Vol.16 マイホームの改修はこうする
山崎 敏(立教大学講師・一級建築士)
いつ、どのように改修しますか
みなさんに、マイホームの改修の話をする前にお聞きします。
それは、「現在の住宅にいつまで暮らしたいのですか」ということですが、その答えは、「できるだけ住み続けたい」というのがみなさんの本音ではないでしょうか。やはり住み慣れた地域・住宅を変わる、というのは結構なストレスになります。
確かに、いつまでも住み続けられることを望む人は多いのです。高齢者になってからの移転はストレスなどの負担がかかり、新しい環境に馴染むのはそれなりの時間を要します。これは、「トランスファーショック」と呼ばれるものです。
しかし、加齢とともに身体は変化していきます。住宅も同様に老朽化していくのです。若いときは生活するうえで問題なかったことが、歳を重ねるとともに使いにくくなるのです。車いすになれば、住宅を一部改修しなければならないでしょう。
それは、「現在の住宅にいつまで暮らしたいのですか」ということですが、その答えは、「できるだけ住み続けたい」というのがみなさんの本音ではないでしょうか。やはり住み慣れた地域・住宅を変わる、というのは結構なストレスになります。
確かに、いつまでも住み続けられることを望む人は多いのです。高齢者になってからの移転はストレスなどの負担がかかり、新しい環境に馴染むのはそれなりの時間を要します。これは、「トランスファーショック」と呼ばれるものです。
しかし、加齢とともに身体は変化していきます。住宅も同様に老朽化していくのです。若いときは生活するうえで問題なかったことが、歳を重ねるとともに使いにくくなるのです。車いすになれば、住宅を一部改修しなければならないでしょう。
建築的な対応
次に、建築的対応を記述します。
建築
改修の留意点について、室名と主な改修内容を表にしてみます。
設備
建築設備で改修にときに考えたい設備に暖房があります。暖房設備は、できることなら輻射暖房(床暖房)などが高齢者にとってはやさしい暖房設備です。暖房をつける場所は、居間や寝室、トイレ、脱衣室以外に、予算があれば浴室の内部に取り付けることもあります。また、トイレだけでなく、寝室からそこに至る廊下もできるだけ温度が変化しないようにして、脳卒中などを防ぎたいものです。
一方、冷房設備は、直接、冷気が体に当たることを嫌がる高齢者は多くいます。エアコンの取付の位置などにも注意して下さい。
一方、冷房設備は、直接、冷気が体に当たることを嫌がる高齢者は多くいます。エアコンの取付の位置などにも注意して下さい。
工事
実際の工事は、事前に見積もりをしっかりとることが大切です。工事に関し、口での約束はあとでトラブルの元になります。当然、追加の際の工事の増額なども承認を出してから施工します。
内装や照明器具などは、必ずカタログなどで現物を確認して工事を進めます。既存の建物は新築と異なり、設備や構造などが既に施工されているので、改修工事の途中で当初の計画と異なるケースも出てきます。
工事中、どのようなことが考えられるのかを含め、施工会社から事前の説明をしっかり受けておきましょう。工事中は、壁など貼ってしまうと壁内部の下地の状況がわからなくなるので、途中で写真をとっておきます。
工事はそれなりに時間がかかり、工事による騒音なども出ます。そこで、近隣の人に工事の前に挨拶をしておくことも大切です。担当者の性格や相性なども含め、信頼できるかどうかが大きいと思います。
内装や照明器具などは、必ずカタログなどで現物を確認して工事を進めます。既存の建物は新築と異なり、設備や構造などが既に施工されているので、改修工事の途中で当初の計画と異なるケースも出てきます。
工事中、どのようなことが考えられるのかを含め、施工会社から事前の説明をしっかり受けておきましょう。工事中は、壁など貼ってしまうと壁内部の下地の状況がわからなくなるので、途中で写真をとっておきます。
工事はそれなりに時間がかかり、工事による騒音なども出ます。そこで、近隣の人に工事の前に挨拶をしておくことも大切です。担当者の性格や相性なども含め、信頼できるかどうかが大きいと思います。
早めの住み替えを
スウェーデンで聞いた話です。夜中に居間で電話が鳴って、寝ぼけ眼で急いで電話に出ようとする。そのとき、居間のじゅうたんにつまずき転倒、それがもとで入院し、寝たきりになってしまう。電話一本で寝たきりになってしまうなんて本当に悲劇です。建築が寝たきりをつくってはいけません。じゅうたん一つでもおろそかにできません。
そこで、改修と同時に考えておきたいのが早期の住み替えです。地域のなかでコミュニティが壊れなければ住み変えることもあり得ます。その住み替え先は、たとえば有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅など、一戸建てから高齢者向け集合住宅へ早めに住み替える人たちもいます。高齢者のニーズに合わせ、地域でさまざまな住宅のメニューも整備されつつあります。地域にどのような住宅メニューがあるのかを調べておくこともよいでしょう。
家庭内事故による死亡の件数について、国民生活センターの調査結果(1999年調査報告)を東京ガスがインターネット上(http://home.tokyo-gas.co.jp/benri/index.html)に載せています。それによると、高齢者の場合、家庭内事故でなくなる確率は1万人当たり4.05人で、交通事故で亡くなる確率3.70人よりも多いと書かれています。
以上をまとめると、改修によって家庭内での事故を減らし、安全で安心した生活を続けたいものです。今後、どのような生活を望んでいるのかにより改修するのか、早めに住み替えるのかなどの検討が大切です。
そこで、改修と同時に考えておきたいのが早期の住み替えです。地域のなかでコミュニティが壊れなければ住み変えることもあり得ます。その住み替え先は、たとえば有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅など、一戸建てから高齢者向け集合住宅へ早めに住み替える人たちもいます。高齢者のニーズに合わせ、地域でさまざまな住宅のメニューも整備されつつあります。地域にどのような住宅メニューがあるのかを調べておくこともよいでしょう。
家庭内事故による死亡の件数について、国民生活センターの調査結果(1999年調査報告)を東京ガスがインターネット上(http://home.tokyo-gas.co.jp/benri/index.html)に載せています。それによると、高齢者の場合、家庭内事故でなくなる確率は1万人当たり4.05人で、交通事故で亡くなる確率3.70人よりも多いと書かれています。
以上をまとめると、改修によって家庭内での事故を減らし、安全で安心した生活を続けたいものです。今後、どのような生活を望んでいるのかにより改修するのか、早めに住み替えるのかなどの検討が大切です。
(2007年11月26日)