Vol.14 セカンドライフには生涯学習を
川村匡由(社会福祉学者)
なぜ、今、生涯学習か
近年、シニアを対象にした教養講座や文化教室が各地でおおはやりです。また、主催者も従来の市町村から社会福祉協議会、さらには専門学校や新聞社、テレビ局、大学などとさまざまです。
地域的にも、比較的講師に恵まれた都市部だけでなく、地方でも盛んで、「市民講座」、「市民大学」、「寿大学」、「老人大学」、「シニアカレッジ」、「シニア講座」などと、企画の名称も色とりどりです。なかには、住民の有志が公民館や団地の集会所、自動車販売会社などの営業所の会議室を借り、自分たちの仲間から講師を選び、自前で「団塊サロン」を運営するところもお目見えしています。
それにしても、なぜ、今、生涯学習なのでしょうか。
まず第一は、「長い老後」を迎え、これからどのように充実した人生を送るべきか、実感する年代になったからでしょう。第二は、多くの彼らは戦争世代から戦後の団塊世代で、諸事情から大学に進学できなかったため、少しでもその埋め合わせをしたいからでしょう。または、当時学んだものとは別の、あるいは同じものをもっと深く勉強したいという向学心に燃えているからでしょう。
そして、第三は、これからの人生は夫婦など家族との絆を深めるだけでなく、社会参加して仲間を求め、ともに安心・安全な地域をつくりたいからでしょう。このほか、それまで培ってきた自分の経験や技術、情報、人脈を第三者に披露し、役立ちたいという人もいるからではないでしょうか。
生涯学習のいろいろ
次に、このような生涯学習をテーマ別に整理すると、これまでの園芸や生け花、茶道、書道、社交ダンス、囲碁、将棋などの娯楽や趣味などといった“軟派もの”が中心のようです。
しかし、ここ数年、これらの定番に飽き足りず、年金や医療保険、介護保険、財テク、ボランティアなどといった社会保障や福祉関係、さらには環境や文学、郷土史、地方自治、政治、経済、国際情勢などといった“硬派もの”にまで広がっています。
しかし、ここ数年、これらの定番に飽き足りず、年金や医療保険、介護保険、財テク、ボランティアなどといった社会保障や福祉関係、さらには環境や文学、郷土史、地方自治、政治、経済、国際情勢などといった“硬派もの”にまで広がっています。
このようななか、最近、注目されているのが大学の生涯学習のための講座で、毎週、あるいは毎月1回、もしくは夏休みや春休みの期間中、教授を講師にして出前授業を実施していることです。これは2007年度以降、大学の入学定員と大学進学を志望する受験生の総数が同じになり、志望校さえ選ばなければだれでも大学に入学できるという、いわゆる「大学全入時代」を迎え、定員割れに伴う経営危機、あるいは倒産を憂慮したり、より優秀な学生を確保しようとする当局の思惑、さらには大学による社会貢献の一環として行われているのです。
それだけに、この種の生涯学習は、受講料の割には充実した講義が期待されています。
受講の前後に心得たいこと
このような生涯学習の受講生の募集の情報は、市町村の広報紙や新聞、ミニコミ誌、インターネット、チラシ、口コミなどで入手できますが、受講の申し込みにあたっては、あらかじめ開講の趣旨やテーマ、講師の経歴、講座の形式、場所、受講料、修了証の授与の有無などを十分調べましょう。もし修了証などをもらえれば、定年後、「タダの人」となって寂しい思いをしている向きには、大きな励みになることでしょう。
なお、このような生涯学習を受講しただけで終わらせず、同じ机を並べたよしみで、受講後、互いに誘い合ってお茶を飲んだり、一杯やったり、また、時には講師を囲んだりして自主的に交流を深め、仲間をつくったり、同窓会を開いたりしてコミュニケーションを図りたいものです。
そして、いずれは自分たちが自主的な講座を企画し、社会参加の手段として実現できれば、より充実した定年後、あるいは老後の生活になることは間違いないでしょう。
なお、このような生涯学習を受講しただけで終わらせず、同じ机を並べたよしみで、受講後、互いに誘い合ってお茶を飲んだり、一杯やったり、また、時には講師を囲んだりして自主的に交流を深め、仲間をつくったり、同窓会を開いたりしてコミュニケーションを図りたいものです。
そして、いずれは自分たちが自主的な講座を企画し、社会参加の手段として実現できれば、より充実した定年後、あるいは老後の生活になることは間違いないでしょう。
(2007年10月22日)