Vol.10 公的医療保険制度とは?
天野秀介(整形外科医)
公的機関などが医療費の一部を負担
財源は加入者(被保険者)が収入に応じて支払う保険料で、これを社会保険庁や健康保険組合、各種共済組合、市町村(保険者)が受け取り、審査機関である支払基金や国保連合会の審査を経て、医療費が支出される仕組みになっています。加入者の医療負担は原則として3割です。
この公的医療保険制度には職域、地域や年齢に応じ、いくつかの種類があります。参考までに現行の医療保険について簡単にまとめてみました。
国民皆保険制度と退職後の医療保険
わが国ではすべての国民が以上のような公的医療保険に加入し、だれもが平等な医療を受けられる国民皆保険制度がとられています。世界のなかでもトップレベルの健康水準が維持できているのもこの制度によるところが大きいと考えられます。
たとえば、アメリカでは国民の多くが民間の医療保険に加入し、自らの意思で医療を選択する自由はありますが、その契約内容によって受けられる医療が制限されています。また、経済的な理由も含め、全体の4割近い国民が保険未加入という実態で、社会問題となっています。
次に、会社を退職した後に入る保険について簡単にお話したいと思います。退職後、加入する保険にはいくつか選択肢があります。また、支払う保険料に差が出る場合もあるので、それぞれの保険の特徴を知ったうえ、選択された方がよいでしょう。
1.退職前に勤務していた会社の健康保険に任意継続(任意継続被保険者制度)で入る(2年間)。
→2年間の継続期間が過ぎたら、下記のいずれかの保険に入る。
会社を退職し、次の職場に移るまでの間に一定の条件のもとで加入することができる。
保険料は勤務時よりも増えるが、上限があるので場合によっては国民健康保険よりも安くなることがある。
2.退職者医療制度(公的年金の加入期間が20年以上、40歳以降は10年以上)に入る。
→退職者の多くが加入する退職者医療制度は、市町村が運営する国民健康保険のなかの制度である。保険料は国民健康保険と同額で、医療費の自己負担率も3割となっており、一般の国民健康保険と大きな違いがない(70〜74歳までの方は1〜2割負担)。
3.国民健康保険に入る。
4.被保険者である家族(子供や配偶者など)に扶養される立場で医療保険の適用となる。
たとえば、アメリカでは国民の多くが民間の医療保険に加入し、自らの意思で医療を選択する自由はありますが、その契約内容によって受けられる医療が制限されています。また、経済的な理由も含め、全体の4割近い国民が保険未加入という実態で、社会問題となっています。
次に、会社を退職した後に入る保険について簡単にお話したいと思います。退職後、加入する保険にはいくつか選択肢があります。また、支払う保険料に差が出る場合もあるので、それぞれの保険の特徴を知ったうえ、選択された方がよいでしょう。
1.退職前に勤務していた会社の健康保険に任意継続(任意継続被保険者制度)で入る(2年間)。
→2年間の継続期間が過ぎたら、下記のいずれかの保険に入る。
会社を退職し、次の職場に移るまでの間に一定の条件のもとで加入することができる。
保険料は勤務時よりも増えるが、上限があるので場合によっては国民健康保険よりも安くなることがある。
2.退職者医療制度(公的年金の加入期間が20年以上、40歳以降は10年以上)に入る。
→退職者の多くが加入する退職者医療制度は、市町村が運営する国民健康保険のなかの制度である。保険料は国民健康保険と同額で、医療費の自己負担率も3割となっており、一般の国民健康保険と大きな違いがない(70〜74歳までの方は1〜2割負担)。
3.国民健康保険に入る。
4.被保険者である家族(子供や配偶者など)に扶養される立場で医療保険の適用となる。
老人保健制度について
75歳以上、または寝たきりなど一定の障害のある65歳以上の人は老人保健制度のもとで医療を受けるようになります。この老人保健制度は、健保組合や共済組合、国民健康保険などすべての医療保険の保険者が共同で費用を負担(国および自治体も一部負担)し、市町村が運営を行っています。ちなみに自己負担は、一定以上の所得者では3割、それ以外は1割となっています。
ただし、2008年4月から退職者医療制度と老人保健制度が見直され、新しい高齢者医療制度が開始されます。具体的には、下記の2つの制度から成り立ちます。
1.前期高齢者制度(65〜74歳)
→自己負担は一定以上の所得者で3割、それ以外は2割
これまでの退職者医療制度や任意継続被保険者制度が廃止となり、これに代わる新しい保険制度。
2.後期高齢者制度(75歳以上、または寝たきりなど一定の障害のある65歳以上)
→自己負担は一定以上の所得者で3割、それ以外は1割
これまでの老人保健に代わる制度で、自己負担は老人保健制度のものと同じ。
なお、最近、話題のメタボリックシンドロームなど、日々の生活習慣が将来の大病につながることがわかってきています。公的医療保険による一部負担があったとしても、心筋梗塞や脳梗塞、がんなどの大病を患うと経済的な負担は相当なものとなります。そのためには民間の医療保険に加入するなどの対策も必要ですが、やはり日々の健康管理が第一と考えます。
ただし、2008年4月から退職者医療制度と老人保健制度が見直され、新しい高齢者医療制度が開始されます。具体的には、下記の2つの制度から成り立ちます。
1.前期高齢者制度(65〜74歳)
→自己負担は一定以上の所得者で3割、それ以外は2割
これまでの退職者医療制度や任意継続被保険者制度が廃止となり、これに代わる新しい保険制度。
2.後期高齢者制度(75歳以上、または寝たきりなど一定の障害のある65歳以上)
→自己負担は一定以上の所得者で3割、それ以外は1割
これまでの老人保健に代わる制度で、自己負担は老人保健制度のものと同じ。
なお、最近、話題のメタボリックシンドロームなど、日々の生活習慣が将来の大病につながることがわかってきています。公的医療保険による一部負担があったとしても、心筋梗塞や脳梗塞、がんなどの大病を患うと経済的な負担は相当なものとなります。そのためには民間の医療保険に加入するなどの対策も必要ですが、やはり日々の健康管理が第一と考えます。
(2007年8月27日)