネスをするには
そこで、最後に、このコミュニティビジネスをどのように立ち上げるのかということですが、まずは自分の住んでいる地域の問題や課題がどのようなものなのか、地元の自治体の広報紙や各種の行政計画、アンケート調査結果、相談窓口、ミニコミ誌、口コミなどでチェックします。
次いで、そのような地域の問題や課題の解決のため、自治体や社会福祉協議会などがどのような市民の参画を求めており、その際の施設の貸し出しや事業資金の融資、補助を行ったり、情報の提供や相談、指導体制をとったりしているのか、調べます。
そして、これらの内容を把握したら、自分や自分たちの仲間が今まで培ってきた技術や技能、資格、人脈、ノウハウなどを生かして採算性をとることができるのかどうか、検討します。その意味で、前回お話したNPOによる事業や活動は、利用者の信頼を得るうえで無理なく踏み出せる“第一歩”といえるのではないでしょうか。
いずれにしても、コミュニティビジネスは従来のビジネスと異なり、その起業に参加する関係者のミッション(使命感)あってのものです。このため、そのミッションを関係者でしっかりと確認したうえで行動に移すとともに、利用者の信頼を得て採算性に乗せるには「石の上にも3年」、というくらいの覚悟が必要でしょう。
次いで、そのような地域の問題や課題の解決のため、自治体や社会福祉協議会などがどのような市民の参画を求めており、その際の施設の貸し出しや事業資金の融資、補助を行ったり、情報の提供や相談、指導体制をとったりしているのか、調べます。
そして、これらの内容を把握したら、自分や自分たちの仲間が今まで培ってきた技術や技能、資格、人脈、ノウハウなどを生かして採算性をとることができるのかどうか、検討します。その意味で、前回お話したNPOによる事業や活動は、利用者の信頼を得るうえで無理なく踏み出せる“第一歩”といえるのではないでしょうか。
いずれにしても、コミュニティビジネスは従来のビジネスと異なり、その起業に参加する関係者のミッション(使命感)あってのものです。このため、そのミッションを関係者でしっかりと確認したうえで行動に移すとともに、利用者の信頼を得て採算性に乗せるには「石の上にも3年」、というくらいの覚悟が必要でしょう。
(2008年2月12日)