Vol.17 終の棲家を考える
川村匡由(社会福祉学者)
田舎暮らしか、都会暮らしか
私たちがいつまでも安心・安全な生活をしていくうえで最低限必要なもの、すなわち、“生活三要素”として「衣食住」がありますが、人生80時代、それも少子高齢社会を迎え、この「衣食住」も「医職住」に変わりつつあります。
確かに、戦後の高度経済成長により、私たちは、「衣食住」のうち、「衣食」は見違えるほどのレベルアップとなりました。現に、私たち庶民のなかにも高級ブランドの衣類を着込んでおしゃれをしたり、グルメを楽しんだりするような人たちもみられるようになりました。
そのような生活のレベルアップと日本人の趣向の様変わりについて、「1億総中流意識」といわれたのはまだ記憶に新しいところですが、その一方で、老後に不安を覚え、「衣」は「医」、「食」は「職」に代えて考えざるを得なくなったことも現実です。
また、残る「住」についても、近年、マンション派か、それとも一戸建て派かといった論議がありますし、欧米人からは「日本は、少なくとも『住』に関しては“ウサギ小屋”が実態で、まだまだ…」といった評価も聞かれます。このため、「老後は、豊かな自然と、広い土地に恵まれた田舎暮らしで悠々自適に」と考える人がいるかと思えば、「いやいや、老後こそ何かと便利な都会暮らしで」などと賛否両論がある昨今です。
どちらも一長一短
そこで、今回は、いわば終の棲家をめぐり、田舎暮らしか、都会暮らしかについて考えるため、ごく常識的な項目をあげて整理し、比較したのが次の表です。
ご覧のように、この表では「住宅事情」から「医療・福祉」まで計11項目に分けて比較してみましたが、田舎暮らし、都会暮らしのいずれにもそれぞれ一長一短があるため、どちらがベターか、一概にいうことはできません。
ただ、いえることは、それまで長年にわたってシティライフをしてきた者が、急にカントリーライフをしようとしても無理があるため、民放テレビで放送しているように、一定の資金などがあればだれでも簡単にできるものではありません。そこで、このような比較表を手がかりに、ご夫婦を中心に、ご家族でよく話し合い、結論を出すことだと思います。
ただ、いえることは、それまで長年にわたってシティライフをしてきた者が、急にカントリーライフをしようとしても無理があるため、民放テレビで放送しているように、一定の資金などがあればだれでも簡単にできるものではありません。そこで、このような比較表を手がかりに、ご夫婦を中心に、ご家族でよく話し合い、結論を出すことだと思います。
注目される“二重生活”
このようななか、最近注目されているのが、田舎暮らし、都会暮らしの両方を楽しむ“二重生活”です。
これは、ふだんは何かと便利な都会に定年後もそのまま住み続けるものの、週末や春休みや夏休みには田舎に滞在し、豊かな自然のなかで農作業を体験したり、避暑や避寒、温泉や海・山の幸を楽しもうというライフスタイルです。
具体的には、別荘を建てたり、建てるほどまでは望まないものの、空き家や地元の行政が斡旋する農家を廉価で購入したり、借りたりしてコメ作りやソバ打ちを体験したり、避暑や避寒がてら、自然観察や森林ウォーキング、ハイキング、釣り、陶芸などを楽しんだり、温泉につかったり、海・山の幸に舌鼓を打ったりしてエンジョイするものです。自治体によっては過疎化対策のため、団塊世代をターゲットに住宅や仕事の斡旋に乗り出しているところも少なくありません。もっとも、このような“二重生活”は、その分経費もかかるため、よく考えて行動することが大切です。
いずれにしても、「郷に入っては郷に従え」の諺もあるように、事前に十分下見をするなどして結論を出すことが大切でしょう。
これは、ふだんは何かと便利な都会に定年後もそのまま住み続けるものの、週末や春休みや夏休みには田舎に滞在し、豊かな自然のなかで農作業を体験したり、避暑や避寒、温泉や海・山の幸を楽しもうというライフスタイルです。
具体的には、別荘を建てたり、建てるほどまでは望まないものの、空き家や地元の行政が斡旋する農家を廉価で購入したり、借りたりしてコメ作りやソバ打ちを体験したり、避暑や避寒がてら、自然観察や森林ウォーキング、ハイキング、釣り、陶芸などを楽しんだり、温泉につかったり、海・山の幸に舌鼓を打ったりしてエンジョイするものです。自治体によっては過疎化対策のため、団塊世代をターゲットに住宅や仕事の斡旋に乗り出しているところも少なくありません。もっとも、このような“二重生活”は、その分経費もかかるため、よく考えて行動することが大切です。
いずれにしても、「郷に入っては郷に従え」の諺もあるように、事前に十分下見をするなどして結論を出すことが大切でしょう。
(2007年12月10日)