Vol.20 自宅の開放などで宅老所はいかが
川村匡由(社会福祉学者)
宅老所とは何か
今、なぜ、宅老所なのでしょうか。
それは、人生80年時代を迎え、高齢者が老人ホームに入所したり、住み慣れた自宅に居住しながら地域の高齢者と団らんしたり、介護が必要になったときでも必要なサービスを受けたりすることができるよう、住民の有志がマイホームや民家を借りて地域に開放し、その運営に関わったり、専門家と連携したり、運営を委託したりする民間の施設のことです。早い話が“託児所の高齢者版”というわけです。
ちなみに、全国で最初の宅老所は1991(平成3)年、元特別養護老人ホームの女性介護職員3人が福岡市内の寺の茶室の一部を借りて開いた「よりあい」です。きっかけは、「国の職員の設置基準、あるいは運営の方針に縛られた施設の現状では、食事や休養、入浴などの日課は職員の勤務に合わせたもので、利用者本位になっていないため、小規模な施設で人間的な介護などの世話をしたい」との一心で離職し、寺の住職に場所の提供を申し込んだ結果、実現しました。以来、各地に設置されるようになりました。
宅老所を開設するには
では、具体的に宅老所をどのように開設すればいいのかということですが、まずは場所の確保が必要となります。自分の家をそのまま利用するか、別に所有する土地に新たに家を建てる、または友人の自宅、もしくはアパートを借りるか、検討します。
次に、その立地で、できれば交通の便利な所にして、だれでも気軽に利用できるようにします。不便な所では家族、または施設のスタッフが車で送迎できるよう、駐車スペースを用意します。この場合、送迎の利用料は車代とせず、協力金や謝金などとして負担をお願いします。そうすれば白タクとはみなされないからです。
ただし、その運転者が大型二種の運転免許だけでなく、ホームヘルパー(訪問介護員)や介護福祉士の資格を取得していれば介護タクシーとして登録し、一般のタクシーの運賃並みに徴収し、営業ができます。
一方、設備・構造は、車椅子の高齢者でも気軽に利用できるよう、バリアフリーに改修したり、新築なら最初からユニバーサルデザインに設計・施工したりします。
たとえば玄関や通路をスロープにしたり、手すりを取り付けたり、段差をなくしたりします。自治体によってはこのような改修資金を補助したりしているところもあるため、あらかじめ相談します。もちろん、介護保険の要介護認定を申請し、「要支援」、または「要介護」と認定されれば月20万円を上限にした住宅改修費、または介護予防住宅改修費が支給され、費用もその1割で済みます。
次に、その立地で、できれば交通の便利な所にして、だれでも気軽に利用できるようにします。不便な所では家族、または施設のスタッフが車で送迎できるよう、駐車スペースを用意します。この場合、送迎の利用料は車代とせず、協力金や謝金などとして負担をお願いします。そうすれば白タクとはみなされないからです。
ただし、その運転者が大型二種の運転免許だけでなく、ホームヘルパー(訪問介護員)や介護福祉士の資格を取得していれば介護タクシーとして登録し、一般のタクシーの運賃並みに徴収し、営業ができます。
一方、設備・構造は、車椅子の高齢者でも気軽に利用できるよう、バリアフリーに改修したり、新築なら最初からユニバーサルデザインに設計・施工したりします。
たとえば玄関や通路をスロープにしたり、手すりを取り付けたり、段差をなくしたりします。自治体によってはこのような改修資金を補助したりしているところもあるため、あらかじめ相談します。もちろん、介護保険の要介護認定を申請し、「要支援」、または「要介護」と認定されれば月20万円を上限にした住宅改修費、または介護予防住宅改修費が支給され、費用もその1割で済みます。
宅老所の運営方法
最後に、宅老所の運営方法では、自分だけで行う場合、それなりの経験と資金、人脈が必要なため、特別養護老人ホームの介護職員やホームヘルパー(訪問介護員)、介護福祉士、看護師、保健師、ケアマネジャー(介護専門支援員)などの有資格者で、経験が豊富であっても、ある程度資金力がなければ困難です。
そこで、一般的にはこれらの職業に通じた者同士が志を一つにして発起人となり、市場調査や約款、事業計画などの原案を作成し、行政に相談します。また、その場合、最初からNPO法人格を取得して事業化に踏み切るのか、最初は任意団体として立ち上げ、軌道に乗ってきたらNPO法人格の取得をめざすのかも検討します。
なお、友人の自宅やアパートを借りる場合、家賃はどの程度負担できるのか、また、借り主は事業にどの程度理解してもらえるのか、その意義を説明し、一般の相場よりも割安にしてもらえないか、交渉します。もちろん、自宅を提供する場合でもまったくの無料では利用者も末長くは借り辛いでしょうから、家賃はもとより、食費や光熱費、スタッフの人件費もペイできるよう、利用料を設定します。
いずれにしても、地域の理解があって成り立つものであるため、自治会や町内会、区長会、社会福祉協議会、老人クラブ、民生委員・児童委員協議会、ボランティア団体、学識経験者など地域の関係者にも相談し、地道に取り組むことが大切です。そして、中長期的には、2006(平成18)年4月の介護保険法の改定に伴い、宅老所は、地域密着型サービスの一つである小規模多機能型居宅介護、あるいは介護予防小規模多機能型居宅介護の適用となったため、その適用施設として指定されるよう頑張れば、経営的にも楽になるはずです。
そこで、一般的にはこれらの職業に通じた者同士が志を一つにして発起人となり、市場調査や約款、事業計画などの原案を作成し、行政に相談します。また、その場合、最初からNPO法人格を取得して事業化に踏み切るのか、最初は任意団体として立ち上げ、軌道に乗ってきたらNPO法人格の取得をめざすのかも検討します。
なお、友人の自宅やアパートを借りる場合、家賃はどの程度負担できるのか、また、借り主は事業にどの程度理解してもらえるのか、その意義を説明し、一般の相場よりも割安にしてもらえないか、交渉します。もちろん、自宅を提供する場合でもまったくの無料では利用者も末長くは借り辛いでしょうから、家賃はもとより、食費や光熱費、スタッフの人件費もペイできるよう、利用料を設定します。
いずれにしても、地域の理解があって成り立つものであるため、自治会や町内会、区長会、社会福祉協議会、老人クラブ、民生委員・児童委員協議会、ボランティア団体、学識経験者など地域の関係者にも相談し、地道に取り組むことが大切です。そして、中長期的には、2006(平成18)年4月の介護保険法の改定に伴い、宅老所は、地域密着型サービスの一つである小規模多機能型居宅介護、あるいは介護予防小規模多機能型居宅介護の適用となったため、その適用施設として指定されるよう頑張れば、経営的にも楽になるはずです。
(2008年1月28日)